とりかえばや艶話
京極れな イラスト/あんず
大納言家の男勝りの姫・白菊は、突然の父の死に疑問を抱く。そこで気弱な双子の弟・春家と入れ替わって出仕し、真相を探ることに。だが主である東宮・雅鷹に気に入られてしまい、正体がバレてしまう。男性経験のない白菊は、雅鷹の情熱的で甘やかな愛撫を受けて官能の虜に……。雅鷹は、白菊を危険な目にあわせたくないと言って!? 配信日:2018年8月31日
京極れな イラスト/あんず
大納言家の男勝りの姫・白菊は、突然の父の死に疑問を抱く。そこで気弱な双子の弟・春家と入れ替わって出仕し、真相を探ることに。だが主である東宮・雅鷹に気に入られてしまい、正体がバレてしまう。男性経験のない白菊は、雅鷹の情熱的で甘やかな愛撫を受けて官能の虜に……。雅鷹は、白菊を危険な目にあわせたくないと言って!? 配信日:2018年8月31日
「と、東宮様……」
今日も当然、晒を巻いているから、そうやすやすとふれられる状態ではないのだが、白菊は思わず雅鷹の手を咎めた。しかし、彼は引き下がらなかった。
「あの夜の続きだ。おまえを抱きたい」
そう言って、秘されたふくらみをなぞられる。
そういえば、続きはこの次にと言われた。
「続きとは……」
なにをするのか、おぼろげにしかわからないまま、ただし衣を脱がねばならないことは漠然とわかっていたので、白菊は彼にされるがままになって袍を脱ぐ。
「もしかして、あのあとも、まだなにも学んでいないのか?」
小袖一枚になってしまうと、笑いながら問われた。彼のほうも、直衣の当帯をほどきだしている。
「あ……申し訳……ありません、忙しくて、学べず……」
白菊は互いに薄着になってゆくのが恥ずかしくて、目を下にうつむける。
小袖姿になった雅鷹が、口づけを求めて美貌をよせてきた。
白菊がどきどきしながら、息をつめてそれを待っていると、
「こういうときは、目を閉じるものなんだ」
唇がかさなる寸前に、囁かれた。
無知な自分が恥ずかしくなって、白菊は言われた通りに目を閉ざした。たしかに、瞳を閉ざすほうが自然のように思えた。
「おまえ、閨事には本当に疎いんだな、白菊……」
言いなりなのがおかしかったようで、彼が少し笑った。
「も、申し訳ありません……」
ふたたび目を開け、至近距離の雅鷹にどきどきと焦りながら詫びると、
「いいんだ。……そのほうが抱き甲斐があるから。おまえが私しか知らないのだと思うと嬉しいよ」
雅鷹はほほえみながら、ふたたび首筋に口づけてくる。
「あ……」
そこは思いのほか敏感で、白菊はぴくんと肩をはねさせてしまった。
目を閉ざすと、すぐに彼の唇が自分のそれにかさなった。先日とおなじ、しっとりとして柔らかな感触に覆われる。
「ん……」
抱きしめられるのよりも、さらに彼を近く感じた。言葉よりももっと深く、雅鷹の意思が感じられる。
彼が唇を動かし、食むように口づけられると、このまえと同じように、身体の芯がきゅんと甘く痺れたようになった。
ただ身をかさねて口づけあっているだけなのに、身体がどんどん熱くなっていく。
「ふ……」
慣れないせいですぐに息苦しくなったが、それよりも、口づけがどうしてこんなにも自分の身体を熱く痺れさせるのか、不思議でならなかった。
「………っ」
白菊は身じろいだ。ずらした唇の隙間に、彼が舌を割り込ませてくる。
舌が――。
女姿で過ごした夜の記憶が鮮明によみがえった。
このまま侵入を許せば、またあの夜のようになる。本当にそれでいいのだろうか。
不安を覚える白菊の歯列をなぞり、彼の舌とおぼしきものがぬっと押し入ってきた。
舌先がふれあうと、ずんと甘い衝撃が腰の奥のどこかにきて、秘めていた官能が一気に呼び覚まされた。
「ふ……」
熱い舌が口内を蹂躙し、淫らに舐めまわしてゆく。
