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さらわれスノーホワイト
―ノーブル・ロイヤル・ウェディング―
仁賀奈 イラスト/池上 紗京
内気な伯爵令嬢・ティーナは、初めての舞踏会で知り合った公爵家の嫡男・グスタヴスにあこがれを抱く。 冷酷で辛辣な性格で有名なグスタヴスは、かなりの潔癖症でもあり、女性を寄せつけないと聞かされていた。ところが舞踏会が終わるとなぜかティーナを自分が宿泊するホテルへ連れていったのだ。 ティーナは彼の濃厚な愛撫を全身に受けてしまい…!? 発売日:2012年11月2日 


「……ご……、ごめんなさい」
 強引な真似をする申し訳なさから、ティーナは消え入りそうな声で謝罪した。
「謝らなくていい。だから、このリボンを解け」
 グスタヴスは身を捩って、拘束から逃れようとしていた。縛られた上に、身体を貪られそうになっているのだ。大人しくできないのは、当然だろう。
「め、……目を瞑っていてください。その間に終わらせますから。……わ、私、グスタヴス様が、人に触れられることを証明します……」
 一方的な宣言に驚愕するグスタヴスの頬に、ティーナは両手を添えた。そして、自分の顔を近づける。
「……ティーナ……?」
 グスタヴスの濃い琥珀色の瞳が、ティーナを見つめていた。美しい輝きに魅せられて、眼が放せない。逃げることもできずに、ただ眼を見張ったグスタヴスの唇に、ティーナは自分のそれを重ねる。
「ん……っ」
 胸が歓喜に震えた。
 ――グスタヴスに触れられた日から、ずっと、こうしたかったのだ。
 触れた場所から、ジンとした疼きが走るようで、ティーナは陶酔のまま、グスタヴスを見つめる。彼はティーナの顔を見つめたまま、呆然としていた。
「ん、んぅ……っ」
 角度を変えて、官能的な彼の唇を、ふたたび塞いだ。
「……き、……気持ち……悪いですか……」
 少しだけ唇を放し、ティーナは泣きそうになりながらも、震える声で尋ねる。グスタヴスは気まずそうに眼を逸らしながらも拒絶はしなかった。
「いや……。そんなことは……」
 それだけで充分だった。
 グスタヴスの耳朶、顎、頬に、ティーナは口づけを繰り返す。そして、思いの丈を告白した。
「愛してます……。ずっとあなたをお慕いしていました」
 グスタヴスは、驚愕に瞼を開き、信じられないものを見るような眼差しを向けてくる。
「……以前、見知らぬ人に乱暴されそうになっていたのを、グスタヴス様に助けていただいたときから、ずっとです……」
 愛おしい想いを込めて囁くと、ティーナは彼の唇に深く口づける。
「んんっ……」
 大きな胸の膨らみを押しつける格好で、グスタヴスにのしかかった。そして、小さな舌を懸命に伸ばして、彼の口腔を探り始めた。
「……ふ……っ、ん……っ」
 熱い舌が擦れ合う。ぬるぬるとした感触に、身震いを覚える。グスタヴスは顔を背けなかった。そのことを免罪符にして、ティーナはさらに深く舌を絡めていく。
「こ……ら……っ」
 だが、執拗な口づけに呆れたのか、唇の隙間からグスタヴスが窘める。それでも、ティーナは口づけをやめなかった。声を漏らす隙もないほど強く、彼の唇を塞いで、艶めかしい感触を夢中になって貪った。
「んく……、んんぅ……」
 チュクチュクと淫らな水音が響く。鼻先から洩れる熱い息に、いっそう欲望が煽られていた。
 抵抗できないグスタヴスの口腔を、舌先で嬲り続ける。
 溢れる唾液を啜り、舌だけではなく、歯列、歯茎、頬の裏、口蓋、舌の裏、すべてを擦りつけていく。ヌルついた感触にいっそう昂ぶる。もっと深くまで彼の唇を奪いたかった。
 自分の、小さな舌がもどかしい。
「はぁ……、はぁ……。……グスタヴス様……」
