比翼の蜜鳥
たなぼた帝に毎晩かわいがられています
依田ザクロ イラスト/ゆえこ
権大納言家の三女・嬉子は、幼い頃に流行り病で死にかけたことから両親に溺愛され、自分の命を救った薬の再現を試みつつ、姫君らしくなく自由に過ごしている。ある日、嬉子は東宮の神社参詣に従者として参加する暁智親王と出会い、彼の髪と瞳の色が探している薬草の花の色と同じだったため、運命を感じる。一方、暁智親王も急病人を献身的に看病する嬉子に恋をし、二人は結ばれる。甘々な新婚生活を送っていたところ、都に再び奇病が流行りだし…? 配信日:2020年11月27日
たなぼた帝に毎晩かわいがられています
依田ザクロ イラスト/ゆえこ
権大納言家の三女・嬉子は、幼い頃に流行り病で死にかけたことから両親に溺愛され、自分の命を救った薬の再現を試みつつ、姫君らしくなく自由に過ごしている。ある日、嬉子は東宮の神社参詣に従者として参加する暁智親王と出会い、彼の髪と瞳の色が探している薬草の花の色と同じだったため、運命を感じる。一方、暁智親王も急病人を献身的に看病する嬉子に恋をし、二人は結ばれる。甘々な新婚生活を送っていたところ、都に再び奇病が流行りだし…? 配信日:2020年11月27日
「俺はお前を大切にしたい。嫌がることはしたくないんだ。だが、あんなふうにされたら、我慢がきかなくなってしまう」
「……っ、我慢?」
「そうだよ、ずっと我慢をしているんだ。かわいいお前に触れないように。昨日はつい怖がらせてしまって……反省した」
真摯な瞳にとらえられる。
どうやら彼は、くすぐったさに手を突っぱねたのを恐怖のためと誤解してから、ずっと気にしていたらしい。
優しい思いやりに胸がじんと痺れた。
恥ずかしくて否定できないままでいた自分が情けない。今こそちゃんと告げるべきだ。ごくりと唾をのみこみ、覚悟を決める。
「私……くすぐったかっただけなの」
「え?」
「怖くなかったし、嫌じゃなかった。むしろ今、背中を向けて寝ちゃうのが、嫌」
「――待ってくれ。都合よく解釈してしまいそうだ」
彼はかすかに頬を紅潮させ、視線をさまよわせた。つられて嬉子まで顔が熱くなってくる。
「たぶん、あなたの解釈で大丈夫よ……」
消え入りそうな声で伝える。
再び目が合う。彼の瞳にはさきほどとはまた違う炎が宿っていた。
「そういうのは覚悟ができてから言ってほしい。正直、理性が焼き切れそうなところを必死にこらえているんだ」
覚悟なら……できている。
勇気を出してゆっくりと手を伸ばした。指先が彼の頬に触れる。滑らかながらも男性らしい硬質な皮膚は驚くほど熱く感じられた。
「こらえなくていいの」
「……本当に?」
「本当よ」
「一度触れたら止まれなくなるかもしれない。それでも、平気か?」
嚙み含めるように問うてくる。ずいぶん慎重だが、すべては嬉子への気づかいなのだった。彼の思いやりに胸が甘くとろける。
「平気」
「――それなら」
彼の吐息が間近に迫る。静かに唇が重なった。隙間なく合わさる感触に体が内側から火照っていく。
「ん……」
体に彼の重みがかかる。それさえ心地よい。
何度か軽い水音を立てて唇が吸われ、やがて舌がぬるりと入ってくる。熱い舌先に口内をまさぐられると、どうしようもなく淫靡な気分になった。
羞恥に襲われて首を振ろうとするが、大きな手が頬へあてがわれる。濡れた舌は角度を変えて侵入し、縮こまっていた嬉子の舌を探り当てた。舌先を誘うように舐めたかと思えば、味蕾をくすぐり、さらには根元をじゅっと吸い上げてくる。
「んっ、んん……っ」
我知らず体をよじった。胎内のあらぬ処に官能の芽が生まれ、淫らな口づけが深まるたび昂っていく。
呼吸も唾液もすべて奪いつくされる激しい口づけだった。思いやりに満ちた彼の振る舞いからは想像できないほど、その舌は傍若無人に動き回る。
言葉なんかなくても、熱い想いがあますところなく伝わってきた。どれだけ気づかって耐えていてくれたのか。考えるだけで、愛おしさが溢れてしまう。
飽きることなく口中を味わう舌に、ほんの少し自分も舌を絡めてみた。すると、上手にできた褒美とばかり、彼の舌はいっそう淫らに蠢いて翻弄してきた。敏感なところを擦られると、体の力が抜けてしまう。
