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トロワ・ローズ
烈王と騎士に愛されて
ゆきの飛鷹 イラスト/横馬場リョウ
クラルティ王国に嫁いだアベラール王国の王女、 セレスティーヌは、美しく男らしい国王、 エドガールと迎えた初夜に目眩を起こしそうだった。
しかし、エドガールの欲望はとどまることを知らず、 やがて彼はセレスティーヌの幼なじみで騎士の レアンドルを寝室に招き入れ、ありとあらゆる 方法でセレスティーヌを悦ばせようとして!?二人の男に愛されたセレスティーヌは・・・!?
発売日:2012年8月3日 


「エドガール、さまぁ……」
 自分の手を彼の手と思うべく、その名を呼ぶ。彼は膝を立てて座ったままで、その男性はあの水晶の張り形以上に隆とそそり勃っているのに、彼は性欲など感じていないかのように涼しい顔をしてセレスティーヌを見つめている。
「どうした。もっとだろう?」
「あ、ぁ……」
 そのまま、指を差し入れた。花びらを探り、くちゅりと音を立てる。自分のそこがどのような形をしていて、どのような感覚であるのかなど、今まで考えたことがなかった――指先に伝わってくるのは複雑に折り重なった濡れた肉。まさに花びらのような――大輪の薔薇のような。
「……ふぁ、あ……っ……」
 くちゅ、くちゅとそこをかき混ぜるごとに、徐々に体温が上がってきた。セレスティーヌは身を浮かせ、膝立ちになってそこに指を押し入れる。
「ん、く……っ……」
 ぐちゅん、と音がして、指が招き入れられる。熱い内壁が感じられた。その感覚に、くらりとする。ここで、男を受け入れるのだ。エドガールのそれも、レアンドルのそれも「違う」とはいえ、同等にセレスティーヌに快楽をくれた。彼らが動かすようにセレスティーヌは指を動かす。出し入れを繰り返し、さらに粘ついた音を引き出した。
「やぁ、……んん、っ……」
 太さが足りなくて、三本を突き込んだ。それでも長さはどうしようもなくて、懸命にぐいと押し込む。引き寄せて、また突き立てて。そうしているうちに、まるで男に――それは、エドガールなのかレアンドルなのか――そうされているような錯覚に陥り、ふわりとセレスティーヌは身を寝台のうえに投げ出した。
「あふ……っ、っ……」
 上半身は寝台に沈め、下半身を高く持ち上げた恰好でなおも秘部をいじる。繰り返し出し入れをしているうちに、左手が半ば、無意識に動いた。それは自分の臀をすべり、その奥に至る。レアンドルが指一本を突き込み、そこでも快楽を得ることを教えてくれた場所――後ろの蕾に指の先を差し入れた。敏感な肉が指に巻きつき、もっと、とねだってうごめき始める。
「ふぁ、あ……あぁ、あ……っ……」
 前と後ろ、両方を刺激することでセレスティーヌはますます夢中になった。前の蜜壺に埋める指は大胆にかき回し、後ろの蕾に埋めた指はゆっくりと回す。その動きの違いが新たな快楽を生み、腰を高く上げたまま、セレスティーヌは己の行為に没頭した。
「ぃう……、ん、んんっ……」
「――というわけか」
 エドガールが、何かを言った。しかしセレスティーヌの耳には、その断片が入ってきただけだった。彼女の手は自らを慰めることに夢中で、ただ両方の孔を刺激して、迫り上がる快楽に溺れていく。
「あぁ、あ、ああ……っ、……っ……」
 絶頂は、思いのほか早く来た。びりびりと、全身が痺れるような感覚。セレスティーヌは大きく身を反らせ、つま先を反り返らせる。今まで何度も味わった、快楽の極み――それにすべてを預け、何度も身を痙攣させたあと、ぐたりと寝台のうえに身を横たえた。
「は、っ……、ぁ、あ……っ……」
「入れ」
 エドガールが何かを言っている――しかしセレスティーヌには、それを理解するだけの余裕がない。がたんと何かの音がしたのも、絨毯を踏む足音も。
「……王」
 引きつったような声は、誰のものだろう――ひどく慕わしい声。セレスティーヌはゆるゆると目を開く。涙に曇った目は、なかなか目の前の光景を映し出さない。黒い髪、緑の瞳。それがまっすぐに自分のほうを向いていることに、セレスティーヌはいきなり起きあがった。
