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帝の寵愛
咲く花に悦楽の蜜おりて
京極れな イラスト/綺羅かぼす

キーワード: 平安 初恋 婚姻 淫具

【挿絵全点フルカラー】尚侍(ないしのかみ)として、帝に仕えることになった咲姫。両親からは帝を篭絡するように期待されるが、咲姫は幼いころの初恋が忘れられない。だが、いっこうに御子をつくろうとしないという帝が、なぜか咲姫には積極的に近づいてくる。彼の強引で、ときに優しい愛撫をかわすのはとても難しくて…!?雅な平安エロス・ラブ! 配信日:2016年1月29日 


「どうして黙っていたの?」
 雅平は、張り型はそのままに、背後から優しく訊いてくる。
「こんなことになるとは思わなかったから……」
「こんなことって、張り型で咲がここを濡らしてしまうこと?」
「あ……っ」
 乱れた緋袴を退けて、雅平が張り型の亀頭部を秘所の疼いているところにあててくる。
「や、やめて、主上っ」
 咲は秘裂に唾液まみれの硬い白玉を感じて身を捩った。
「いやがっているわりにはよく濡れてるみたいだけど?」
「あ、あ、や……」
 張り型の亀頭部が愛液に濡れて、それが花芽をさわるので咲はビクビクと腰をふるわせる。
「咲が、頭中将と何の話をするつもりなのか教えてほしな」
 雅平は、花芽を先端部でヌルヌルと弄りながら意地悪く問う。
「ん……っ、お、沖という名の女房について、です」
「沖? 聞いたことのある名だな」
「沖は……、もとは帝付きでした。……当時は……あ……んっ、主上の御髪上げを担って、主殿寮とも縁がある女房で……。あ、挿れるのは、や……やめ……」
「話を続けていいよ」
「そ、それで……今回の帝の御髪盗難事件に……なにか関わっているか……、はぁっ、あ……、あるいは特別な情報でも……、んっ……、握っているのではないかと……思って、頭中将さまに頼んで……探りを入れてもらっていたの……」
 咲は張り型の蜜口に入るか入らないかの卑猥な動きに翻弄されながら、やっとのことで説明した。
「なるほど、色好みの頭中将にはうってつけの役割だね。咲は私のためにそんなことまでしてくれていたのか。それなのにこの前は嫉妬して乱暴をしてしまってすまなかったね」
 雅平は張り型を動かす手をとめて詫びると、咲の首筋にちゅっと口づける。
「ん……」
 背後からされると弱くて、咲は甘い気持ちでいっぱいになってしまう。
「お詫びにこれで気持ちよくしてあげる」
「あんっ」
 ふたたび張り型が蜜口にあてられた。
かと思うと、ぬぷっと柔襞を割って亀頭部を挿入される。
「や……、ほんとに……入って……」
「そうだね、咲のここが欲しがるから。……しゃぶっているうちに感じてしまったの?」
 雅平はぬぷ、ぬぷとゆっくりと張り型を抜き差ししだす。
「あ……ぅ……」
硬く無機質な感覚はおよそ実物とはかけはなれて異物感だけがあったが、慣れて体温がそれにうつりはじめると、少しずつよくなってきてしまう。
背後に感じる雅平のからだと、下肢からせりあがってくる快い官能に酔いはじめて、甘い溜め息がこぼれてしまう。
そのとき、御簾のむこうに人影があらわれた。
 恍惚としかけていた咲は、ひやりとした。
「咲姫」
相手は頭中将だった。
「頭中将さま……」
雅平からはなれようとしたけれど、彼がそれを許さなかった。張り型こそ引きずりだしたものの、胴部にしかと腕をまわして咲のからだははなさない。
「少し遅れてしまってすまないね」
「い、いいえ」
「この前の件、調べがついたよ」
 頭中将は咲がどんな状態にあるか知らないので、御簾越しに話をはじめる。
 鹿乃はなにをやっているのだろう。主上がいるのであとにしてくれと追い返してくれればよかったのに。
 こんな状況にもかかわらず、雅平は張り型で花芽や蜜口を嬲りだす。
(あ、や……、はぁっ、そんな……圧さないで……)
下肢の芯はじりじりと熱をもって、どんどん飢餓感を募らせてゆく。
 雅平の絶妙な性技のせいで、感じて濡れてしまうのがわかった。
「様子が変だな、咲姫。どうかしたのかい?」
「どうもしてな……、ぁっ」
 まさか、衣を乱して睦みあっているとは思うまい。
「しかし、それじゃ、まるで閨で出す声みたいだ」
 そのとおりだから返す言葉もない。
咲は、無言で快感を受けとめるのが困難であることをはじめて思い知った。
「咲姫、入るよ?」
 あきらかな異変を感じた頭中将が御簾をあげようとする。
「だめ……です」
 いまは、袿や単衣を乱した咲の背後から、雅平が陰部に張り型を突っ込んでいるところだ。
おまけに頭中将のいる簀の子縁のほうを向いているので、御簾があがったらもうあられもない姿をさらすことになる。
「どうして」
「あン……、え、ええと、それは……」
 説明しようにも、彼の手が咲の乳房を揉んでくるから言葉が浮かばない。
 雅平は、せめて両脚くらいは閉じようと抗う咲の内腿を左手で押さえつけ、張り型の先端の丸みをぐりぐりと花芯に圧しつけだした。
「はぁっ、や……」
 敏感な突起につるりとした表面が滑るたびに、甘美な感覚が生じ、咲はふるふると内腿をふるわせて喘ぐ。焦る一方で、快感に悶えて背をのけぞらせてしまう。
「大丈夫なのかい、咲姫、ほんとうに入るよ?」
「あ、あぁ、だめぇっ」
 こんな淫らではしたない姿、見られるわけにはいかない。