運命のあなたは変態紳士
夫の過去にトリップしたら、ハジメテを奪ったのは私だったようです?
葉月エリカ イラスト/弓槻みあ
「始祖」と呼ばれる精霊にそっくりで悪霊に狙われるため、幼い頃から結界の張られた離宮に隔離されていた王女・キアラ。悪霊に襲われたところを強力な魔法使い・リシャールに助けられ、定期的に彼の術をかけてもらえば普通の生活ができるとわかる。宮廷魔法使いとして取り立てられたリシャールにキアラは恋心を抱き、父王のお膳立てもあって結婚することに。身も心もリシャールからたっぷり愛されるキアラだが、彼が語ろうとしない過去が気になって…? 配信日:2021年9月30日
夫の過去にトリップしたら、ハジメテを奪ったのは私だったようです?
葉月エリカ イラスト/弓槻みあ
「始祖」と呼ばれる精霊にそっくりで悪霊に狙われるため、幼い頃から結界の張られた離宮に隔離されていた王女・キアラ。悪霊に襲われたところを強力な魔法使い・リシャールに助けられ、定期的に彼の術をかけてもらえば普通の生活ができるとわかる。宮廷魔法使いとして取り立てられたリシャールにキアラは恋心を抱き、父王のお膳立てもあって結婚することに。身も心もリシャールからたっぷり愛されるキアラだが、彼が語ろうとしない過去が気になって…? 配信日:2021年9月30日
「私が打算だけであなたを娶ったと? そんなふうに思われるのは心外ですね」
「でも……」
「あなたを愛しています」
いきなりの直球発言に、頭が真っ白になった。
彫像のごとく固まるキアラに、リシャールは嫣然と微笑んだ。
「――と言うのは簡単ですよ。けれど、それも口先だけだと疑ってかかるのでしょう? ならば身をもってわからせて差し上げます。私がどれだけ、あなたをこうして可愛がりたいと思っていたか」
頬から滑った手が頤を捉え、キアラは慌てた。
だって、これは――この流れは、おそらくきっと。
「ん……っ!」
予想どおりにキスをされ、呼吸の一切が止まった。
衝撃に目も閉じられず、全身の血が熱くなる。そんなキアラを、リシャールはさらに追い込んできた。
(え、これ何……ええっ……!?)
唇をこじ開ける柔らかなものは、彼の濡れた舌だった。
初夜の大まかな流れは侍女が教えてくれたけれど、キスのあとに舌を入れられ、どう応えれば作法にかなっているのかなんて、細かいところまでは習わなかった。
「ふ……んんっ……」
逃げる舌を絡め取ったリシャールは、上下を入れ替えながらねっとりと擦り合わせた。
いつもの澄ました顔と生々しいこの行為が、キアラの中でうまく繋がらない。
けれど自分の唇を吸い、口腔を暴いているのは、まぎれもなくずっと恋していた彼なのだ。
「あ、ん……はぅ……」
口蓋を舐め上げられると、耳の後ろから項にかけてがぞくぞくした。
そこを指先でつうっと撫で下ろされ、背骨にまで甘い痺れが走る。
巧みなキスに酔わされ、抱きしめてくるリシャールの腕の中で、キアラは芯をなくしたようにぐったりした。
「男とキスをするのは初めてですか?」
ようやく口を離したリシャールが、頬を上気させたキアラを見下ろした。
「はい……」
ずっとリシャールだけを想っていたのだ。他に誰と、こんなふうに親密で淫らなことをするというのか。
恥じらいとわずかな非難を込めて見つめれば、リシャールは「愚問でしたね」と呟いた。
「今のあなたは、誰にも踏み荒らされていない新雪だ。――本当に私が奪ってしまっても?」
どきどきしながら頷くキアラを、リシャールは寝台に横たわらせた。体の下で押し潰された薔薇の花弁が強く香る。
甘い芳香の中、真下から見上げるリシャールは、いつになく雄めいた顔をしていた。リボンで束ねられた黒髪を後ろに払い、キアラの喉元に柔く嚙みつく。
「ふぁ……っ」
吸血鬼に牙を立てられる獲物は、こんな心地になるのだろうか。
怖いけれど痛くはなくて、陶然とした感覚が爪先にまで広がっていく。