いつの間にか両手を褥へ投げ出し、ぐったりとしていた。体の芯がとろけてしまったようだ。さらに、たっぷり吸いつくされた唇は赤く腫れ、自らの吐息さえも刺激となって愉悦を運んでくる。
暁智は身を起こし、そっと嬉子の胸に触れてきた。腹の底からなにかがむずむずっとこみ上げてくる。
「ぁ……っ、や……」
「くすぐったい?」
密やかな声がたずねてくる。嬉子は必死にうなずいた。
「耐えられないほど?」
単をかすかに押し上げるふくらみを手のひらの熱で包まれると、腹がひくひく震えてしまう。自分がこんなにくすぐったがりだなんて知らなかった。
「我慢できないほどじゃない、けど……っ、待って……っ」
腰をねじって身悶えるが、彼は触れずにはいられないとばかり柔肉を捏ねまわしてくる。
「もう待てないと言ったはずだ」
「あ……、ぁあ……っ、や、だ、め……っ」
まろやかな手触りを楽しんで、じっくりと揉みしだかれる。笑いだしたくなるほどくすぐったいのに、中央の頂がつんと尖った。
衣越しに彼の人差し指が先端を引っかく。とたん、肌がざわめき、愉悦の波にさらわれた。
「んぁあ……っ!」
背筋が痺れ、つま先までが甘く震えた。未知の刺激は淫靡で、頂はさらに硬く凝っていく。
「声が変わった。まだくすぐったい? それとも、くすぐったさとは違う?」
「わ、わからないっ」
「わからないなら、確かめないと」
揶揄するように単の上から弾いたり、押し込めたりしてくる。そのたび肌は敏感になり、乳首は痛むほど勃ち上がる。
だけど、痛いのとは違う。くすぐったいのとも。
もどかしいほど鈍い疼きは快感の火種に変わり、下腹部へたまっていく。
そのうち、単の合わせから彼の手がするりと侵入してきた。女性のものとは違う硬い皮膚が敏感な箇所をさわる。
初めは指先で輪郭をたどるように、やがて手のひら全体でやんわりと力を込めてつかまれた。自分のものではない人肌のあたたかさは、うっとりするほど心地よい。
「は……、ぁあ……、あ……」
陶酔感にぼうっとしてしまう。
腰の辺りの拘束が緩んだ気がしたら、いつの間にか袴の腰紐がほどかれていた。単の前合わせがしどけなく開き、双つのふくらみがあらわになる。
「綺麗だな。陶器のように白くて、滑らかで、柔らかい」
改めてまじまじと見下ろされると、とんでもなく恥ずかしい。
「やぁ……っ、見ちゃだめ……」
「だめなら、こうやって隠せばいいな」
両手のひらを開いてつかまれると、嬉子の乳房はすっぽりと覆われてしまう。発育途上の胸をさらしていることに、別の羞恥がこみ上げる。
「あ、やだ……、私、ん、んっ、だめ……」
しかし、彼は全然聞いてくれない。
「こうやって捏ねると吸いついてきて、まるで俺のためにあつらえられたようにしっくり馴染む」
そのまま左右に緩やかに揺すられると、充血した先端が押しつぶされた。布越しでさえ震えた刺激は、直では信じられないほど鮮烈に感じられた。思わず背をのけぞらせてしまう。
「んああぁ……っ!」
「ずいぶん敏感なんだな。かわいい、ずっとこうしていたい」
悪戯めかして乳首をつまみあげられる。びりっと走った愉悦に、再び体を引きつらせた。
「咲き初めの桜と同じ可憐な色をしていた蕾が、紅梅のようにぷっくりと紅くなった。これでもまだ、くすぐったいか?」
たずねながら、尖らせた舌先で舐めてくる。
指とは違うなまあたたかくて湿った淫猥な感覚に、喉の奥から嬌声が漏れた。
「ああぁ……んっ」
ゆったりと乳房を揉みあげながら、舌でねろりねろりと嬲ってくる。硬く窄まった乳首は敏感で、ざらついた舌の味蕾の一つ一つを感じてしまう。
くすぐったいどころではない強い官能の渦にのみこまれ、はくはくと喘いだ。
唇に挟んでしごかれ、舌先で先端をつつかれ、極めつけにはじゅっと強く吸い上げられる。
「ああ……ぁっ、んあっ、は……っ、ぁ、や、あぁ……っ」
すっかり体からは力が抜けてしまった。荒い息に胸を上下させて茫然としていると、身を起こした暁智は嬉子の足もとへ移動した。