「ふ……ぁぅ……」
淫らに重なりあった互いの唇の隙間から、ときおり吐息がこぼれる。
ふと、唇がはなれたので目をあけると、間近で目が合った。
劣情をはらんだ美しいまなざしに、ずきんと胸が撃ち抜かれたように甘く痺れる。
自分はもう、この男にすっかりと心を奪われてしまったのだ。
「ああ、この潤みかけた瞳がたまらないな……、この前もそうだった。どれほどおまえの艶やかな女姿にそそられたことか……」
晒を取り除きながら彼が言う。
そして、ふっと抑えきれないものを解き放ったような気配がしたかと思うと、雅鷹のふるまいが荒々しくなった。
乱れていた白い小袖の懐を一気に剥かれ、露になった乳房をわしづかみにされる。
「あ……っ」
男の熱い手のひらに、乳房が握り込まれる。ぎゅうと力を込められ、思わず声が洩れた。
まるで心までが摑まれてしまったかのようになって、白菊はなにもできなくなる。
ふくらみを弄んだあと、人差し指の腹で頂を撫でられ、食まれた。
「あ……ン……っ」
白菊は背をのけぞらせた。そこはこの前と同じでひどく敏感で、舌先でくすぐられるとみるみる硬くしこってくる。熱を伴って尖りになにかが集まってくるような――。
「と、東宮様……」
男が赤子のように乳房に吸いついている様がどうしても妙で、白菊はうろたえた。熱くて、くすぐったくて、どうしていいかわからなくなる。
褥で睦みあう男女はみな、こんなことをしているのだろうか。
けれども戸惑いははじめのうちだけだった。すでに官能を覚えている乳頭はみるみる硬くしこって敏感になって、下肢の奥に甘い疼きをもたらせる。
雅鷹が頂をちゅくちゅくと執拗に舐める。
「あ、ン……、だ、だめ……」
身体中がますます熱くなる。心の臓もどきどきして、耳にうるさいほどになってきた。
ちゅっ、ちゅっ……、ぢゅぅっ、と、わざとしているのだとしか思えないほどに卑猥な音が続く。
「ほら、ぴんと勃って、茱萸の実のように熟れてきた……」
雅鷹が、いったい唇をはなし、指先で乳頭を軽くつまむ。
「ん、あ……、やっ……、だめ……です……」
「こんなに硬くして、悦いんだな、白菊?」
雅鷹は舌で攻めるのをやめ、指先で先端を弄りながら、顔を覗き込んでくる。
「み、見ないで……ください……」
身体を弄ばれて、自分が、恥ずかしくてならなかった。
「どうしてだ、色っぽくて美しいのに……」
雅鷹は言いながら、乳房を弄ぶ手を腹部へと滑らせる。
その手の向かうところは、さきほどから焦れて疼いている下肢の付け根の部分だ。
「あっ」
白菊はひくりと腰を揺らした。秘裂にふれた彼の指先は蜜に濡れている。
「このまえと同じだな、白菊。こんなに濡らして……」
雅鷹は愛液にまみれた指の腹で、そこをぬるぬると擦られる。
「あ、あ……だめ……、だめです……」
白菊はどんどん気持ちよくなってしまい、はあはあと喘ぐ。
「ん、ぁ……、あ、あ、はぁっ、はあ……っ」
あまりの気持ちよさに、たちまち理性が薄らいでいくのを感じた。代わって、淫らな欲望が増してくる。もっとそれをしてほしいと。
「中にも欲しいな?」
雅鷹の濡れた指が秘唇を割り、蜜口を撫でてくる。
そこは物欲しげに息づいて、彼からの刺激を待っていた。
「んぁ……」
白菊は内腿を震わせた。彼の指がぬぷりと内奥に入ってくる。
心地よい抵抗と、甘い痺れが内腿から下腹部の奥にかけてゆきわたる。
「あ、ぁっ、ンっ、はぁっ、ン……」
彼がすぐに、くちゅくちゅと勢いよく指を出し入れさせる。
「はっ、はぁっ、あぁ、あっ……んっ……」
媚壁がそれに吸いつかんばかりにいやらしくうねる。
これに続きがあるなんて、自分はどうなってしまうのだろう。
「あ、あぁっ、あぁ……身体が……」
白菊は衣を握りしめて蕩けるような快感に悶える。
