TOP>文庫一覧>恋嵐~艶桜あでざくらの契り~
恋嵐
艶桜あでざくらの契り~
京極れな イラスト/アオイ冬子

キーワード: 平安 すれ違い 敬語攻め 淫具

両親を失い、田舎でひっそり暮らす澪姫は、怪我をした若者・伴成と出逢う。惹かれあい、結ばれた二人。だが伴成は都に戻ってしまう。弄ばれたのではと不安になる澪姫のもとへ、都から迎えがくることになり…!? 発売日:2014年10月1日 


澪はほとんど快感に意識を奪われた状態で、はあはあと喘いだ。指先が与えてくれる刺激が気持ちよくてたまらない。恥ずかしいと思うのに、からだは無意識のうちに愛撫を求めてよがってしまう。
「かまいませんよ。好きなだけ弄ってあげますから、もっといやらしく乱れてください」
 伴成は頬を染めて悶える澪を、悦に入ったようすで眺める。
 いたずらな指先は、濡れて敏感になった澪の花芽をぐりぐりと弄り続ける。
「あ……あ……、んぁ……、だめ……、はぁ……はぁ……」
 伴成の指先が小刻みに弧を描く。そのたびに快感が波紋となって下肢に広がる。
 深くなる官能の愉悦は、澪の陰部をますます淫らに濡らしてゆく。
「はぁ……、あぁ……、ん、伴成……さま……」
吐息にまじって、声まで洩らしてしまう。その声がまた、自分のものとは思えないほどにふしだらなので、澪の焦りと羞恥は増すばかりだ。
「気持ちよさそうですね。そろそろこちらにもふれてみましょうか?」
 伴成は指を下のほうにすべらせ、会陰のあたりをなぞりはじめる。そこには愛液があふれているから、指のすべりがいっそうよくなった。
「姫のここはいやらしいですね。さっきよりもたくさんの蜜があふれていますよ。ほら」
伴成が行き来させる指遣いを荒くするので、しだいにそこからクチュクチュと卑猥な音がたつようになる。
「あ、あ、音して……、あぁ……、いや……」
 澪は快感から逃れたいのにそれができなくて、かぼそい声を洩らしながら喘いだ。
甘く痺れるような感覚が、熱感を伴って何度もこみあげる。秘処の奥が、快感を求めて蠕動しているかのような錯覚さえおぼえる。
 伴成の指が挿入されたのはそのあとのことだった。
「姫が欲しがっているものを挿れてあげます」
 言葉とともに、なにかが澪の蜜口を圧してきたと思うと、それがぬるりと濡れた柔襞を押しわけてなかに入ってきた。
「ん」
 抵抗をおぼえて伴成を見ると、彼が澪の下肢の付け根にじっと視線を注いでいた。この眺めだけでも十分に卑猥なのに、伴成の手は澪の秘所にある。入ってきたのは彼の指だったのだ。
「や、伴成さま……なにして……」
 澪は伴成の指から逃れようと身じろぎする。
 しかし、彼は左腕で澪の腰を押さえ込み、そのからだを褥に縫いとめてしまう。
「姫と私がひとつになるための下準備です。ここで繋がるのだから、まずは指で慣らしておいたほうがいい」
「ここで繋がる、の……?」
 赤子が生まれてくるのがそこなのは知っていたけれど、男女の睦みあいもここで行われるとは知らなかった。
「姫のここはよく濡れて、私を求めていますよ」
 伴成は押し沈めた指を引き抜くと、またゆっくりと女壺に沈める。媚壁を愛撫しながら、それを気まぐれにくりかえす。
「あ……」
 ぬるりと沈められた指先が、熱く疼いている媚壁をくすぐる。この甘い圧迫感にこそ性感を高める効果があるようで、彼が抜き差しするたびに、澪の恥じらいをよそに感度はどんどん悦くなってしまう。
「あぁ……」
 ぬるい快感に女陰がさざめき、内腿がひくひくとうち震える。澪は無意識のうちに彼の愛撫を待って、腰を浮かせかけてよがってしまう。
「いい反応ですね。姫のからだは指でされるのがお好きらしい。ひとまず指だけで達してもらいましょうか? それとも私のものでしてほしいですか?」
 伴成は官能に支配された澪のからだを愛しげに見下ろしながら、抜き差しさせる指の動きを荒くする。
「あ、あぁ、指が……なかで……、んっ……、あ、あぁ……っ」
 媚肉を押しあげるようにうごめく指が、澪を淫らに喘がせる。クチュクチュと蜜音のたつ淫蕩な指戯にはめまいがしてくる。
絵巻物で睦みあっていた男女は、着物の中でこんな行為にふけっていたのだろうか。ふしだらすぎる。けれど、いまの澪の顔はおそらくあの絵巻物の女とおなじだ。はしたないことだとわかっているのに、気持ちよくてたまらない。甘美な感覚に惹かれて、抗う手からはしだいに力が抜けていってしまう。
「ほら、ここも一緒にさわったほうが気持ちいいでしょう?」
 伴成は空いたほうの手で肉芽までを弄りだす。
 澪はびくりと腰をはねさせた。
「はぁ、はぁ、ン……、だ、だめ……」
二箇所を同時に攻められて澪は動揺するが、ふたつの快感がひとつに蕩けてなんとも甘美な愉悦がおしよせる。
「姫のここはこんなに硬くなって、さわってほしいとねだっているようですよ?」
伴成はしこった陰核をぐりぐりと指の腹で転がして澪を追いつめる。
「ん……、でも……だめです……。あ、あ、だめなの……伴成さま……」
 せっぱつまった澪は、涙目で伴成のほうを見てせつなげに喘ぐ。
「どうしてだめなんです。姫のからだは悦んでいるのに?」
「だって……、どんどんはしたなくなって……おかしくなって……しまうもの……」
 澪は快感にぶるぶるとうち震えながら、下敷きになった衣をにぎりしめる。
こんな行為、それこそ夫婦でしか許されないはずのことだ。澪はざわつく胸を押さえ、乾いた喉に何度も唾を飲込んだ。いけないと思うのに、からだが言うことを聞いてくれない。
「どんなふうに? ……姫はどんなふうにおかしくなるのですか?」
「あ、ふ……あぁ……っ」
 伴成の指で弄られるのが気持ちよくて、もっとそうしてほしいと思ってしまう。けれど、その欲望を認めて口にするのはあまりにも恥ずかしいことに思えた。
「私はそういう姫を知りたくてしているのだから、好きなだけ乱れればいいのです。ほら、私の指をしっかりと銜え込んで、上手ですね。もっと奥がいいですか? しかしこの先はもう、私のもので突かないと追いつきそうにありませんね。ここに私が欲しいですか?」
 伴成は、誘うように内奥で思わせぶりに指先をうごめかす。蜜洞を激しく揺さぶられ、甘い感覚が女壺の奥にまで響く。
「ンン……っ、奥……ゆらしちゃ……だめ……」
 澪はなにかが奥から溢れそうになるような錯覚をおぼえる。
 伴成は甘く乱れる澪を美しい双眸でじっと見つめながら淫行を続ける。
 見られているのだと思うとよけいに羞恥が増していたたまれなくなる。けれど、そのことがかえってからだを熱くする。
「見ないで……、はぁ、はぁ……、もうしないで……」
 澪はどうしようもなくなって、観念したように目を閉ざす。
「では、そろそろ私とひとつになってみましょうか?」
 身を乗りだしてきた伴成が、耳元に唇を押しあてて、この上なく艶やかな声音でもって選択を迫る。