TOP>文庫一覧>皇帝の求愛~身代わり寵妃は甘く乱され~
皇帝の求愛
~身代わり寵妃は甘く乱され~
京極れな イラスト/オオタケ

キーワード: 中華 緊縛 淫具

没落貴族の娘・珪霞(けいか)。身体が弱いことを隠して後宮に入った妹が、皇帝に気に入られたらしい。まだ契ってはいない今のうちに、なんとしても皇帝の子を産むべく、ここから先は珪霞に身代わりになってほしいと言われてしまう。
父からも命令されて仕方なく入れ替わりに応じるが、皇帝・蒼祥(そうしょう)を本当に愛し始めてしまった珪霞は…!?
発売日:2013年9月3日 


「怖いか?」
 牀榻に珪霞をあおむけに寝かせた蒼祥が、硬い表情で固まってしまった彼女を上からのぞきこんできた。
「………」
 珪霞は乱れた懐を押さえたまま小さく頷いた。閨房に戻って褥に横たえられると、恥じらいとおなじくらいの不安がよみがえって一気に緊張が増した。おまけに自分は麗杏ではなく、その身代わりだ。
 蒼祥は緊張している珪霞を組み敷いたままひと思案したあと、
「なにも知らないから不安になるんだろう。韋賢妃のように、経験してしまえば怖くなくなるよ。……おいで」
優しく彼女の身を起こしてやると、先に牀榻に縁に腰掛けた自分の膝の上に、背中をあずけるかたちで彼女をすわらせた。
「なにをするの、陛下……?」
だれかの膝の上にのせられるなんてはじめてのことだ。背中に彼を感じて、その肉体的な包容力と安定感にどきどきしてしまう。臀部に密着しているのはもちろん彼の陽物だ。
なぜこんな格好になっているのかとけげんに思っていると、
「あれを見ろ」
 彼がうしろから、ふたりの前方を顎で示した。
「あ……」
 言われたほうを見ると、そこには玻璃製の姿見があった。楕円を描く縁の彫刻が見事なおおぶりのものだ。これまで景色に溶け込んでいたし、蒼祥との会話に気をとられてその存在にはまったく気づかなかった。
「あそこに映っているのはだれだ?」
 蒼祥は含み笑いを洩らしながらわざわざたずねてくる。
 珪霞はどきりとした。磨きこまれた鏡面に映っているのは、乱れた襦からしどけなく乳房の一部をさらした娘だ。
「わ、わたし……」
 自分の淫らな姿が恥ずかしくて、かぼそい声しか出ない。
「そう。それと、おれのふたりだ。いまからあそこに、おまえがおれとの房事でどんなふうになれるのか映してやるからよく見ていろ」
そう言って蒼祥は裙子をたくしあげて、珪霞の脚をひらかせようと内腿を愛撫してくる。
短褲はさっき脱がされたから、彼の手はそのままじかに秘所に届くことになってしまう。
「いや………」
 珪霞は素肌を這う彼の手に抵抗して腿を閉じようとした。鏡に下肢を映して見せるだなんて。そんなのふつうにするより恥ずかしい。
「韋賢妃たちがするのはじっくりと見ていたくせに?」
「それは……」
「おれはすごく見たいよ。愛しいおまえの大事なところ」
 蒼祥は耳朶に口づけながら、欲望をたたえた熱い声で囁く。
 そして耳や首筋に口づけをくりかえし、襦の中の乳房をまさぐりながら、少しずつ珪霞の恥じらいをとりさってゆく。
「ん……」
背中に密着した彼のからだが熱い。ひきしまった筋肉のわずかな動きまでが伝わってくる。
素肌にふれられるたびに、その感覚が官能に訴えてきて珪霞は怯む。
それから内腿の線をゆっくりと辿られて、愛撫される心地よさに惹かれてしまった彼女は、ついに下肢を大胆にひらいてしまう。
「あ……」
 艶やかな下生えと、慎ましく閉ざされている秘所のあわいが、鏡の中に露わになった。
そこは蜜でも塗りつけたかのように濡れて、燈籠の灯に鈍く光っている。
「花びらがいやらしく色づいて、もの欲しげにヒクついてるな」
 蒼祥の好奇に満ちた視線は、鏡越しにじっとそこに注がれた。
「み、見ないで……陛下」
 珪霞は羞恥のあまり鏡から目をそむけた。胸がどきどきと異様に高鳴る。
「こんなに色っぽくてきれいなからだをしているのに、どうしてそんなに恥ずかしがるんだ、麗杏?」
 そう言って蒼祥は、内腿を愛撫していた手をつっと秘所に這わせてきた。
「んっ………」