「身体が……?」
「ン……ぁ、あっ、あっ、おかしくなってしまいそう……」
また、こんなふしだらで自堕落的な行為、自分たちだけが間違ったことをしているのではないかと不安になってくる。
そのうち罰が下りそうな――実際、自分たちは肉体関係などもってよい間柄ではないのに。それとも東宮が望むのだから、間違ってもいないのだろうか。この男は、なにをしても許される身だ。
「あ、ああっ、東宮さ、ま……っ……」
今日も当然、晒を巻いているから、そうやすやすとふれられる状態ではないのだが、白菊は思わず雅鷹の手を咎めた。しかし、彼は引き下がらなかった。
「あの夜の続きだ。おまえを抱きたい」
そう言って、秘されたふくらみをなぞられる。
そういえば、続きはこの次にと言われた。
「続きとは……」
なにをするのか、おぼろげにしかわからないまま、ただし衣を脱がねばならないことは漠然とわかっていたので、白菊は彼にされるがままになって袍を脱ぐ。
「もしかして、あのあとも、まだなにも学んでいないのか?」
小袖一枚になってしまうと、笑いながら問われた。彼のほうも、直衣の当帯をほどきだしている。
「あ……申し訳……ありません、忙しくて、学べず……」
白菊は互いに薄着になってゆくのが恥ずかしくて、目を下にうつむける。
小袖姿になった雅鷹が、口づけを求めて美貌をよせてきた。
白菊がどきどきしながら、息をつめてそれを待っていると、
「こういうときは、目を閉じるものなんだ」
唇がかさなる寸前に、囁かれた。
無知な自分が恥ずかしくなって、白菊は言われた通りに目を閉ざした。たしかに、瞳を閉ざすほうが自然のように思えた。
「おまえ、閨事には本当に疎いんだな、白菊……」
言いなりなのがおかしかったようで、彼が少し笑った。
「も、申し訳ありません……」
ふたたび目を開け、至近距離の雅鷹にどきどきと焦りながら詫びると、
「いいんだ。……そのほうが抱き甲斐があるから。おまえが私しか知らないのだと思うと嬉しいよ」
雅鷹はほほえみながら、ふたたび首筋に口づけてくる。
「あ……」
そこは思いのほか敏感で、白菊はぴくんと肩をはねさせてしまった。
目を閉ざすと、すぐに彼の唇が自分のそれにかさなった。先日とおなじ、しっとりとして柔らかな感触に覆われる。
「ん……」
抱きしめられるのよりも、さらに彼を近く感じた。言葉よりももっと深く、雅鷹の意思が感じられる。
彼が唇を動かし、食むように口づけられると、このまえと同じように、身体の芯がきゅんと甘く痺れたようになった。
ただ身をかさねて口づけあっているだけなのに、身体がどんどん熱くなっていく。
「ふ……」
慣れないせいですぐに息苦しくなったが、それよりも、口づけがどうしてこんなにも自分の身体を熱く痺れさせるのか、不思議でならなかった。
「………っ」
白菊は身じろいだ。ずらした唇の隙間に、彼が舌を割り込ませてくる。
舌が――。
女姿で過ごした夜の記憶が鮮明によみがえった。
このまま侵入を許せば、またあの夜のようになる。本当にそれでいいのだろうか。
不安を覚える白菊の歯列をなぞり、彼の舌とおぼしきものがぬっと押し入ってきた。
舌先がふれあうと、ずんと甘い衝撃が腰の奥のどこかにきて、秘めていた官能が一気に呼び覚まされた。
「ふ……」
熱い舌が口内を蹂躙し、淫らに舐めまわしてゆく。
「ふ……ぁぅ……」
淫らに重なりあった互いの唇の隙間から、ときおり吐息がこぼれる。
ふと、唇がはなれたので目をあけると、間近で目が合った。
劣情をはらんだ美しいまなざしに、ずきんと胸が撃ち抜かれたように甘く痺れる。
自分はもう、この男にすっかりと心を奪われてしまったのだ。
「ああ、この潤みかけた瞳がたまらないな……、この前もそうだった。どれほどおまえの艶やかな女姿にそそられたことか……」
