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身代わり令嬢の受難
~濡れるお妃教育~
京極れな イラスト/椎名咲月
伯爵家の養女に、と修道院育ちのメグに依頼があった。亡くなった娘にそっくりのメグを、王太子妃候補として身代わりにしたいというのだ。事情も聞いたうえで引き受けたメグだったが、王太子のルイスはメグの正体をすぐに見破ってしまう。弱みを握られたメグは、ルイスに従うしかなくなって…!? 配信日:2016年5月27日 


「取引したよね? 黙っている代わりに、僕の言うことをきいてくれるって」
 口調はやわらかだが、有無を言わせぬ目をしている。
 バーンズ伯爵家一門が路頭に迷うことになってもいいのかとその目が語っている。
 それは困る。ようやく手に入りかけた家族の絆が台無しになってしまう。
 そもそもメグが身代わりに応じなければ事が成り立たなかったと考えると、ここで投げ出してしまうのは気がひける。メグがバーンズ伯爵家を見捨て、亡ぼしてしまうかのような錯覚さえ抱いてしまう。
 メグがためらっているうちに、ルイスは耳朶や首筋に口づけをうつしてゆく。
 唇でふれられるたびに、そこはなぜか火がついたように熱くなった。
 ルイスはメグの背を浮かせると、本格的にドレスを脱がせはじめる。
「あ……」
 メグは彼の胸に顔をうずめるかたちで身を硬くしていた。
 せめてこの人の妻になれると約束でもされた身なら、こんな行為も苦痛ではなかったかもしれない。
 あるいはふたりのあいだに、物語に描かれるような恋愛があったなら――。
 しかし、メグは出会って間もない相手に、遊び半分で笑いながら身を許してしまえるほど器用な女ではなかった。
 釦がすべて外されると、さらにコルセットの紐がほどかれた。
 締めあげられていた胸が一気にゆるみ、奇妙な解放感があった。
 メグは抗うことが許されないまま、ドレスとコルセットを脱がされ、肌着一枚にさせられた。
 修道院では決して着ることのなかった高価な絹のレースの肌着が、メグの白い乳房のふくらみを隠していた。
「きれいな鎖骨をしてるね」
 ルイスは露わになっている鎖骨の部分をそっとなぞってきた。
男の指が、大切な宝でも扱うかのように慎重にふれてくる。
不思議なことに、不快感はなかった。その優しい手つきのおかげだろうか。
 鼓動がますます高鳴る。その音が彼に聞こえてしまうのではないかと、メグははらはらした。
 それから、彼の視線が乳房におりた。
 大きな手のひらで覆われたかと思うと、肌着越しにやんわりと揉みしだかれる。
 ゆっくりと押しまわすように、何度もくりかえし愛撫された。
「ん……」
 胸元に熱がこもっているような感覚が生じた。
 それはメグに甘い溜め息をつかせた。
「ぁん……っ」
 先端を軽く弄られると、なんともいえない熱感が迸ってメグは身を捩った。
 室内は暖炉の火があるだけでそれほど温度は高くないのに、ベッドの上で、自分の身体だけが火照ったように熱くなっている。
「もう勃ってきてる」
 ルイスが絹越しに乳頭をくすぐりながらつぶやく。
 メグも、そこが硬く尖って絹地を押しあげているのがわかった。
「や、やめて……ください……」
 メグは思わず彼の手首をつかんでしまった。そんなふうにはしたない反応をしてしまう自分が恥ずかしくてならなかった。
「感じたせいで、敏感になってきてるんだ」
 ルイスは反対の手でメグの手をそっとひきはがすと、いよいよ肌着を脱がせはじめた。
彼の手が素肌を求めて、絹のレースのついた裾をずりあげる。
上半身を裸にされてしまうと、メグはいっそう強い不安に苛まれた。
一方で、これまで感じたことのない高揚感が背中合わせに存在していることにも気づいていた。
それはルイスの遠慮のない視線や、好奇心旺盛な手の動きがもたらすものだ。
