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隻眼皇帝の孕ませ愛

涼原カンナ イラスト/ゆえこ

キーワード: 西洋 王国 初恋 甘々

ロートベルク帝国の名門家系の令嬢イルゼは、当主の兄が行方不明となり困窮していたところ、皇帝アロイスに突然プロポーズされる。アロイスはイルゼの初恋の人。けれど、噂に聞くアロイスは冷酷で好戦的な独裁者だという。戸惑いながらもアロイスに嫁いだイルゼだが、イルゼの目から見たアロイスは民を思い善政を敷く、立派な皇帝のように思えた。「本物のアロイスさまはどちらなの……?」アロイスに身も心も愛され、幸せを感じたのもつかの間、従兄のフィリップに衝撃の事実を聞かされる。「今のアロイスは偽者だ」果たしてアロイスの正体は? そして、イルゼの初恋の人はどこに……!? 配信日:2021年11月25日 


「う……んんんっ……!」
 舌を引きずりまわされ、さらには揺り動かされて、身体の内側に妖しい熱が灯る。初めて知る感覚に、イルゼは身体をよじったが、腰を強く拘束されている上に、胸を手で覆われては、逃げられもしない。
「んんっ……う……んん……」
 アロイスはイルゼの唾液をすすり、舌で歯列をこすりながら、左の乳房を右手でゆったりと揉みだす。布越しの感触がもどかしくも心地よく、ガチガチに強ばっていたイルゼの身体から少しずつ力が抜けていった。
「う……うう……」
 背の高い彼のくちづけを受け止めているから、自然と顔をそらして彼の胸によりかかる格好になっていた。背に当たるたくましい胸板と鋼のような腕に囚われていると、この世のどんな恐ろしいものからも守ってくれるのではないかと錯覚する。
(この男(ひと)が一番恐ろしいのに)
 あまたの貴族から土地を、ときには命を奪った腕だ。兄すら手にかけたかもしれない手だ。
 その手が今はイルゼの乳房を淫らに揉みしだいている。
「ふ……ふうっ……ううっ……」
 きゅっと尖った左の頂を押し回されて感興を得てしまう。腰を抱いていた左手がするりと下りて、布越しに下肢の狭間に触れた瞬間、イルゼはくちづけから逃げた。
「だ、だめです。そこはっ……」
 むろん、男女の交合に必要なことだとわかっているが、恥ずかしくてならなかった。
 誰にも見せたことも、さわられたこともないところに触れられるのは、恐怖だ。
「今日はやめてほしいんです。か、覚悟を決める時間がほし――」
 言いかけた言葉を呑み込む羽目になった。アロイスがいきなりイルゼを横抱きにしたからだ。
 面食らうイルゼにアロイスはためらいもなく言い放つ。
「俺が思うに、あなたに必要なのは覚悟ではなく快楽だ」
「か、快楽?」
「そうだ。気持ちよくなれば、自然と俺と結ばれたいと思えるはずだ」
 アロイスはイルゼを軽々と抱いて、大股で寝台に近づく。天蓋から垂らされた布は柱にまとめられているから、なんの障害にもなりはしない。
「でも――」
「今日、あなたを抱くと決めている。俺とひとつになるのはすばらしいことだとあなたも実感すれば、男女の交わりに対する恥ずかしさはなくなるだろう」
「ええっ?」
 驚きの極致にあるイルゼを寝台に横たえると、彼は逃げる間を与えないようにすばやく上になった。大きな手を頭の脇につかれたら、牢獄に閉じ込められた気持ちになる。
「俺の子を産むのは、あなたにしかできないことだ。俺を助けてほしい」
「陛下……」
 瞼を伏せて言う彼は、ずいぶんと思いつめた様子だ。
(なぜなの?)
 アロイスはまだ若い。焦る必要などないはずなのに。
「イルゼ、俺を助けてくれるのは、あなただけだ」
 彼はそう言ってイルゼの手をとり、指先にくちづける。騎士がするかのような仕草に、イルゼの胸はたやすくときめいてしまう。
「……はい」
 小さくうなずいたイルゼに、アロイスは唇を重ねてくる。舌と舌をからめるくちづけをしながら、彼はイルゼの寝衣のボタンをはずしていく。前を合わせるボタンを手際よくはずすから、抵抗する間もない。ゆったりと作られた寝衣は、ボタンをはずしてしまえば肩から脱がせるのはたやすかった。丸々とした桃のような乳房をあらわにされ、イルゼは身をよじった。
 往生際も悪く胸を隠そうとしたが、彼はイルゼの腕を下すと、両の乳房をすばやく手で覆ってきた。
 素肌に触れるアロイスの掌は、武具の扱いをしているせいか硬かった。しかし、イルゼの胸を揉む手つきはやさしくて、甘い息が喉から漏れる。
「あ……ああ……」
「想像以上に手に余る胸なんだな。服の上からでは気づかなかった」
 感心したようにつぶやくので、イルゼは顔を真っ赤にする。
「しかも、形だけでなく手ざわりまでいい。すばらしいな」
「変なことをおっしゃらないでくれますか?」
 羞恥が深まり、泣きそうになる。しかし、彼は尖った乳首を摘まんだり転がしたりしながら感嘆を漏らし続ける。
「あなたの身体が魅力的だから、言っているのだが」
「でも、ん……んんっ……」
 乳房を先端まで揉みしだくと、ふっくりと膨れた右乳首に唇を寄せてきた。
 それから前ぶれもなく口内に吸い込むので、イルゼは全身を震わせる。
「あ……ああっ……だめっ……」
 イルゼの制止をアロイスはまったく聞き入れてくれなかった。彼は舌と口蓋の間に乳首を挟み、舌を押しつけてくる。さらにじゅっと音を立てて吸われれば、下腹がじゅんと熱くなった。
「はぁ……はぁっ……はぁ……」
 彼はイルゼの身体にすっかりのしかかって、左の乳首を指でこねまわしていたが、こんどはそちらを舐めだした。
心地よい刺激を絶え間なく与えられ、イルゼは腰を揺らめかせてしまう。
「はぁ……ああっ……陛下……だめ……」
 彼は舌で乳首をもてなすのをやめると、双乳をゆったりと揉みだす。
「いい声だな。耳に心地いい」
「やめてください。そんなことを言うのは」
「俺は褒めているのだが」
 アロイスはまじめくさった顔をして答えるが、からかっているようにしか思えない。 
 彼はイルゼの右隣に横たわり、寝衣の裾をゆるゆるとめくると、ドロワーズの上から足のつけねに触れた。谷間に指を這わせてくるから、羞恥に頬を火照らせる。
「あ、だめ……」