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償いのウェディング
~薔薇が肌を染めるとき~
水島 忍 イラスト/氷堂れん

キーワード: 西洋 貴族 婚姻 ドS男子

傾きかけた父の工場を立て直すため、金持ちの男を捕まえろと言われているシャーロットは、貧乏貴族のグリフィンと恋に落ち、身を委ねてしまう。しかし、グリフィンは急に冷たくなり…? 発売日:2013年5月2日 


「大丈夫……。大丈夫だから……力を抜いて」
 気がつくと、緊張から、両脚に力を入れていた。なんとか力を抜くと、脚の間に彼の手がスッと差し込まれていく。
 内腿に彼の手の感触がある。だが、それだけではなく、自分の大事な部分に彼の指がそっと触れるのを感じて、思わずビクンと身体を揺らした。
 胸がドキドキしている。自分がこんなことをされているなんて、本当に信じられない。けれども、実際に、彼の前で全裸を晒し、乙女の部分に彼の手が触れることを許しているのだ。
 彼が優しい手つきで、花弁の形をなぞっている。もう、それだけでも気が遠くなりそうなのに、そのうえ、彼はシャーロットの腰骨の辺りにもキスをしてきた。
「あ……んっ……」
 甘ったるい声が自分の口から飛び出してきた。まるで、彼を誘っているようにも聞こえる。とても淫らな感じがして、シャーロットは身体の芯が燃えるように熱くなってきた。
「なんだか……溶けてきそうなの……」
 正直に打ち明けると、グリフィンは小さく笑った。
「この部分が?」
 彼は指でゆっくりとそこを弄っている。
「ええ……」
「溶けているかもしれないな。ほら……こんなふうにするだけで、君のこの部分から蜜が溢れてきているのが判るかい?」
 蜜って……なんなの?
 よく判らないが、そこが溶けたみたいに潤んでいるのは判る。それは、自分の中から溢れだしてきたものらしい。
「君が気持ちよくなると、こうなるんだ。だから、よくないと嘘を言っても、すぐに判る。君が……どれほど感じているかということは……」
 シャーロットの身体はさぞかし正直に自分の気持ちを語っていることだろう。そこは、すっかり潤んでしまって、彼の指の動きを助けていた。
「わたし……こんなこと……初めて」
 初めてなのは当たり前なのだが、シャーロットは彼に不安を訴えた。ただ、彼のするままになっていて、自分は身を任せているだけだが、これから先のことはさっぱり判らない。
「そうだね……。君は初めてなのに……こうして私にすべてを任せてくれている」
 グリフィンは不意に、シャーロットの脚を左右にもっと広げると、内腿にも唇を這わせてきた。
「やっ……」
 脚を広げられることが恥ずかしかった。そうして、大事な部分を見られてしまうことが。
「心配しなくていい。君は私の妻になるんだから……」
「妻は……こうすることが当たり前なの?」
「夫婦によるだろうが、それほどめずらしいことじゃない」
 そんなふうに言われると、少し気が楽になってきた。これは夫婦になれば特別なことではない、当たり前のことだと知ったからだ。
 それでも、じっと見つめられるのは恥ずかしかったし、彼の顔がその近くにあるのは耐えられなかった。
「そんなに……見ないでっ」
「どうして?」
「どうしてって……だって……あぁっ……」
 恥ずかしいと思う理由を説明しようとしたが、広げられた両脚の狭間にキスをされて、続きを言うことができなくなった。
 彼は指で弄っていた花弁に舌を這わせていた。
「いやっ……やっ……あぁん……」
 甘い声がひっきりなしに飛び出してくる。まさか、そんなことをされるとは思ってもみなかった。そんな場所を舐められるなんて、シャーロットの予想を超えていたのだ。
 彼の舌が敏感な部分に触れる度に、シャーロットの身体はビクッと大きく揺れていく。
 甘い痺れが広がり、陶酔感が込み上げてきた。それが羞恥心と相まって、シャーロットを不思議な境地へと追いやっている。気持ちがいいのに、何故だかとても苦しい。身体が何かを求めているのに、それがなんなのか判らない。
 シャーロットはただ彼に翻弄されていた。身体の熱っぽさが止まらない。身体だけでなく、頭の芯まで熱くなっている。
「はあ……あ…あぁ……っ」
 意味のある言葉にはならない。甘ったるい声が自分の口から出てくる。彼は舐めるのをやめて、また指でそこを弄り始める。
 不意に、その指が自分の中に入ってこようとしていることに気がついた。
「やめ……てっ……」
 驚いて腰を引こうとしたが、間に合わなかった。一本の指が挿入されて、シャーロットは動揺して、胸を上下させた。
「あ、あなたの……指が……」
「そうだ。私の指が君の中にいるよ」
 彼はその指を動かした。引き抜きかけては、また奥のほうへと押し込んでいく。その繰り返しに、シャーロットはひどくもどかしい気持ちを覚えた。
 蜜が溢れた自分の秘部が、彼の指の動きを感じている。身体の内部に彼の身体の一部があると思うだけで興奮してくるのに、それが動いて、自分を翻弄させているのだ。彼の愛撫のすべてに反応しているシャーロットは、まるで彼に操られているような気がしてきた。
 彼は二本目の指を挿入してきた。
「あ……そんな……ぁっ」
「凄い……。締めつけてるね」
 シャーロットは頭を振った。
 締めつけているつもりなんかない。自分は翻弄されているだけで、何もかも自分の意思で動いているわけではないのだ。