「エドガールさま、……、こ、れ……は……」
「セレスティーヌ」
 彼は、笑いを含んだ声で言う。そのかたわらには、凍りついたようなレアンドルが立っているのだ。
「私の上に座れ。そう、こうやって」
 エドガールの手が伸びてくる。腰を引き寄せられて、セレスティーヌは悲鳴をあげる。しかし彼の手に逆らえるはずがない。セレスティーヌは胡座をかいたエドガールの膝の上に座らされ、そのまま腰を落とさせられる。
「ひぁ……、エドガール、さま、ぁ……」
「そのまま腰を落として、お前の濡れたところに私を入れるんだ」
 このような、恰好。自ら男を受け入れる体勢なんて。しかも、目の前には――。
「レアンドル。そこで見ていろ。私たちが交わるところを、な」
「は……」
 強ばった声が聞こえる。セレスティーヌはぎゅっと目を閉じ、エドガールの肩に縋りついた。そのまま、ゆっくりと体重を下ろしていく。
「ひぅ……っ、っ……」
 じゅくり、と蜜園が開かれる音。先ほどまで自分の指で開いていたとはいえ、エドガールの欲望はさらなる太さがあった。それが、入り込んでくる。熱杭がセレスティーヌを犯す。ずくり、ずくりと中に入ってくる――。
「あぁ、あ……あぁ、ああ、あ!」
 いったん達した体は敏感になっていて、どうしようもなくセレスティーヌをさいなんだ。つま先までが、快楽に痺れる。あまりの重量にセレスティーヌの体は跳ね、しかし腰はエドガールの強い手に押さえ込まれてしまう。
「やぁ、あ、あ!」
「どうだ。違うだろう?」
 セレスティーヌの耳の端を囓りながら、エドガールはささやいた。
「お前の指と、私のもの……そして、レアンドルのものは?」
「あ、や、ぁぁ、あ!」
 下から突き上げてくる衝撃は、セレスティーヌの胎内を容赦なく突いた。子宮の口まで届く長さは、しかしすぐに引き抜かれ、媚壁をせつなく疼かせて、また突き上げてくる。擦り立てられる快楽、突き上げられる愉悦。続けざまに力強い律動を与えられ、セレスティーヌは惑った。惑いながらもエドガールの肩に指をかけ、彼の肉を掴むようにして自らも腰を揺らす。
「あぁ、ぁ……あ、あっ、ああっ!」
 再び目の前にかかり始めた涙の膜の向こう、ふたりを見つめる緑の瞳がある――レアンドルが、ふたりを見ている。エドガールに翻弄されるセレスティーヌを見ている。
(レアン、ドル……!)
 そのことは、恐ろしい快楽だった。エドガールに抱きしめられ、腰を突き上げられ内壁を擦り上げられ、それに喘ぐ姿をレアンドルが見ている――これほどに快楽を感じたことは、今までになかった。これほどに翻弄された経験は、濃厚な夜の生活を送る中でも、一度たりともなかったのだ。
「……っあ、あ、ああ……ぁ、あ!」
 エドガールの強い手がセレスティーヌの細い腰を掴み、引き下ろす。同時に突き上げられて、確かに彼の欲望は子宮の奥にまで届いた――セレスティーヌがそう感じた瞬間、熱すぎる淫液が体の奥に撒き散らされる。同時にセレスティーヌも、甲高い嬌声を上げて達していた。まるで彼女も射精するかのように、ぴゅっと放たれた透明なものがふたりの間を濡らす。
「は、……ぁ、あ……っ……」
 なおも力を孕んだままのエドガールを胎内に受けとめながら、セレスティーヌは全身の力を失った。倒れ込む前に、エドガールの腕がセレスティーヌを抱きしめる。ふたりの、汗に濡れた体がぴたりと重なり合った。彼の熱をまた深く感じて、セレスティーヌは息を吐いた。
「……レアンドル」
 エドガールも、息を切らしてそうつぶやく。
「お前も、脱げ。妃の、もうひとつの孔を開いてやるんだ」
「……王」
 言葉にならないほどにくぐもった声は、レアンドルのものだ。セレスティーヌはゆっくりと、顔を上げる。なおも自分を見つめるレアンドルの瞳を目に、どくんと下腹部の奥が反応した。
「ほら、妃も待っている。早くしてやれ」
「……、……王」