晒を取り除きながら彼が言う。
そして、ふっと抑えきれないものを解き放ったような気配がしたかと思うと、雅鷹のふるまいが荒々しくなった。
乱れていた白い小袖の懐を一気に剥かれ、露になった乳房をわしづかみにされる。
「あ……っ」
男の熱い手のひらに、乳房が握り込まれる。ぎゅうと力を込められ、思わず声が洩れた。
まるで心までが摑まれてしまったかのようになって、白菊はなにもできなくなる。
ふくらみを弄んだあと、人差し指の腹で頂を撫でられ、食まれた。
「あ……ン……っ」
白菊は背をのけぞらせた。そこはこの前と同じでひどく敏感で、舌先でくすぐられるとみるみる硬くしこってくる。熱を伴って尖りになにかが集まってくるような――。
「と、東宮様……」
男が赤子のように乳房に吸いついている様がどうしても妙で、白菊はうろたえた。熱くて、くすぐったくて、どうしていいかわからなくなる。
褥で睦みあう男女はみな、こんなことをしているのだろうか。
けれども戸惑いははじめのうちだけだった。すでに官能を覚えている乳頭はみるみる硬くしこって敏感になって、下肢の奥に甘い疼きをもたらせる。
雅鷹が頂をちゅくちゅくと執拗に舐める。
「あ、ン……、だ、だめ……」
身体中がますます熱くなる。心の臓もどきどきして、耳にうるさいほどになってきた。
ちゅっ、ちゅっ……、ぢゅぅっ、と、わざとしているのだとしか思えないほどに卑猥な音が続く。
「ほら、ぴんと勃って、茱萸の実のように熟れてきた……」
雅鷹が、いったい唇をはなし、指先で乳頭を軽くつまむ。
「ん、あ……、やっ……、だめ……です……」
「こんなに硬くして、悦いんだな、白菊?」
雅鷹は舌で攻めるのをやめ、指先で先端を弄りながら、顔を覗き込んでくる。
「み、見ないで……ください……」
身体を弄ばれて、自分が、恥ずかしくてならなかった。
「どうしてだ、色っぽくて美しいのに……」
雅鷹は言いながら、乳房を弄ぶ手を腹部へと滑らせる。
その手の向かうところは、さきほどから焦れて疼いている下肢の付け根の部分だ。
「あっ」
白菊はひくりと腰を揺らした。秘裂にふれた彼の指先は蜜に濡れている。
「このまえと同じだな、白菊。こんなに濡らして……」
雅鷹は愛液にまみれた指の腹で、そこをぬるぬると擦られる。
「あ、あ……だめ……、だめです……」
白菊はどんどん気持ちよくなってしまい、はあはあと喘ぐ。
「ん、ぁ……、あ、あ、はぁっ、はあ……っ」
あまりの気持ちよさに、たちまち理性が薄らいでいくのを感じた。代わって、淫らな欲望が増してくる。もっとそれをしてほしいと。
「中にも欲しいな?」
雅鷹の濡れた指が秘唇を割り、蜜口を撫でてくる。
そこは物欲しげに息づいて、彼からの刺激を待っていた。
「んぁ……」
白菊は内腿を震わせた。彼の指がぬぷりと内奥に入ってくる。
心地よい抵抗と、甘い痺れが内腿から下腹部の奥にかけてゆきわたる。
「あ、ぁっ、ンっ、はぁっ、ン……」
彼がすぐに、くちゅくちゅと勢いよく指を出し入れさせる。
「はっ、はぁっ、あぁ、あっ……んっ……」
媚壁がそれに吸いつかんばかりにいやらしくうねる。
これに続きがあるなんて、自分はどうなってしまうのだろう。
「あ、あぁっ、あぁ……身体が……」
白菊は衣を握りしめて蕩けるような快感に悶える。
「身体が……?」
「ン……ぁ、あっ、あっ、おかしくなってしまいそう……」
また、こんなふしだらで自堕落的な行為、自分たちだけが間違ったことをしているのではないかと不安になってくる。
そのうち罰が下りそうな――実際、自分たちは肉体関係などもってよい間柄ではないのに。それとも東宮が望むのだから、間違ってもいないのだろうか。この男は、なにをしても許される身だ。
「あ、ああっ、東宮さ、ま……っ……」