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蜂蜜姫と狼公爵の甘い晩餐

しらせはる イラスト/ユカ
蜂蜜の香りのする王女ミュリエルは双子の姉の代わりに「狼公爵」のもとへ嫁ぐことになってしまう。グルメの公爵はミュリエルの蜂蜜の香りを気に入って、ミュリエルをお菓子扱いして・・・? そして、呪いのかかった公爵は夜な夜な狼に変身してしまい、ミュリエルの蜜を舐めたくて、ありとあらゆる方法でミュリエルを攻めてきて・・・!? 発売日:2012年8月3日 


「きれいだ……愛しいひと。あなたとこんなふうになれて、私がどんなに幸せかわかるだろうか?」
「ぁ……わ、わたしも……幸せ、です……でも、その、手……を」
 触れてほしいのか、離してほしいのか? バートがくすっと笑い、
「好きだよ」
 告げて、耳朶を深く食むと、
「ぁん!」
 嬌声をあげて身を反らせた王女の乳房が自ら、手のなかに飛びこんできた。押し潰す手のひらで、ひくひく痙攣する乳首の脈を感じとる……いじわるするのがかわいそうになるくらい、触ってほしそうだ。バートはゆっくりと手のひらで円を描き、乳首を転がしつつ王女の耳を舐めた。
「こうするのは、どう?」
「……舌の音が、波みたいに聞こ、ぇ……ます」
「もういっぽうも触ってあげようか。ふふ……なんだか、私の手のひらもくすぐったいな」
 パンだねを伸ばす職人のように、両手を広げて慎重に乳首を転がしてやる。体のなかで両胸の先端にだけ与えられる感覚は、そこばかりが敏感になっていく息苦しさとともに王女を戸惑わせるようで、
「ぁ……ゃ…………おかしいの……だんだん、熱くなって……」
 びくびくが全身に伝わり、下肢まで響くらしい。もぞ、と内腿を擦りあわせる仕草に気づいたものの、もう少し波打ち際で遊んでやりたかった。手の動きをとめ、
「苦しい? なら、やめてあげなくてはね」
「違……うの、じらしては、いや……ぁん、手のなかで、転がって……とれちゃいそう」
「熟しすぎたのかな? ……ほんとうだ、こんなに真っ赤に充血してしまって、火傷しているみたいじゃないか――……濡らしてあげなきゃ、かわいそうかもしれないね」
 痛いほど突きたっている乳首に、充分に唾液を含ませた口を近づけ、くちゅっと含むと、
「ふぁああん!」
 びくびくっと驚くほど反応して、王女は脱力した……まだ、胸に触っただけなのに? 赤い実は甘く熱くてほんのり蜂蜜の味もして、唇から離すのが惜しい。胸の果肉ごとやわやわと食んで吸いながら、舌使いの合間に訊ねた。もう片方の胸をぴんと弾き、
「もしかして、いま、いってしまった?」
「ぁ……っ……そんな」
 桜色の肌がさらに桃色に染まる。胸に触っただけで? ……彼女はどれだけ感じやすいのだろうか。試したくなり、両方の乳房を手のひらに包みこんで押しあげる。赤い実が二つ、きれいにとがって並ぶさまはとても可愛らしいし、おいしそうだ。バートは狼ばりに口を大きく開くと、二つの実をいっぺんに口に含んで左右交互に舐めはじめる。
「ぅあっ……ぁ、や、それ、激し……や、ぁん、あ、ぁん!」
 自らの嬌声に驚いてか、手で口もとを抑えるのだが、声はとめられない。鈴を鳴らしたようなきれいに響く喘ぎ声だ。もっと鳴かせてやりたい。唇をすぼめて両乳房の先端を一気に吸いあげ、ぱっと離した。ふるり、と果実が震える。
「ふぁ、ぁ、あ――…………!」
 背を逸らした王女の体そのものが、一瞬浮きあがったような錯覚。ふわり、と天にさらわれ、羽根布団に沈む。天使だろうか? このひとは……それとも蜂蜜壺? ひくひく震える腿の内側に、甘い匂いのする熱い汁が滴っているのを見つけ、バートは笑った。
「こちらが、放っておかれて泣いているのじゃないかい?」
 手を内腿に滑らせていくと、
「……や」
 子供が宝物を隠すように、身をよじって触らせるまいとする。これ以上はだめなのか――……なんて、落ちこむのはやめだ。彼女の心を知る努力をしなければ。
 バートは新鮮なクリームみたいな頬に唇を触れさせ、優しく訊ねた。
「どうして隠すの? こっちを触られるのは怖い?」
 ますますきゅっと内股を閉じながら、ハニーブロンドを横に揺らす。
「怖くはないの……でも、バートさまの手を濡らしてしまいそうで」
「感じて、濡れるのは恥ずかしいことじゃないよ」
「……そうではなく」
 消え入りそうに呟く唇を、吸ってしまいたい。
(中略)
「ぁ……ん、ちゅ……、……ん」
 キスのあいまに花から指を抜き、下穿きの前を寛げる。バートの分身は生き生きと艶めいてはやく目的を達したがっていた。前夜のものはもう乾いていたが、新たな先走りの汁が先端に滲みだしている――そこに王女自身の蜜を塗りこめ、滑りをよくした。背後で行われている一連の動作の気配に、彼女ももう気づいている……期待に息が甘くなったから。雄の先を握りしめたまま、柔らかな腿の内側をうかがうと、恥じらいつつも腰を浮かせてバートに協力した。
「あ……」
 ゆっくりと腰が沈んでいく。バート自身も、深い沼に沈んでいく錯覚を覚えた。王女の肉が分身をくわえ、呑みこんでいる。
(う、ぁ……これは)
 ぐしょぐしょの肉襞が雄を迎えていっせいに波うつ。中身を掻きだされて空虚になったそこはバートの雄をぴたりと咥えこみ、吸いついてきた。火傷しそうに熱い……まだ、動かしてもいないのに!
 はじめの衝動をやり過ごすためにバートは愛しいひとを抱きしめ、息を荒くしつつ囁いた。
「あなたは……最高だな。このような、快楽が、この世にあろうとは……」
「……わたし、も」
 いけない。彼女の声を聞いただけで胸が高鳴って、達してしまいそうだ。堪えなくては……王女はすっかりバートに身を委ねて、抵抗をやめていた。瑞々しい、かたちよい乳房がバートの胸板に押しつけられている。ほんのり汗ばんだ肌は滑らかでどこをとっても吸いついてきて、撫でているだけで心穏やかになる。愛しいひと……バートは両手で王女を抱きしめながら言った。
「あなたのようなひとに出会うためにこの身の呪いがあったなら、運命に感謝しなくては。幸せで、幸せで、心がちぎれそうだよ――……ベリンダ。あなたとこうなれるまで私がどれだけ苦しい思いをしたか、あなたには想像がつくまい?」