その間にリシャールは、キアラの纏う寝間着を手際よく脱がしていった。
裾も袖もたっぷりと襞を取ったレースの夜着は、シルエットこそ豪華だが、要所要所で結ばれたリボンを解くだけで前がはらりとはだけてしまう。
新雪の喩えのとおり傷も染みもない胸が、ランプの明かりを受けて茜色に染まった。
「や、恥ずかしい……」
両腕で胸を隠すと、リシャールの唇が三日月のように弧を描いた。
「そんなに怯えられると、ひどいことをしている暴漢のような気になりますが……」
手首を摑まれ、十字架の形にやんわりと引き剥がされる。
「駄目ですよ。あなたはもう私の妻なのだから」
「それはそう、ですけど……あっ……ひゃぁんっ……!」
胸の先端を舌で弾かれた途端、あらぬ声が迸った。
初めての刺激に、キアラはなすすべもなく体を震わせた。
淡い乳輪に埋もれかけていた突起は、リシャールの舌で掘り起こされると、すぐにぷっくりと膨らんだ。春の訪れを待って色めく、可憐な花の蕾のように。
「ああんっ……や、ぁあっ……」
「キアラ様のここは、とても可愛らしい――もっと大きく育ててしまいましょうか」
口内へ引き込まれた乳首に、ぬるぬると舌が絡む。前歯で軽く齧られると、痛みではなく未知の疼きが込み上がってくる。
「んっ、あ……ああ、あ……!」
何をされても気持ちよく、腰が勝手によじれた。
口で可愛がられているのとは逆の胸も、大きな手でゆるゆると揉まれる。指先で乳頭を摘まれたり、きゅっとひねったりされるたびに、肌という肌が熱を帯びた。
「目が潤んできましたね。これだけでいっぱいいっぱいですか? まだほんの序の口ですが」
「っ……ああ、だめ……だめぇ……」
両乳首を弄られるうちに、曰く言い難い感覚が脚の付け根に生じていた。内腿をすり合わせると、リシャールはそこを押し広げて体を割り込ませてくる。
「やっ……」
身を強張らせるキアラに、リシャールは安心させるように言った。
「いきなり事を進めたりはしませんよ。理性も分別もない十代の少年でもあるまいし」
薄く笑ったリシャールが、膨らみの谷間に音を立てて吸いついた。白い肌を食みながら、鬱血の赤い痕をいくつも残していく。
二の腕の内側や脇腹や、臍の周辺にいたるまで。寝台に散った薔薇の花弁が、そのままキアラの皮膚に移ったように。
「あ……や、ぁん……」
彼の唇に這われた場所が、どうしようもなくぞわぞわした。
所有の証を刻まれたようで、執拗に吸い痕を残されることを、どこかで嬉しいと思ってしまう。さらさらした黒髪が肌を滑る感触にすら、初めての官能を煽られる。
そうしてすっかり油断した頃、下腹にキスをするリシャールの手が腿の内側に忍び込んだ。薄い茂みを掻き分けて、長い指がゆるりとあわいを探る。
「あっ……!」
「心配ありません。怖がらないで」
「でも……そこ、なんだか変で……」
「いいんです。正常な反応ですよ」
キアラが動揺したのは、大事な場所に触れられた瞬間、ぐちゅりと湿った音がしたからだ。
「感じてくると、女性はここから蜜を吐く。キアラ様が大人の女性で、私を受け入れる準備が整いつつあるという証です」
まるで何かの講義のように、説明を加えられるのがいたたまれない。ここまでの行為で性的な興奮を覚えたのだと、見透かされたことが恥ずかしい。
リシャールの指が花唇を割って、潤みを湛えた秘口を押さえた。
「わかりますか? この場所に私が入ります」
「リシャール様が……」
「そう。正確には、私のこれが」
リシャールはキアラの手首を摑み、脚衣の上から己の股間に導いた。
「……ええっ!?」
衣服ごしとはいえ、予想外の質量を感じてとっさに手を引いてしまう。
初心な乙女らしい反応に、リシャールがくくっと笑った。
「びっくりしましたか?」
「無理じゃないですか!? そんな、大きい――」
「大きい? キアラ様に言われると、照れてしまいますね」
