TOP>文庫一覧>濡れ恋艶舞年下皇子の一途な求愛
濡れ恋艶舞
年下皇子の一途な求愛
葉月エリカ イラスト/椎名咲月
王宮専属の舞姫となった珠夏は、劇場の客だった少年・夕星と再会する。貴族や王族が参加する宴に呼ばれる『桃組』へ上がれずに悩む珠夏は、実は文官の夕星に励まされる日々。ある宴で酔た兵士に襲われかけたのをきっかけに、ふたりは結ばれる。そんな中、ようやく帝の前で踊る機会が訪れる。珠夏は伝説の舞姫だった母が最期まで語らなかった父の正体が帝ではないかと考えていたのだ。珠夏が踊る宴に、恋仲となった夕星が帝の第三皇子として現れ…? 配信日:2017年1月27日 


「こういうことをするときは」
 ひとしきり口づけを繰り返したり、夜着の上から胸を触ったりしたのち、夕星は生真面目に切り出した。
「概ね服を脱ぐものだと思うのだが、私が珠夏を脱がせていいのだろうか」
「す……好きにしたらいいんじゃない?」
「では」
 珠夏が身に着けている夜着は、薄い麻素材の単衣だ。
 腰帯は軽く蝶結びにしているだけなので、夕星が端を摑んで引っ張れば、するりと簡単に解けてしまう。
 単衣の胸元がめくれ、細い上半身が露になるのに、珠夏はきゅっと身をすくませた。
 夕星の瞳が見開かれ、小さく息を呑む音が聞こえる。
 そのまましばらく動かない彼に、珠夏は顔を真っ赤にしてぼそりと言った。
「――見すぎ」
「ああ……すまない。眼福という言葉の意味を、初めて実感して」
 しみじみと感じ入るように夕星は言った。
「想像していたより、ずっと白くて柔らかそうで……綺麗だ。直に触れても構わないか?」
「や……やりたいようにやればいいって言ったでしょ」
(いちいち許可を取らなきゃ、引っぱたかれるとでも思ってるの?)
 実際、さっきは結果的に殴ってしまったのだが――そんなふうに凶暴な女だと思われているのだとしたら、実に遺憾だ。
 それにしても、『想像していたより』と言うからには、実は夕星もこういった色事に興味を抱くようになっていたというわけか。
(妓楼がどんな場所かも知らなかったくせに……)
 いやらしいことなど何も考えていない、というような清廉な容貌をしているだけに意外で、いっそうどきどきしてしまう。
 夕星の手が伸びて、壊れ物を扱うように左の乳房を包んだ。
「んっ……」
 産毛だけを撫でていく、触れるか触れないかの愛撫に、くすぐったさに似た感覚が生じる。
 丸い輪郭を何度も辿られて、じわじわと体温が上がるのがわかった。
「――本当に、とてもすべらかなのだな」
 夕星は感心した口調で呟いた。
「それにやはり、 喩えようもないほど柔らかい……確かにこれは、大切に触れなければいけないな。初めは乱暴にして悪かった」
 夕星は反省しているようだが、珠夏は逆にもどかしさを感じていた。
(もう少しくらい……もっと、ちゃんと触ってもいいのに)
 夕星は珠夏の肌をすべらかだと言うが、彼の手もまたそうだった。
 大きくて温かく、丁寧になめされた上質な革のようで、その手で触れられると得も言われぬ心地よさを覚えてしまう。
 乳房の内側がうずうずして、思わず珠夏は彼の手を摑むと、ぎゅっと胸に押しつけていた。
「……強すぎないなら、いいから」
 なので、さらにしっかり揉んでほしいと要求しているに等しい。
 そう気づいたのは、口にしてしまってからだった。
(だ、大胆すぎた? いやらしい女だって思われたら、どうしよう……)
 慌てる珠夏に、夕星は「そうか」と場違いに無邪気な笑みを浮かべた。
「教えてくれて感謝する」
「あっ……」
 弾力のある胸乳を、夕星の掌がゆっくりと押し捏ねた。
 鳩尾のあたりがきゅんとして、珠夏はぼうっとしてしまう。
 ――夕星は意外に指が長い。
 ――長方形の爪先も整っていて綺麗だ。
 形を変えるように乳房をたゆませる手を見ながら、初めての発見にどぎまぎした。
 つい昨日まで、夕星とはこのまま二度と話せないのかもしれないと悲嘆にくれていたのに、その彼とこんなことをしているのは、とても変な感じだ。
 やがて夕星はちらりと上目遣いになり、囁いた。
「――嫌だったら言ってくれ」
「え? ……あっ……!」
 声が出たのは、夕星が乳房の頂をはくりと咥え込んだからだった。
 指で触られるよりも先にそんな真似をされるとは思わなくて、驚きと同時に、ぞくっとした戦慄が背中を駆けた。
(な……舐められて……っ)
 濡れた舌につつかれると、隆起しかけていた小さな尖りは、たちまち痛いほどに硬くなった。
 吸いつきやすくなったそこを、夕星はいっそう熱心に舐め、しゃぶり、逆の胸も同時に揉みしだき始める。
「や……いやぁっ……」
 珠夏が身をよじると、咎められたと思ったのか、夕星が顔を上げた。
「こんなことをしてはいけなかったか?」
「い……いけないってわけじゃないけど……」
「やりたいようにやれと、珠夏が言ってくれたから。だが、きっと気持ちよくないのだろうな。私が至らないせいだ」
「えっと……」
 気持ちがいいか悪いかと言われれば、おそらくきっと悪くはない。
 だがそれを、どんな言葉で伝えればいいのだろう。
「すまない。もう少し、努力させてくれ」
 珠夏のことを経験豊富だと思い込んでいる夕星は、どこまでも実直だった。
「あっ……」
 再び乳首に齧りつかれ、珠夏は身を仰け反らせた。
 できるかぎりの工夫をしようというように、夕星の舌はあらゆる角度から纏わりつき、強弱を変えて弾いたり、柔く歯を立てたりと、多彩な刺激を加えてくる。
 珠夏の肌はくまなく粟立ち、悩ましい吐息が我知らず零れた。
(何これ……変になりそう……)
 刺激されているのは胸なのに、腹の奥がどろどろに煮崩れるような感じがした。何か熱いものが降りてきて、両脚の間から留めようもなく滲み出す。
「ん……ぅ、ふっ――……!」
 じゅっ――と音が立つように乳首を吸われて、珠夏の肩がびくっと震えた。
 そこはさっきからじんじんとして、普段の倍ほどにも膨れ上がっている気がする。
 なんの味もしないはずのそこを、まるで糖蜜でできた飴でも舐るように、夕星は丹念に舌で転がし、乳暈ごとはむはむと甘噛みした。
「なん、で……」
 珠夏は喘ぎながら、夕星を甘く睨んだ。
「何も知らないって、言ったくせに……どうして――」
 ――どうしてこれほど巧みに、珠夏をぞくぞくさせるのか。
「……本当に何も知らないぞ?」
 小首を傾げる夕星の瞳は、無垢そのものだった。
「ただ、珠夏が声をあげてくれるから。どうすればもっとその声が聴けるのか、考えながら色々と試しているだけだ」