胸への愛撫の際、足をばたつかせたせいで着崩れてしまった紅袴をひと思いに取り去り、膝裏に手を掛けてくる。
「え……?」
両脚を割り開き、褥につくほど大きく広げられた。中央の花びらが開き、くちゅりと小さな水音が立つ。
「よかった、ただくすぐったいだけじゃなかったみたいだな。ちゃんと濡れてる」
指摘され、ようやくはたと我に返った。
普段であれば襲ね装束の奥深くに秘められた花園が、あますところなく彼の目にさらされていた。
初夜の直前に母から見せられた絵巻物にも、こんなあられもない姿をさらす姫君が描かれていたのを思い出した。だからこれは、普通のことだ。恥ずかしくなんてない……はず。
「っ、やっぱり、だめ……っ、見ないで」
「……っ、我慢?」
「そうだよ、ずっと我慢をしているんだ。かわいいお前に触れないように。昨日はつい怖がらせてしまって……反省した」
真摯な瞳にとらえられる。
どうやら彼は、くすぐったさに手を突っぱねたのを恐怖のためと誤解してから、ずっと気にしていたらしい。
優しい思いやりに胸がじんと痺れた。
恥ずかしくて否定できないままでいた自分が情けない。今こそちゃんと告げるべきだ。ごくりと唾をのみこみ、覚悟を決める。
「私……くすぐったかっただけなの」
「え?」
「怖くなかったし、嫌じゃなかった。むしろ今、背中を向けて寝ちゃうのが、嫌」
「――待ってくれ。都合よく解釈してしまいそうだ」
彼はかすかに頬を紅潮させ、視線をさまよわせた。つられて嬉子まで顔が熱くなってくる。
「たぶん、あなたの解釈で大丈夫よ……」
消え入りそうな声で伝える。
再び目が合う。彼の瞳にはさきほどとはまた違う炎が宿っていた。
「そういうのは覚悟ができてから言ってほしい。正直、理性が焼き切れそうなところを必死にこらえているんだ」
覚悟なら……できている。
勇気を出してゆっくりと手を伸ばした。指先が彼の頬に触れる。滑らかながらも男性らしい硬質な皮膚は驚くほど熱く感じられた。
「こらえなくていいの」
「……本当に?」
「本当よ」
「一度触れたら止まれなくなるかもしれない。それでも、平気か?」
嚙み含めるように問うてくる。ずいぶん慎重だが、すべては嬉子への気づかいなのだった。彼の思いやりに胸が甘くとろける。
「平気」
「――それなら」
彼の吐息が間近に迫る。静かに唇が重なった。隙間なく合わさる感触に体が内側から火照っていく。
「ん……」
体に彼の重みがかかる。それさえ心地よい。
何度か軽い水音を立てて唇が吸われ、やがて舌がぬるりと入ってくる。熱い舌先に口内をまさぐられると、どうしようもなく淫靡な気分になった。
羞恥に襲われて首を振ろうとするが、大きな手が頬へあてがわれる。濡れた舌は角度を変えて侵入し、縮こまっていた嬉子の舌を探り当てた。舌先を誘うように舐めたかと思えば、味蕾をくすぐり、さらには根元をじゅっと吸い上げてくる。
「んっ、んん……っ」
我知らず体をよじった。胎内のあらぬ処に官能の芽が生まれ、淫らな口づけが深まるたび昂っていく。
呼吸も唾液もすべて奪いつくされる激しい口づけだった。思いやりに満ちた彼の振る舞いからは想像できないほど、その舌は傍若無人に動き回る。
言葉なんかなくても、熱い想いがあますところなく伝わってきた。どれだけ気づかって耐えていてくれたのか。考えるだけで、愛おしさが溢れてしまう。
飽きることなく口中を味わう舌に、ほんの少し自分も舌を絡めてみた。すると、上手にできた褒美とばかり、彼の舌はいっそう淫らに蠢いて翻弄してきた。敏感なところを擦られると、体の力が抜けてしまう。
いつの間にか両手を褥へ投げ出し、ぐったりとしていた。体の芯がとろけてしまったようだ。さらに、たっぷり吸いつくされた唇は赤く腫れ、自らの吐息さえも刺激となって愉悦を運んでくる。
暁智は身を起こし、そっと嬉子の胸に触れてきた。腹の底からなにかがむずむずっとこみ上げてくる。
「ぁ……っ、や……」
「くすぐったい?」
密やかな声がたずねてくる。嬉子は必死にうなずいた。
「耐えられないほど?」
単をかすかに押し上げるふくらみを手のひらの熱で包まれると、腹がひくひく震えてしまう。自分がこんなにくすぐったがりだなんて知らなかった。