 レアンドルの声は、戸惑いだ。そもそも、なぜ彼がここにいるのだろう――しかし続けざまの絶頂にぼんやりとしたセレスティーヌの意識は、考えごとには向いていなかった。
「私が、知らぬと思ったか?」
 セレスティーヌを抱きしめたまま、エドガールは笑いを含んだ声で言った。
「私が巡察に向かっていた間、妃の体を慰めてやっていたのは、お前だろうが。それよりも、前。輿入れ前に、妃の処女(おとめ)を奪ったのも、お前だ」
 王、と喘ぐようにレアンドルは言った。レアンドルを見やり、なおも微笑むエドガールは目を細める。
「妃がすでに処女(おとめ)でなかったことを、私が知らぬとでも思ったか? 確かに処女(おとめ)の徴は、ない者もある。しかし、あの反応……初めて男に抱かれる者の反応ではなかった。それすらもわからぬほど、私の目を節穴だと思ってか」
 レアンドルは、それ以上何と言えばいいのかわからない、とでもいうように低く咽喉を喘がせる。しかしエドガールは、うるさいとでも言わんばかりに片手を振った。
「早くしろ。そこに、張り形があるだろう。妃の体を悦ばせる、もうひとりの男だ」
 エドガールのその言葉に、セレスティーヌは再び反応する。彼の腕の中で、震えた。――もうひとりの男。あの透明な、水晶の張り形がセレスティーヌを悦ばせてくれる――。
「エドガール、さま……」
 顔を上げて、セレスティーヌは呻いた。彼は黒い瞳をすがめ、セレスティーヌの髪をこめかみからかき上げた。
「そうだろう? セレスティーヌ。お前も、レアンドルと……あの張り形に攻めてもらいたいと考えているのではないのか」
「あ、っ……」
 ぞくぞくっ、と走った痙攣に、セレスティーヌは耐えた。しかし、それが限界だった。彼女は、汗に濡れた髪を後ろに流しながら、顔を上げる。そこにまだ立っているレアンドルに、水色の瞳を向ける。
「レアンドル……、早、く……っ、……」
 それはまるで、あのときのようだ、と思った。輿入れ行列の野営が盗賊に襲われて、レアンドルはセレスティーヌを連れて逃げた。その先で、彼はセレスティーヌの髪にくちづけをして――それを見たセレスティーヌが言った言葉。それが、ふたりの始まりになった。
「早く、来て……、わたしを、悦ばせて……」
 掠れたセレスティーヌの声に、レアンドルは呻いたのか、悪態でもついたのか。彼は、ばさりと上衣を脱いだ。脱ぎ着することには手慣れているだろう近衛騎士の衣装、しかしそれでもいささか性急に思える手つきで、衣服を脱ぎさった。
「……あぁ……」
 再びセレスティーヌが震えたことを、その胎内を犯すエドガールが気づかなかったはずがない。彼は、またセレスティーヌの髪を撫でた。そしてセレスティーヌの腰に手を伸ばすと、軽々と彼女を抱きあげたのだ。
「や、ぁ……ぁ、……ん、っ……」
 ずるり、と音がして彼が抜き去られる。喪失感にセレスティーヌは啼き、しかし次に取らされた格好に、目を見開く。
「……あ、ぁ……っ」
 先ほどと、同じだ。セレスティーヌは腰を高く上げて、四つん這いになっていた。目の前には、淫液にまみれたエドガールの欲望――それを口で愛撫したことはあったけれど、それはたった数回、数えるほど。しかもこれほど近くにあって、まじまじと見ることは初めてだった。
「レアンドル。舐めてやれ」
「……はい」
 背後からの、レアンドルの声。この体勢では彼が見えない――振り返ろうとしたセレスティーヌは、しかし後頭部をエドガールに押さえつけられた。
「お前は、こっちだ」
 口に、指をねじ込まれた。思わず開いた唇の間に入り込んできたのは、先ほどまで受け入れていたエドガールの怒張だ。それは蜜に濡れててらてらと光っており、口に入れると奇妙な味がした。
「う、く……っ、……っ」
「セレスティーヌ、お前はこっちを舐めろ。私を、またその気にさせるんだ」
 もう充分すぎるほどに育っているのに、彼はそう言う――では、彼が再びその気になったとき、それはどれほどの大きさなのか。考えるセレスティーヌは震え、しかし同時に、後ろから触れたものに声をあげた。
「あ、……ぁ、あ、あ!」