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略奪マリッジ
~黒皇子の指先に蕾姫は濡らされて~
斎王ことり イラスト/田中 琳
愛する人の死の真相を探るため、とある城に男装して潜入したフェアリル。その 秘密を知ったジェレミアムから、昼も夜も裸にされて口づけを受けるフェアリル は、どんどん淫らに調教されてしまい……!? 傲慢オオカミ王子様と男装令嬢の略奪系エロマンティック・ラブ♡ 発売日:2012年10月3日 


「包帯か? おまえも怪我を?」
 どきんどきんと、激しい鼓動が鳴りやまない。
 疑いの眼差しを感じている。やはり、どう見ても怪しいだろう。
「サラシを……解いてみろ。何かあったら、責任問題になる」
「これを……ですか?」
「ああ。すぐにだ。それとも俺に裂かれたいか? そういうのが趣味か?」
 彼はエメラルドの瞳を滾らせながら、フェアリルの胸もとに果物ナイフを当てている。
「いや……違います。あの」
 ジェレミアムの指が、真っ白な胸を禁欲的に押さえつけているサラシにかかり、乳房と思わしきあたりをいやらしく這い回る。
 いくら固く巻いていても、そのかすかな膨らみは触れば一目瞭然だ。
 ナイフの先が、乳首の尖りを何度かくるりと撫でさする。
「ひ……」
 とぎすまされた剣の先端がサラシと白い素肌の間に挿入される。
 ひくん! と、フェアリルの乙女の素肌が悲痛に戦慄く。
(ダメ……ダメよ、もうこれでおしまいだ……ばれてしまう……)
 ビリリリリリッ!
 小気味よく裂かれていく布の震動が、フェアリルのなめらかな胸部に走った。
「ああ、君の怪我がとっても心配だから裂いてしまったが、これは大変な大怪我だな」
 ふっと、彼の吐息が乳首に当たった。
 ふたつの乳房は、酷い拘束から解放されて、大きく膨らんでいる。
「どんな事故に遭ったら、これほど美しい乳房が盛り上がるのだろう?」
 指先でつんつんと、まだ恥ずかしそうに柔らかな丘に埋もれている乳首の先端をつつかれて、フェアリルは喘ぎが出そうになるのを必死でこらえる。
「答えてごらん? 君は男だよね? 生物学上男性のはずだがこれは見事な乳房だね」
 また先端を突かれる。
 乳首をいじめていた手は、次第に乳輪に反ってぐるぐると爪の先で円を描き、そっと指先でつまみ上げては離すという、まるで玩具を弄るような、そういう手つきになっている。
「あ、やッ、やめて……ください……」
「やめて? どうして? 嬉しそうにここが立ち上がってきたけれど? これでやめてはダメなんだろう? これもおまえの嘘だよな?」
「いや……です。やめて……離してください」
 顔をうつむけるフェアリルの顎を持って、ジェレミアムは黒い髪の下から眺め倒した。
 ばれてしまった。女だと、偽りの姿でここに来たとばれてしまった。
「事故は何の事故?」
「───馬の……馬に蹴られて……腫れたんです」
「へえ、イングラム国の馬はなかなか洒落ているんだな、きっと牡馬だな」
「そ、そうです……」
 もう破れかぶれだった。ギュッと眼を瞑ったまま。彼の手で両手を拘束されたまま。足は彼の膝がしっかりと両方押さえ込んできていて、身動きすることも、足を抜くことも出来ない。
 武術に優れたものに、肉体的に反撃する隙はない。
「では、下の部分もきっと何かの事故にあっているんだろうな、どういう事故だろう。あまりに美しい男根すぎて、変質者が根こそぎ食らってしまったとか? 舐めていたら溶けてしまったとか、そういう話になりそうだな。ねえ?」
 意地悪だ。どうせもうわかっているくせに、わざと皮肉を言っていじめている。
 彼の嫌がらせは、たちが悪い。
 なまじ美声で、ため息を交えたしゃべりがぞくぞくするほど色っぽい。そのせいで、フェアリルは悔しいのに、恥ずかしいのに、肌の奥底から婬猥な快楽を求める疼きを激しく感じてる。
「ぃや……やめて……ください。み……ないで」
 ジェレミアムの甘く淫らな視線が、ふっくりとした淫唇に注がれているのが痛いほどわかる。
 身を捩って、そこを隠そうとするのに、彼の力はびくともしない。
「くす……見事な事故だ。事故でこれだけ美しい淫唇を得られるなら、その事故に遭いたいと言うものもいるだろうね」
 彼の声がやおら、フェアリルの恥ずかしい谷間へと沈んでいく。
 ふっと舌先が、恥丘に触れ、ねっとりと舐め上げてきたと思うと、そこから秘裂に駆けて滑り込む。
「ひああああああああん!」
 唐突に、感じたことのない激しい快楽が迸った。
 そんな舌を今まで感じたことはなかった。
「あ、うう! ん! はあん! や……いやぁッんッ!」
 続けられる淫猥な舌先の愛撫に、フェアリルは激しく頭を振ってよがる。
 舌は秘裂の奥のたいせつな乙女の芽に触れ、突いては嬲るように押し倒す。
「ん! ぅふンッ!」
 どくどくと、胸が打つ。
 呼応して、びゅるびゅると、中から何かの熱い蜜が蕩けだした。
「ああ、素敵な蜜が溢れてきたな。さすが、女体は男とは違う」
 秘裂に吐息がかかる。舌で激しく叩くようにされて、芽心は立ちそして横に押しつぶされる。
 尖らせた舌先が、芽心の先端を掠めるように嬲り続ければ、フェアリルは肌を桜色に染め始める。
「いや……いやぁ……お願い、もうやめて……」
 声が乙女の声になっていることも、もうかまってはいられない。
「どうして? ここはこんなに悦んでいるのに。さあ、これは命令だ。俺が手を放しても、足を放しても、フェアリル、君はここで大きく体を開いていなくてはいけないんだよ、ほら」
 ジェレミアムの淫靡な声に、手が放されても、足を押さえつける膝がゆるめられても、フェアリルは、開かされた腕も、腿も、そのまま自分で閉じることも出来ずにいる。
「ああ、いい子だ。さすが俺が見込んだ特別な特待生だ」
 ジェレミアムは、そのままの姿勢で、辱めを受けているフェアリルを優しく褒めた。
「ああもしかしたら。魔術でここは取って、そしてここは美しい双丘をつけたのかな」
「あっ……うぅ。魔術なんて……ないです、紋章も……しら……な……離して……あンっ」
 乳首をクリリとひねられ、別の手ですぐ、淫唇を深く撫でられて、フェアリルは浅く喘ぐ。
「ジェレミアム… …ジェレミアム? ここにいるかい? いいものを持ってきたよ」
「あ……うそ……いや」
 ジェインだ。
 ジェインが扉の外で、ノックをくり返している。
「いるんだろう? 入ってもいいか?」
 礼儀正しいジェインなら。すぐ飛び込んできたりはしないだろう。でも、双子の兄弟のいる部屋だから、普通よりは遠慮心はないはずだ。
 フェアリルは震えた。