伯爵令嬢といじわるな下僕
~大富豪の企み~
水島 忍 イラスト/北沢きょう
伯爵令嬢のイザベルは没落しそうな家を立て直すべく、裕福な相手と結婚しようと今回の社交シーズンに賭けていた。そんな中、大富豪となった幼なじみ・ クレイヴに再会し、強引に純潔を奪われてしまうが……? いじわる大富豪とツンデレ伯爵令嬢のすれ違い♡再会ロマンス。 発売日:2012年10月3日
~大富豪の企み~
水島 忍 イラスト/北沢きょう
伯爵令嬢のイザベルは没落しそうな家を立て直すべく、裕福な相手と結婚しようと今回の社交シーズンに賭けていた。そんな中、大富豪となった幼なじみ・ クレイヴに再会し、強引に純潔を奪われてしまうが……? いじわる大富豪とツンデレ伯爵令嬢のすれ違い♡再会ロマンス。 発売日:2012年10月3日
「あなたはとても美しい。私はあなたを自分のものにしたいんです。たとえ、どんな手を使ってでもね」
クレイヴはそう言うと、イザベルの肩に触れた。そして、その手を下ろしていき、腕を撫でていく。腕には袖がついていたが、イザベルは何故だか剥き出しの肩や腕を撫でられているような気がした。
「いや……」
イザベルは急に怖くなってきてしまった。熱に浮かされたような気分になって、彼の寝室まで来たが、今になって後悔をしていた。
愛人になるにしても、もっと考えなくてはいけない。こんな衝動に任せて、決してしてはいけない。
「レディ・ベル。可愛いベル……」
再び首筋に顔を埋められて、キスをされる。その行為はイザベルの身体に一気に火をつけた。
さっき首筋にキスされたときより、今のほうがより感じている。彼が本気で自分を欲しがっているというのが、判っているからだ。
たとえ、どんな手を使ってでも……と、彼は言った。彼は容赦なく情熱をぶつけてくる。彼の固い身体に覆いかぶさられ、キスをされ、それから胸を手で覆われた。
「やっ……」
イザベルの口からは小さな声しか出なかった。もっと激しい口調でやめてと言えれば、彼はやめるかもしれないのに。
だが、そんなことはできなかった。弱々しい声しか、もう出せない。自分はすでにもう彼の手に堕ちているのだ。今になって、イザベルはそれに気がついた。蜘蛛の巣に引っかかった哀れな蝶のように、いくらもがいても、逃げることはできないのだ。
彼はドレスの上からイザベルの胸を撫でた。コルセットの下で、イザベルの胸は急に敏感になってきたようだった。
一瞬、ドレスもコルセットもなしで、直に触れてほしいと思ってしまった。
なんてこと……!
クレイヴのかける魔法に、イザベルはすっかり参っていた。指先だけで、彼に翻弄されてしまう。身震いするほど、彼に触れられることを望んでしまう。
ああ、どうしよう……。
「ダメよ……。お願い」
震える声で嘆願した。彼が手を放してくれれば、自分は正気に戻れる。元の理性的な自分に戻れるはずだった。
けれども、クレイヴはそうする気はまったくないようだった。
「お願い? あなたはどうしてほしいんですか?」
彼の指はコルセットの上からでも、乳首の位置を探り当てていた。軽く引っかくような動きをすると、それがコルセットの下まで響いてきて、イザベルの胸に刺激が伝わった。
なんて意地悪な人なの……?