枕元の燭台にともされた蝋燭の灯を浴びて、メグの白い肌は蜜色になっていた。
「ん……」
素肌に、じかにルイスの手を感じた。
自分の身体が、男の手に弄ばれている。
まぎれもなく男に組み敷かれ、愛撫を受けているのだ。
ルイスはやわらかなふくらみの脇をしっとりと手のひらで包み込み、中指の先で頂を弄ってきた。
「あ……、や……」
 くすぐったいような気持ちよさに、メグは頬を染めて身じろぎする。
彼の手のひらの熱が乳房全体に伝わってきて、いっそう淫らに感じてしまう。
「きみは、自分がどれだけ官能的な身体をしているか知らないだろう、メグ?」
 ルイスは鎖骨から乳房にかけて口づけながら問う。
「あ……、や、やめて……」
 彼の唇が乳房に到達するころ、口づけはほとんど舐める行為に変わっていた。
 熱をおびた舌先が、素肌を舐める。それから尖りきった先端も。
「あ……んっ」
 乳首を強く吸いたてられ、思わず啼いてしまう。
 甘い痛みが胸の底、あるいはそれよりももっと深い身体の芯に響いて、どういうわけか、もっとそうされたいと思ってしまう。
「嫌いじゃないみたいだね」
 ルイスはふたつの乳房をそれぞれつかみ、頂を気まぐれに舐めたり吸ったり、しゃぶったりしてくる。
「ンッ……あ、あ、やぁっ……、そんな……舐めないで……、舐めたら……いやです……」
 彼の舌は、メグを欲情させるために卑猥な動きをくりかえす。
「舐めてほしいって、ここがいやらしく尖って僕に教えてくれるから」
ルイスはちゅぷちゅぷとわざと卑猥な音までたてて舐め尽くし、メグを煽ってくる。
「あ、あ、はぁ、はぁ……っ、や……やめて……っ」
身体の芯に響く甘美な刺激は、徐々にメグの理性を奪ってゆく。このまま快感に身をゆだねてしまいたくなる。
「感じやすい身体をしてるんだね、メグは」
乳房を揉むルイスの手にもしだいに力が入ってくる。
メグは身体が熱くてたまらなかった。
だから、彼が乱れたドレスのスカートをめくりあげて太腿を愛撫しはじめても、溜め息を吐きだすことしかできなかった。
「こっちの大事なところもさわらせてほしいな」
 ルイスが下肢をまさぐる手はそのままに、顔をのぞきこんで訊いてくる。
「や、そこは、だめ……だめです……」
 メグは本能的に内腿を閉ざした。ここは子をなすための大切なところだ。
(こんなところをさわるだなんて……!)
 取引したとはいえ、さすがに抵抗があった。
 けれどルイスの手が、そこをやんわりとひらかせてしまう。
「無理もないか。両脚を男に向かってひらくだなんて、修道院じゃ絶対にしない行為だもんね」
 ルイスはうっすらと苦笑しながら、ひらかれたメグの秘部をドロワーズ越しに眺める。
「や……、み、見ないでください……」
メグは今ドレスを乱し、とんでもなくはしたない格好をしている。羞恥のあまり、涙が出てきそうになった。
けれどルイスは引き返してはくれない。
「大丈夫だ。一緒に気持ちよくなるための準備を少しするだけだよ」
 優しい声でなだめながら、恥丘のあたりに手をのばし、おもむろにそこを愛撫しはじめる。
「ぁっ……」
 メグはびくんと腰をはねさせた。
 ルイスがふれたのは、秘所の中でもとりわけ敏感な部分だ。乳首を愛撫されたときのように、快い感覚がじわじわとそれに集まってくる。
ルイスはその花芯を指先でころころと転がしたり、圧しまわしたりして執拗に弄ぶ。
花芯はそのたびに熱く張りつめてゆく。
「ふくらんできた。気持ちいいんだろう?」
「や、あ、あぁっ……、はぁっ、はあっ……」
 メグは内腿をびくびくと震わせてその指戯に耐える。
なんなのだろう。身体がおかしい。
花芯の先端だけでなく、陰唇のあわいにまで熱と快感がじりじりと集まってくる。
 理性を奪う快い感覚だ。すぐにでもやめなければと思うのに身体はいうことをきかない。ルイスにもその気はなくて、ますます淫らに指を動かしてくる。
「ああ、濡れてきてるよ、メグ」