頼まれ寵姫のはずですが
~崔国後宮艶戯~
依田ザクロ イラスト/獅童ありす
花屋を営む養父母のもとで育った櫻花は、王太后の庭の管理人の仕事に就く。権力に固執する王太后はひどい癇癪持ちで、次々と辞めさせるため、櫻花にお鉢が回ってきたのだ。手つかずになっている他の庭もいじっていいと言われた櫻花は大喜び。さっそく庭を歩き回っていると、王の庭の管理人らしき青年と知り合う。気さくで優しい彼と親しくなる櫻花だが、彼は「冷酷」と評判の若き新王・蒼嵐だった。王太后の息がかかった娘と結婚したくない彼に、「寵姫のふりをしてくれ」と頼まれる櫻花。仲睦まじい演技をする中で、いつしか淫らな触れ合いが増えていき… 配信日:2022年3月31日
~崔国後宮艶戯~
依田ザクロ イラスト/獅童ありす
花屋を営む養父母のもとで育った櫻花は、王太后の庭の管理人の仕事に就く。権力に固執する王太后はひどい癇癪持ちで、次々と辞めさせるため、櫻花にお鉢が回ってきたのだ。手つかずになっている他の庭もいじっていいと言われた櫻花は大喜び。さっそく庭を歩き回っていると、王の庭の管理人らしき青年と知り合う。気さくで優しい彼と親しくなる櫻花だが、彼は「冷酷」と評判の若き新王・蒼嵐だった。王太后の息がかかった娘と結婚したくない彼に、「寵姫のふりをしてくれ」と頼まれる櫻花。仲睦まじい演技をする中で、いつしか淫らな触れ合いが増えていき… 配信日:2022年3月31日
彼は【桃色後宮艶戯】をめくり、櫻花へ差し出してきた。
「ここからいこう。お前はとにかく文字をなぞればいい。ほかは全部俺に任せてくれ」
「わかりました。よろしくお願いします」
決意して、書物へ視線を落とす。
山括弧でくくられた女性の台詞と思しき箇所を音読した。
『あっはーん、陛下ぁ』
瞬間、蒼嵐の口もとが奇妙に歪む。
おそらく笑いをこらえたのだろう。
自分だって最高に変だったとわかる。調子はずれの声が出たから。
それでも、彼は櫻花の大根役者ぶりを指摘せずにいてくれた。ありがたい。めげずに続ける。
『はぁはぁ、好きぃ! ちゅ、ちゅうーっ』
と、蒼嵐が肩へ手をのせてきた。秀麗な顔が近づいてきて――頬に小さく口づけが落ちる。
「……っ!?」
驚いて目を剥くと、彼がささやく。
「そのまま」
続けて、繰り返し同じ箇所へ口づけてくる。
小さな水音が立ったのを聞いて、はっと気づいた。
字面だけ追っていたが、櫻花がさっき音声にしたのは口づけの擬音語だ。演技がわざとらしくならないよう協力してくれたのだ。
そうよ、最初に言われたとおり、わたしは頑張って台詞を読み続けなきゃ。
あとは彼に任せるよう言われていた。不慣れな自分があれこれ考えるより、そのほうがいい。
意識して書面をじっと見つめる。次の台詞を読まなければ。
『んっ、はあ、ああんっ、ちゅうっ』
合わせて、彼の唇が櫻花を優しく愛撫する。頬へ、額へ、そして唇すれすれの縁へ柔らかな刺激が降ってきた。
『ああっ、だめ、感じちゃうーっ』
慈雨のごとき口づけが顔中を濡らす。彼の唇がふれるたび、身体の奥底で火花が弾けるのと似た不思議な感覚がした。自然と声が震えてしまう。
『ちゅ、ちゅっ、はあんっ』
現実味のなかった棒読みが、徐々に自然と馴染んでくる気がした。ひっきりなしに甘く降り注ぐ口づけは、はじめは羽で撫でるように軽かったが……、そのうちゆったりと深くなってくる。
皮膚に唇を合わせたと思えば、熱く濡れた舌がその中央でひらめいた。頬についた醤油でも舐めるように動かされて、背筋がびくっと反り返る。
つい咎めるまなざしを向けると、端整な顔が間近にあった。部屋のほのかな灯籠に照らされて、黒絹のまつげに艶やかな光の玉がのっている。幻想的な影の落ちた群青色の瞳は妖しいきらめきを宿し、情熱的にこちらを見つめてくる。