誰かに乳首を弄られたいなんて、今まで一度だった考えたことはない。けれども、こんな刺激を与えられると、彼に触れてもらいたくて仕方がなくなってくる。
イザベルは唇を噛んだ。こんな真似はすぐにやめさせなくては。
だが、クレイヴのほうが上手だった。
「私はこのドレスを脱がせてしまいたい。何も着ていないあなたの姿が見たい……」
「やめて……っ」
「あなたの素肌にキスをしたい。この胸にも……ここにも……」
コルセットの上から、乳首の辺りに円を描くように指を動かした。
イザベルの頭の中に、彼の言うとおりのことをされている場面が浮かんできた。ベッドの上で一糸まとわずに横たわる自分。そして、その上からこんなふうに彼が上から覆いかぶさってきて……。
「あなたの胸を口に含んでみたい。どんなに柔らかいか……充分に味わってみたい」
彼は優しい手つきで、胸を包み、それから胴のくびれた部分から腰へと手を滑らせていった。まるで、そのラインを確かめるように。
いや、実際のラインなど判るはずがない。コルセットをつけているし、スカート部分にはペチコートを下につけている。しかし、彼は何層にも重なったペチコートの存在もものともせずに、強く手を擦りつけてくる。すると、彼の手の感触が腰に伝わってきた。
「ここだって……直に触れたいんです。あなたの秘密を全部知りたいんです。素肌にあますところなく触れたら、あなたがどんなふうに感じるか……あなたがどんなふうに身体をくねらせて、甘い言葉でねだるのか……」
いやらしいことを口にされているのに、イザベルは身体の芯が熱くなってくることに気がついた。完全に彼の術中にはまってしまっている。彼の言いなりになっている自分を思い描いて、そのとおりにしたくなってくるのだ。
「わたしは……あなたの思いどおりにならないわ……」
なんとか、そう言い切ったが、クレイヴは唇を歪めて笑った。彼の瞳には無慈悲な光が宿っていた。
「あなたは私からもう逃れることはできませんよ」
「そんな……」
なんとか逃れる方法があるはずよ。
たとえば、悲鳴を上げたらどうなるだろう。イザベルは考えたが、それは現実的できない。ここは彼の屋敷だ。使用人がやってきても、下がらせることができる。それに、こんな格好を誰にも見られたくなかった。
こんな辱めを受けていることが噂にでもなったら、身の破滅だ。彼の愛人になったという噂のほうがまだましかもしれない。
ああ、どうして、わたしはこんなところまで連れてこられてしまったの?
それは彼にキスされたからだ。キスに我を忘れたからだ。そして、どうしてキスされたかについては、彼の口車に乗って、この屋敷についてきてしまったからだ。
だって、彼はわたしの初恋の人なんだもの。
昔話をしようと言われれば、拒絶する選択肢はなかったのだ。
結局のところ、イザベルはまだクレイヴに対して、なんらかの気持ちを抱いている。だから、こう易々と、彼の寝室にまで連れ込まれてしまい、窮地に追い込まれることになったというわけだ。
彼はふっと笑うと、怯えているイザベルの頬を撫でた。それは優しい手つきで、ひょっとしたら彼はただの冗談でこんなことをしたのかもしれないと思った。このまま家に帰してくれるかもしれない、と。
だが、次の瞬間に、彼は優しい笑顔で、イザベルの希望を打ち砕いた。
「観念しなさい、ベル」
クレイヴはそう言うと、イザベルの肩に触れた。そして、その手を下ろしていき、腕を撫でていく。腕には袖がついていたが、イザベルは何故だか剥き出しの肩や腕を撫でられているような気がした。
「いや……」
イザベルは急に怖くなってきてしまった。熱に浮かされたような気分になって、彼の寝室まで来たが、今になって後悔をしていた。
愛人になるにしても、もっと考えなくてはいけない。こんな衝動に任せて、決してしてはいけない。
「レディ・ベル。可愛いベル……」
再び首筋に顔を埋められて、キスをされる。その行為はイザベルの身体に一気に火をつけた。
さっき首筋にキスされたときより、今のほうがより感じている。彼が本気で自分を欲しがっているというのが、判っているからだ。
たとえ、どんな手を使ってでも……と、彼は言った。彼は容赦なく情熱をぶつけてくる。彼の固い身体に覆いかぶさられ、キスをされ、それから胸を手で覆われた。
「やっ……」
イザベルの口からは小さな声しか出なかった。もっと激しい口調でやめてと言えれば、彼はやめるかもしれないのに。
だが、そんなことはできなかった。弱々しい声しか、もう出せない。自分はすでにもう彼の手に堕ちているのだ。今になって、イザベルはそれに気がついた。蜘蛛の巣に引っかかった哀れな蝶のように、いくらもがいても、逃げることはできないのだ。
彼はドレスの上からイザベルの胸を撫でた。コルセットの下で、イザベルの胸は急に敏感になってきたようだった。
一瞬、ドレスもコルセットもなしで、直に触れてほしいと思ってしまった。
なんてこと……!