少しも照れてなどいない様子で言って、リシャールは中指の先を入口に浅く沈めた。
「じっくり馴らせば入るようになりますから」
「……あぅっ……!」
未踏の隘路には、指一本ですらひどくきつかった。
歯を食いしばって耐えていると、汗ばむ額にリシャールがキスを落としてくる。
「力を入れていると、余計につらいですよ。大きく息を吐けますか?」
「ふぁ……はあっ……」
「そうです。大丈夫。これだけ蜜が溢れていれば、すぐに呑み込めてしまうはずです」
リシャールの言うとおりだった。
節の目立つ指が、ぷちゅぷちゅと音を立てて割れ目を行き来する。中のぬかるみ具合を確かめながら、ゆっくりと緩慢に。
「あ、ぅ……く……んんっ……」
「でも……」
「あなたを愛しています」
いきなりの直球発言に、頭が真っ白になった。
彫像のごとく固まるキアラに、リシャールは嫣然と微笑んだ。
「――と言うのは簡単ですよ。けれど、それも口先だけだと疑ってかかるのでしょう? ならば身をもってわからせて差し上げます。私がどれだけ、あなたをこうして可愛がりたいと思っていたか」
頬から滑った手が頤を捉え、キアラは慌てた。
だって、これは――この流れは、おそらくきっと。
「ん……っ!」
予想どおりにキスをされ、呼吸の一切が止まった。
衝撃に目も閉じられず、全身の血が熱くなる。そんなキアラを、リシャールはさらに追い込んできた。
(え、これ何……ええっ……!?)
唇をこじ開ける柔らかなものは、彼の濡れた舌だった。
初夜の大まかな流れは侍女が教えてくれたけれど、キスのあとに舌を入れられ、どう応えれば作法にかなっているのかなんて、細かいところまでは習わなかった。
「ふ……んんっ……」
逃げる舌を絡め取ったリシャールは、上下を入れ替えながらねっとりと擦り合わせた。
いつもの澄ました顔と生々しいこの行為が、キアラの中でうまく繋がらない。
けれど自分の唇を吸い、口腔を暴いているのは、まぎれもなくずっと恋していた彼なのだ。
「あ、ん……はぅ……」
口蓋を舐め上げられると、耳の後ろから項にかけてがぞくぞくした。
そこを指先でつうっと撫で下ろされ、背骨にまで甘い痺れが走る。
巧みなキスに酔わされ、抱きしめてくるリシャールの腕の中で、キアラは芯をなくしたようにぐったりした。
「男とキスをするのは初めてですか?」
ようやく口を離したリシャールが、頬を上気させたキアラを見下ろした。
「はい……」
ずっとリシャールだけを想っていたのだ。他に誰と、こんなふうに親密で淫らなことをするというのか。
恥じらいとわずかな非難を込めて見つめれば、リシャールは「愚問でしたね」と呟いた。
「今のあなたは、誰にも踏み荒らされていない新雪だ。――本当に私が奪ってしまっても?」
どきどきしながら頷くキアラを、リシャールは寝台に横たわらせた。体の下で押し潰された薔薇の花弁が強く香る。
甘い芳香の中、真下から見上げるリシャールは、いつになく雄めいた顔をしていた。リボンで束ねられた黒髪を後ろに払い、キアラの喉元に柔く嚙みつく。
「ふぁ……っ」
吸血鬼に牙を立てられる獲物は、こんな心地になるのだろうか。
怖いけれど痛くはなくて、陶然とした感覚が爪先にまで広がっていく。
その間にリシャールは、キアラの纏う寝間着を手際よく脱がしていった。
裾も袖もたっぷりと襞を取ったレースの夜着は、シルエットこそ豪華だが、要所要所で結ばれたリボンを解くだけで前がはらりとはだけてしまう。
新雪の喩えのとおり傷も染みもない胸が、ランプの明かりを受けて茜色に染まった。
「や、恥ずかしい……」
両腕で胸を隠すと、リシャールの唇が三日月のように弧を描いた。
「そんなに怯えられると、ひどいことをしている暴漢のような気になりますが……」
手首を摑まれ、十字架の形にやんわりと引き剥がされる。
「駄目ですよ。あなたはもう私の妻なのだから」
「それはそう、ですけど……あっ……ひゃぁんっ……!」