「我慢できないほどじゃない、けど……っ、待って……っ」
腰をねじって身悶えるが、彼は触れずにはいられないとばかり柔肉を捏ねまわしてくる。
「もう待てないと言ったはずだ」
「あ……、ぁあ……っ、や、だ、め……っ」
まろやかな手触りを楽しんで、じっくりと揉みしだかれる。笑いだしたくなるほどくすぐったいのに、中央の頂がつんと尖った。
衣越しに彼の人差し指が先端を引っかく。とたん、肌がざわめき、愉悦の波にさらわれた。
「んぁあ……っ!」
背筋が痺れ、つま先までが甘く震えた。未知の刺激は淫靡で、頂はさらに硬く凝っていく。
「声が変わった。まだくすぐったい? それとも、くすぐったさとは違う?」
「わ、わからないっ」
「わからないなら、確かめないと」
揶揄するように単の上から弾いたり、押し込めたりしてくる。そのたび肌は敏感になり、乳首は痛むほど勃ち上がる。
だけど、痛いのとは違う。くすぐったいのとも。
もどかしいほど鈍い疼きは快感の火種に変わり、下腹部へたまっていく。
そのうち、単の合わせから彼の手がするりと侵入してきた。女性のものとは違う硬い皮膚が敏感な箇所をさわる。
初めは指先で輪郭をたどるように、やがて手のひら全体でやんわりと力を込めてつかまれた。自分のものではない人肌のあたたかさは、うっとりするほど心地よい。
「は……、ぁあ……、あ……」
陶酔感にぼうっとしてしまう。
腰の辺りの拘束が緩んだ気がしたら、いつの間にか袴の腰紐がほどかれていた。単の前合わせがしどけなく開き、双つのふくらみがあらわになる。
「綺麗だな。陶器のように白くて、滑らかで、柔らかい」
改めてまじまじと見下ろされると、とんでもなく恥ずかしい。
「やぁ……っ、見ちゃだめ……」
「だめなら、こうやって隠せばいいな」
両手のひらを開いてつかまれると、嬉子の乳房はすっぽりと覆われてしまう。発育途上の胸をさらしていることに、別の羞恥がこみ上げる。
「あ、やだ……、私、ん、んっ、だめ……」
しかし、彼は全然聞いてくれない。
「こうやって捏ねると吸いついてきて、まるで俺のためにあつらえられたようにしっくり馴染む」
そのまま左右に緩やかに揺すられると、充血した先端が押しつぶされた。布越しでさえ震えた刺激は、直では信じられないほど鮮烈に感じられた。思わず背をのけぞらせてしまう。
「んああぁ……っ!」
「ずいぶん敏感なんだな。かわいい、ずっとこうしていたい」
悪戯めかして乳首をつまみあげられる。びりっと走った愉悦に、再び体を引きつらせた。
「咲き初めの桜と同じ可憐な色をしていた蕾が、紅梅のようにぷっくりと紅くなった。これでもまだ、くすぐったいか?」
たずねながら、尖らせた舌先で舐めてくる。
指とは違うなまあたたかくて湿った淫猥な感覚に、喉の奥から嬌声が漏れた。
「ああぁ……んっ」
ゆったりと乳房を揉みあげながら、舌でねろりねろりと嬲ってくる。硬く窄まった乳首は敏感で、ざらついた舌の味蕾の一つ一つを感じてしまう。
くすぐったいどころではない強い官能の渦にのみこまれ、はくはくと喘いだ。
唇に挟んでしごかれ、舌先で先端をつつかれ、極めつけにはじゅっと強く吸い上げられる。
「ああ……ぁっ、んあっ、は……っ、ぁ、や、あぁ……っ」
すっかり体からは力が抜けてしまった。荒い息に胸を上下させて茫然としていると、身を起こした暁智は嬉子の足もとへ移動した。
胸への愛撫の際、足をばたつかせたせいで着崩れてしまった紅袴をひと思いに取り去り、膝裏に手を掛けてくる。
「え……?」
両脚を割り開き、褥につくほど大きく広げられた。中央の花びらが開き、くちゅりと小さな水音が立つ。
「よかった、ただくすぐったいだけじゃなかったみたいだな。ちゃんと濡れてる」
指摘され、ようやくはたと我に返った。
普段であれば襲ね装束の奥深くに秘められた花園が、あますところなく彼の目にさらされていた。
初夜の直前に母から見せられた絵巻物にも、こんなあられもない姿をさらす姫君が描かれていたのを思い出した。だからこれは、普通のことだ。恥ずかしくなんてない……はず。
「っ、やっぱり、だめ……っ、見ないで」