 甘い感覚とともに、彼の指の腹がぬるりと陰唇をすべった。
「房事を覗き見しただけでこんなに濡らして。おまえのからだは感度もよさそうだな」
 蒼祥は濡れそぼった陰唇に指をすべらせながら、悦に入った笑みをうかべる。
「は……ぁ……、はぁ……、あ……ん……」
 ぬめりのある指先になぞられるたびに、そこにはゆるい快感が生まれて内奥に響く。
「濡れた花びらがきれいだな、麗杏。はやくここにおれのものを挿れて散らしたくなる」
 蒼祥は、熱をもって焦れている蜜口をゆっくりと愛撫しながら囁く。
 欲情もあらわな発言に、珪霞はからだだけでなく頭まで痺れるような感覚にみまわれる。
 やがて彼の指先が花芽にふれて、珪霞はぴくりと腰をはねさせた。
「あ……っ」
「さっき、感じていたのはここか」
 その小さな膨らみは陰唇よりもずっと敏感になっていた。
「だ……、だめ……」
 なにか取り返しのつかないことが起きそうな気がして、珪霞は焦った。
 蒼祥は珪霞の警戒をよそに、そこを指先で弧を描くように局部的に刺激してくる。
「ん……あ……、そこ……は……」
花芽が莢の中で、じわじわと熱をもって膨らみはじめてしまう。
「ここは一番さわってほしいところだろう? 硬くなって、もっとさわれとおれに訴えてる」
 蒼祥はいじわるを言って、ぬめりのある指の腹で何度もそこを捏ねまわしてくる。
「あ、あ……だめ……、やっ……ああ…ん……っ」
 さっきとおなじように、痺れるような甘い感覚が下腹部から下肢にかけてびりびりと走る。
 おさまりかけた官能を呼び起こされて、からだがみるみるうちに快感にほどけてゆく。
「や……、中……、濡れて……」
 花芽を弾くようになぶられて、内奥からますます愛液がにじみだすのがわかる。
これは自分のからだの奥から溢れているものなのだ。房事の手引きにあったとおりの反応だ。
「ん……ぁ……、あぁんっ、はぁ……はぁ……、もう、やめて……陛下……」
 珪霞は観念したように目を伏せ、こらえていた息を吐き出す。からだが言うことを聞いてくれず、勝手に彼の愛撫を求めてよがってしまう。
「まだはじまったばかりだよ。中に、指を挿れてみようか?」
 蒼祥は言いながら、濡れて疼いている蜜口に指をすべらせてきた。
「あ」
 媚壁を圧迫するわずかな異物感に一瞬不安をおぼえた。
けれど、きつい抵抗ははじめのうちだけだった。何度か試すようにゆったりと抜き差しをされているうちに、彼の指が徐々に媚壁の心地よいうねりを誘うようになる。
「ん……、あぁ……、指……、挿れちゃ………」
抵抗を上まわる心地よさに惹かれて、珪霞はしだいに拒むことを忘れてしまう。
「はぁ……ん………」
そのまま浅いところで愛液をまとった指を動かされると、溜め息が出るほどに気持ちよくて、気づくと珪霞は、引き抜かれた彼の指がふたたび入ってくるのを待っていた。
「気持ちいいか、麗杏?」
 蒼祥は、密洞の中に何度も指を行き来させて、濡れた媚壁を淫らにこすりたててくる。
「あ……、んぁ……、そんなに……さわったら……、ンン……っ……」
「さわったら、どうなるんだ?」
「はぁ……はぁ……、んっ……、や……っ……、あぁん……」
 ゆるく心地よい快感が、ため息に変わって彼女の口からこぼれる。
「甘くていい声だな、麗杏。好きだよ、その声」
 彼の指はさらに奥を拓いて、官能の悦びをいやおうなしに教え込んでゆく。
「ほら、その淫らな声をもっとおれに聞かせてくれよ。いまのおまえ、すごくいい顔してるよ」
 耳に熱い声を吹き込まれて、珪霞はますます追いつめられる。
彼女は快感に酔いはじめたうつろな目を鏡にむけた。
そしてそこに映った自分の姿に、どきりとした。
うしろから男に抱かれた娘が、着崩れた襦から乳房を晒して、はしたなく脚をひろげている。
火照った頬と、濡れて潤んだ双眸。おまけに蜜にまみれた男の指を陰戸に深々と吞みこんで、淫らに中を捏ねまわされている。
この娘はだれ? 
これはわたしじゃない。麗杏。
だって、わたしはこんなことをされて喜んだりはしないもの。
珪霞はかすみのかかったような意識のなか、淫靡な姿で乱れる自分から目をそむける。