胸の先端を舌で弾かれた途端、あらぬ声が迸った。
初めての刺激に、キアラはなすすべもなく体を震わせた。
淡い乳輪に埋もれかけていた突起は、リシャールの舌で掘り起こされると、すぐにぷっくりと膨らんだ。春の訪れを待って色めく、可憐な花の蕾のように。
「ああんっ……や、ぁあっ……」
「キアラ様のここは、とても可愛らしい――もっと大きく育ててしまいましょうか」
口内へ引き込まれた乳首に、ぬるぬると舌が絡む。前歯で軽く齧られると、痛みではなく未知の疼きが込み上がってくる。
「んっ、あ……ああ、あ……!」
何をされても気持ちよく、腰が勝手によじれた。
口で可愛がられているのとは逆の胸も、大きな手でゆるゆると揉まれる。指先で乳頭を摘まれたり、きゅっとひねったりされるたびに、肌という肌が熱を帯びた。
「目が潤んできましたね。これだけでいっぱいいっぱいですか? まだほんの序の口ですが」
「っ……ああ、だめ……だめぇ……」
両乳首を弄られるうちに、曰く言い難い感覚が脚の付け根に生じていた。内腿をすり合わせると、リシャールはそこを押し広げて体を割り込ませてくる。
「やっ……」
身を強張らせるキアラに、リシャールは安心させるように言った。
「いきなり事を進めたりはしませんよ。理性も分別もない十代の少年でもあるまいし」
薄く笑ったリシャールが、膨らみの谷間に音を立てて吸いついた。白い肌を食みながら、鬱血の赤い痕をいくつも残していく。
二の腕の内側や脇腹や、臍の周辺にいたるまで。寝台に散った薔薇の花弁が、そのままキアラの皮膚に移ったように。
「あ……や、ぁん……」
彼の唇に這われた場所が、どうしようもなくぞわぞわした。
所有の証を刻まれたようで、執拗に吸い痕を残されることを、どこかで嬉しいと思ってしまう。さらさらした黒髪が肌を滑る感触にすら、初めての官能を煽られる。
そうしてすっかり油断した頃、下腹にキスをするリシャールの手が腿の内側に忍び込んだ。薄い茂みを掻き分けて、長い指がゆるりとあわいを探る。
「あっ……!」
「心配ありません。怖がらないで」
「でも……そこ、なんだか変で……」
「いいんです。正常な反応ですよ」
キアラが動揺したのは、大事な場所に触れられた瞬間、ぐちゅりと湿った音がしたからだ。
「感じてくると、女性はここから蜜を吐く。キアラ様が大人の女性で、私を受け入れる準備が整いつつあるという証です」
まるで何かの講義のように、説明を加えられるのがいたたまれない。ここまでの行為で性的な興奮を覚えたのだと、見透かされたことが恥ずかしい。
リシャールの指が花唇を割って、潤みを湛えた秘口を押さえた。
「わかりますか? この場所に私が入ります」
「リシャール様が……」
「そう。正確には、私のこれが」
リシャールはキアラの手首を摑み、脚衣の上から己の股間に導いた。
「……ええっ!?」
衣服ごしとはいえ、予想外の質量を感じてとっさに手を引いてしまう。
初心な乙女らしい反応に、リシャールがくくっと笑った。
「びっくりしましたか?」
「無理じゃないですか!? そんな、大きい――」
「大きい? キアラ様に言われると、照れてしまいますね」
少しも照れてなどいない様子で言って、リシャールは中指の先を入口に浅く沈めた。
「じっくり馴らせば入るようになりますから」
「……あぅっ……!」
未踏の隘路には、指一本ですらひどくきつかった。
歯を食いしばって耐えていると、汗ばむ額にリシャールがキスを落としてくる。
「力を入れていると、余計につらいですよ。大きく息を吐けますか?」
「ふぁ……はあっ……」
「そうです。大丈夫。これだけ蜜が溢れていれば、すぐに呑み込めてしまうはずです」
リシャールの言うとおりだった。
節の目立つ指が、ぷちゅぷちゅと音を立てて割れ目を行き来する。中のぬかるみ具合を確かめながら、ゆっくりと緩慢に。
「あ、ぅ……く……んんっ……」