クレイヴのかける魔法に、イザベルはすっかり参っていた。指先だけで、彼に翻弄されてしまう。身震いするほど、彼に触れられることを望んでしまう。
ああ、どうしよう……。
「ダメよ……。お願い」
震える声で嘆願した。彼が手を放してくれれば、自分は正気に戻れる。元の理性的な自分に戻れるはずだった。
けれども、クレイヴはそうする気はまったくないようだった。
「お願い? あなたはどうしてほしいんですか?」
彼の指はコルセットの上からでも、乳首の位置を探り当てていた。軽く引っかくような動きをすると、それがコルセットの下まで響いてきて、イザベルの胸に刺激が伝わった。
なんて意地悪な人なの……?
誰かに乳首を弄られたいなんて、今まで一度だった考えたことはない。けれども、こんな刺激を与えられると、彼に触れてもらいたくて仕方がなくなってくる。
イザベルは唇を噛んだ。こんな真似はすぐにやめさせなくては。
だが、クレイヴのほうが上手だった。
「私はこのドレスを脱がせてしまいたい。何も着ていないあなたの姿が見たい……」
「やめて……っ」
「あなたの素肌にキスをしたい。この胸にも……ここにも……」
コルセットの上から、乳首の辺りに円を描くように指を動かした。
イザベルの頭の中に、彼の言うとおりのことをされている場面が浮かんできた。ベッドの上で一糸まとわずに横たわる自分。そして、その上からこんなふうに彼が上から覆いかぶさってきて……。
「あなたの胸を口に含んでみたい。どんなに柔らかいか……充分に味わってみたい」
彼は優しい手つきで、胸を包み、それから胴のくびれた部分から腰へと手を滑らせていった。まるで、そのラインを確かめるように。
いや、実際のラインなど判るはずがない。コルセットをつけているし、スカート部分にはペチコートを下につけている。しかし、彼は何層にも重なったペチコートの存在もものともせずに、強く手を擦りつけてくる。すると、彼の手の感触が腰に伝わってきた。
「ここだって……直に触れたいんです。あなたの秘密を全部知りたいんです。素肌にあますところなく触れたら、あなたがどんなふうに感じるか……あなたがどんなふうに身体をくねらせて、甘い言葉でねだるのか……」
いやらしいことを口にされているのに、イザベルは身体の芯が熱くなってくることに気がついた。完全に彼の術中にはまってしまっている。彼の言いなりになっている自分を思い描いて、そのとおりにしたくなってくるのだ。
「わたしは……あなたの思いどおりにならないわ……」
なんとか、そう言い切ったが、クレイヴは唇を歪めて笑った。彼の瞳には無慈悲な光が宿っていた。
「あなたは私からもう逃れることはできませんよ」
「そんな……」
なんとか逃れる方法があるはずよ。
たとえば、悲鳴を上げたらどうなるだろう。イザベルは考えたが、それは現実的できない。ここは彼の屋敷だ。使用人がやってきても、下がらせることができる。それに、こんな格好を誰にも見られたくなかった。
こんな辱めを受けていることが噂にでもなったら、身の破滅だ。彼の愛人になったという噂のほうがまだましかもしれない。
ああ、どうして、わたしはこんなところまで連れてこられてしまったの?
それは彼にキスされたからだ。キスに我を忘れたからだ。そして、どうしてキスされたかについては、彼の口車に乗って、この屋敷についてきてしまったからだ。
だって、彼はわたしの初恋の人なんだもの。
昔話をしようと言われれば、拒絶する選択肢はなかったのだ。
結局のところ、イザベルはまだクレイヴに対して、なんらかの気持ちを抱いている。だから、こう易々と、彼の寝室にまで連れ込まれてしまい、窮地に追い込まれることになったというわけだ。
彼はふっと笑うと、怯えているイザベルの頬を撫でた。それは優しい手つきで、ひょっとしたら彼はただの冗談でこんなことをしたのかもしれないと思った。このまま家に帰してくれるかもしれない、と。
だが、次の瞬間に、彼は優しい笑顔で、イザベルの希望を打ち砕いた。
「観念しなさい、ベル」