「っ」
吸い込まれてしまいそうだ。
高まる心臓の鼓動と共に、目を閉じたい衝動にかられる。しかし、視界をふさいだら本が読めないのだった。
『うああんっ、そこ、むずむずしちゃうぅ』
か細く甲高い声でなんとか台詞をなぞるが、熱い緊張で喉がうまく動かない。生理的な涙がにじんできて、文字がぐちゃぐちゃと浮いて見えた。
「もっとお前を深くまで味わいたい」
耳の近くの皮膚が吸われた。淫らな水音と一緒に、ちくっとした刺激が走る。
「んっ」
悩ましい呼気が鼻を抜けた。台詞ではない自分の声は、やけに甘い。
いつの間にか、隣に座っていたはずの彼に背後から抱えられていた。髪の毛ごしに、うなじへ顔を沈めてくる。あたたかな呼気が深く開いた襟ぐりをくすぐった。
背筋を陶酔が這いあがる。身じろぎをしても逃れられない。彼の胸板へ背中をこすりつけるだけだった。
『ああんっ! 強く吸わないでぇ、わたくし、おかしくなっちゃう』
それはおかしくもなるだろう。ただ台詞を口にしているだけなのに、櫻花はもう半分くらいおかしくなりかけている。
作中の恋人たちはいつまで口づけを続けるつもりなのだろう。信じられないくらい長い。閨での男女というものは、朝までちゅっちゅと戯れあうのが常識だったらどうしよう。そのうち窒息するのではないか。本気で心配になってきた。
しかし、そんな不安は見当違いだったと思い知らされる。
『そんな先っぽ、いじっちゃだめぇ』
会話文を声に出してから、あれと思う。
先っぽ?
ずっと口づけをしているのだと想像していたが、唇に先端などない。
どこをさわられている設定なのか。
自分の身体で尖っているところといえば……指?
しかし、あとに続く台詞がそれだと意味をなさない。
『中まで舌を入れちゃだめぇ』
指の中はありえない。
やはり口なのか。
でも、口の中へ舌を入れる……!?
「っ!!」
どうしようもないほど頭に血が上った。これ以上想像したら心臓がもたない。心を無にして朗読に徹せねば。
目頭へさらに力を込めれば、白目が血走る。
『わたくし、もう、我慢ができませんっ、お願い、早く入れてぇ』
今しがた舌を入れたらしき場面だったはずなのに、次はなにを入れるというのか。今度こそ指か。いや、尖っているのが指で入れるのが指?
なにも考えないようにしようと思っても、邪念が振り払えない。混乱に混乱を重ねて、眩暈がしてきた。
「お前はどこもかしこも綺麗だ。ここも、真っ赤に熟れて、食べ頃になった」
『はあ、はあ、あなたのせいです』
「中、とろとろだ。感じているのだな」
『ああんっ、身体中気持ちいいの、止まらない』
淫猥な空気に中てられて、手が汗ばんできた。書が滑って膝へ落ちる。
とっさに蒼嵐が手を伸ばし、拾ってくれた。背後からの抱擁が強まり、彼の逞しい腕がちょうど櫻花の胸のふくらみを左右から押し挟む体勢となる。
上半身への刺激は、なぜか下腹部にずうんと響いた。
「ひゃぁ……んっ」
甲高い嬌声が漏れてしまう。あまりにも破廉恥に耳へ響いた。とっさに口を押さえると、蒼嵐はそのままの密着した姿勢でささやいてくる。
「かわいい声を我慢するな。もっと気持ちよくさせてやるから」
「ぁ……っ」
胸のふくらみをこねられた感覚がした。遅れて、彼が書物を持ち直して櫻花の目線へ合わせてくれただけとわかる。続きを読みやすくしてくれたのに、乳房を淫らに弄られたと思うだなんて。はしたない。
自らの破廉恥さを意識すればするほど、身体の芯が疼く。
「ぴくぴくしている」
本の中の描写なのか、自分のことなのか境が曖昧になっていく。
『あっ、あっ、当たってる、気持ちいいところぉっ』
「ここが好きなのか?」
多分櫻花の勘違いだが、彼の腕が動いている気がしてならない。
『もっとