男装令嬢の甘々修業 カリスマパティシエに身も心も食べられちゃいました
涼原カンナ イラスト/芦原モカ

(少し前まで知らなかったわ、こんなこと)
 ミレーユの肉体は固い蕾と同様だった。それなのに、今やマティアスの手で開花させられて、勝手に花が咲くようになってしまったのだ。
「……わたし、淫乱なんでしょうか」
 ミレーユが半べそをかきながらつぶやくと、マティアスが笑ってから顔を覗いてきた。
「俺は淫乱なほうが好きだぜ」
「何言ってるんですか」
「それより、俺の指に集中しろよ」
 マティアスは隠れているはずの陰核を見つけて、包皮を剥き出す。感じる芯を転がされて、
ミレーユは甘く息をついた。
「は……はぁっ……や……だめ……」
 内股が震える。甘いうずきが下腹の奥に届いて、とろけるような快感を覚える。
「あ……あぁ……んん……ん……ああ……」
 蜜をまとわせた指で縦横に揺すられると、身体から力が抜けてしまいそうになる。ガラスに背を押しつけて、ミレーユは喘ぎを漏らした。
「や……そんなにしちゃ……ああっ……」
「ぷっくり尖って気持ちいいって言ってるみたいだけどな。ここも濡れ濡れだし」 
 陰核をくりくりと押し回しながら、蜜孔をこする。背筋に戦慄が走った。
「あん……ん……はぁ……んん……もう……」
 ミレーユは涙ぐんで首を振った。身体に収めておけないほど快感がたまって、蜜壷がひくひくとおののいている。
「……達きそうか?」
 マティアスは指の動きを休めないで訊いてくる。ミレーユは小さくうなずいた。
「じゃあ、俺の指に集中しろ。気持ちいいなら、素直にその感覚を追いかけろ」
「い、嫌です、こんなところで」
 みっともないという嫌悪感があるのに、陰核を執拗に転がされると悦楽の波に襲われる。それでも全身を震わせて耐えていると、いきなりくちづけされた。
「――!」
 舌をちゅうっと吸われて、ミレーユの忍耐はぷつりと断たれる。声も出せぬまま、絶頂に追い上げられた。
(気持ち……いい……)
 蜜壷が甘美に痺れていた。虚脱した腰に腕を回して、彼が身体を支えてくれる。
「もう俺を挿れても大丈夫だろ?」
 くちづけをやめると、マティアスは赤裸々な欲望をぶつけてくる。ぼうっと霞がかった目で彼の顔を見つめた。情欲の燃える瞳に気圧される。
「で、でも……」
「俺も限界なんだよ。痛いくらい勃ってんだから、そろそろ挿れさせろ」
「やっ!」
 身体の向きを強引に変えさせられ、腰を引き寄せられて、ガラス戸に手をつく格好にさせられる。夜の闇に覆われて、外は何も見えない。映っているのは、ミレーユの顔だった。
「こんな格好……」
 マティアスに向けて尻を突き出す馬のような姿勢に、ミレーユは恥辱で頬を染める。
「このほうが挿れやすいんだよ」
 マティアスは小ぶりなミレーユの尻を割って、秘処をあらわにする。空気を感じて、恥ずかしさで死にそうだった。
「やめて……」
「それにしても、かわいい尻だよな。こっちにも挿れてやろうか」
 尻孔を指でいじられて、恐怖のあまり必死に首を横に振った。
「そ、そこに挿れるくらいなら、いつものところに挿れて!」
 失言に気づいたのは、すぐだった。無我夢中で口にした懇願に応じるように、マティアスが指を蜜孔に挿れた。
「あ、んぁっ」
「中とろとろだな、溶かしバター流したみてぇになってるぜ」
「や、やだっ……」
 言葉で辱められて、ミレーユの体温が上がる。ふつうだったら怒っていいところなのに、マティアスに煽られると性感を高められるのはなぜだろう。
「おまえの身体もちゃんと仕上げられるんだから、俺はやっぱり名シェフだな」
 自画自賛のあとに指を抜くと、猛った男根を押し当てられる。亀頭と蜜口が溶け合う感触に、これからの官能を期待してなのか、全身が震えた。
「あ……いや……」
「いやじゃなくて、いいって言えよ」
 ずぷっと挿入されて、ミレーユの背がそる。逃げかかる腰はしっかり押さえられて、否応なく男根を呑み込まされた。
「は……はっ……はぁ……はぁっ……」
 荒い息を漏らして、挿入の衝撃に耐える。ぴったりと閉じていた媚壁が最初に開いていく感覚には、どうしても慣れない。
「いいな、うねってんのがたまんねぇ」
「あ……あぁっ……んんんっ……」
 心地よい圧迫感と共にみちみちと押し開かれていくと、蜜襞が彼の大きさを思いだしたかのようにうごめきだす。
「は……ん……ん……あぁっ……」
 長大な男根が根元まで埋められ、ミレーユはこみあげてくる官能の波を耐えた。布の下の乳首が痛いくらいに張りつめている。
(気持ち、いい……)
 自分の身体が作り変えられてしまったとはっきりわかる。
(マティアスは確かに名シェフなのだわ)
 官能を微塵も知らなかったミレーユを淫乱な娘にしたのだから。
 出し抜けに半ばまで引き抜かれた男根を勢いよく突きこまれる。蜜襞が乱暴なくらいにこすられて、どっと快感が押し寄せた。
「……んんんっ……んあ…………あああっ……」
「ミレーユ、感じてんな。すげぇぬるぬるしてんぞ」
 ずちゅぬちゅと音が立つほど出し入れされて、ミレーユは横隔膜を上下させて呼吸する。
「あ……や……無理っ……」
 大粒の苺の形をした亀頭が感じるところを突き、雁首が襞をこすりたてていく。先ほど口の中でまざまざと感じた形がミレーユの胎内を奔放にこすりたてる。
「や……そこっ……だめ……んんっ……」
 恥丘の裏をこすられて、寒気にも似た快感が背を走った。官能の愉悦に溺れてしまいそうだ。
 ふとガラスの向こうの自分が目に映る。
 快感に濡れる瞳と、物欲しげにふっくらとふくれた唇。喜悦に満ちた表情は、いつもの自分の顔とまったく違う。
(なんて顔をしているの……)
 どんな理由をつけても、今まさに抱かれて悦んでいるという事実は消しようもない。なによりもミレーユの表情が証明しているのだから。
「ふ……ふぁあっ……ああん……ああっ……」
 マティアスが男根をしならせて奥をついてくる。総毛立つような快感に襲われて、ミレーユはガラスについている手に力を込めた。
「中、ヒクヒクしてる。達きそうだな、ミレーユ」
「あっ、違っ、ああっ……!」
 奥の奥まで暴かれて、自分のすべてを彼に捧げているのだと実感する。
「あっ……あっ……ああ……んんんっ……んんっ……」
 ぐちゅぐちゅと音を立てて粘膜がかき回されると、毛穴からどっと汗が吹き出るほど強い喜悦に襲われ、ミレーユは顔を歪めた。度重なる攻撃に最奥がひくひくと痙攣しはじめる。
「ああ……もう……いやぁ……達っちゃう……達っちゃうのっ……」