 恍惚とした表情で、彼を見下ろす。すると、グスタヴスも肌を上気させて、苦しげに喘いでいた。もっと、グスタヴスの乱れた姿が見たい。
 ティーナは情欲に火を灯されたように、夢中になって彼の首筋を吸い上げていく。
 滑らかな感触に、いっそう熱が迫り上がる。
「……は……ぁ……ティーナ。……い、悪戯は……よせ。……気が済んだなら、もう……」
 リネンの上で、グスタヴスが身を捩る。だが、彼の腕はリボンで固く拘束されていた。
 逃げることはできない。
「……気なんて、……す、済んでませんっ。……わ、私は、グスタヴス様に子種を注いでいただくまで、やめませんから」
 ガタガタと震えながらもティーナは訴える。
「……な、なにを……バカなことを言っている……」
 ティーナは控えめで大人しい性格をしていた。人に逆らうことも、無理強いすることにも慣れていない。ここまでの暴挙も、生まれて初めてだった。
「私は、……ほ、……本気ですっ」
 グスタヴスが子種をなくしてもいいと思っているのなら、ティーナにぜんぶ注いで欲しかった。いらないなら、捨てるなら、この世でいちばん、欲している自分に与えて欲しい。
「……わ、私のなかに、出して……いただきますから……っ」
 ティーナはグスタヴスの羽織っているシャツのボタンを外した。すると、彼の筋肉質な肢体が露わになる。これほど、鍛えられた肉体をしているのならば、ティーナを楽々と運べるのも頷けた。
「……すごい……」
 思わず感嘆の声を上げる。ティーナは華奢な指先で、グスタヴスの肌を辿った。触れるか触れないかの指の動きに、彼の肌が総毛立つ。そのまま乳輪に触れると、小さな肉粒が、勃ち上がった。
「……あ……、はぁ……、……やめろ……っ」
 官能を揺さ振るようなグスタヴスの艶めいた呻きが耳に届き、ティーナはいっそう身体を熱くしてしまう。
「……グスタヴス様も、……ここ、感じるのですね」
 乳輪の形を辿るように指で、弧を描く。すると、グスタヴスはブルブルと体を震わせる。
「気持ちいいですか……」
 彼の身体に顔を寄せて、陰影のある胸元に唇を這わせる。しっとりと汗ばんだ体は熱く震えていた。ティーナはくるおしい手つきで、隅々にまで指を這わして、ついには彼の胸の突起を吸い上げ始める。
「やめろと……っ、ティーナ……く……っ、はぁ……」
 口腔のヌルついた感触に、グスタヴスは胴震いしながら息を乱す。苦しげに首を横に振る姿が、あまりに悩ましくて、ティーナは夢中になって、彼の乳首に舌を這わした。
 身悶える彼を窺い、舌先に触れる感触を味わいながら、なんどもなんども舌を上下に動かす。
「はぁ……、あなたはいつも、こんなことを男にしているのか」
 グスタヴスは侮蔑の眼差しをティーナに向けてくる。
「ち、違います……。わ、私はグスタヴス様にしか……。……ふ、触れていただいたことも、こんなことをするのも初めてです……」
 すると、グスタヴスから険しさが揺らいだ気がした。
 誰でもいいわけではない。ティーナはグスタヴスでなければ、触れたいとも思わない。
 こんなことをしてしまったのも、すべて彼への想いが昂ぶりすぎたせいだ。
「……このまま、……私をどうする気だ……」
 グスタヴスはティーナのことを、訝しげに見つめている。
「……グスタヴス様のすべてに、……触りたいです。私……」
 ティーナは身体をずらして、彼のベルトのバックルを外し、トラウザーズのホックを外し始めた。グスタヴスはさすがに、狼狽し始める。
「ティーナっ。あなたは、なにをしているのか解っているのか!」
 グスタヴスに触れられたこと以外は、なんの経験もないティーナだったが、今さら引き返せない。
「わ、解っています……っ。ごめんなさい。私、初めてなので、うまくできるか解りませんが……精一杯頑張ります……」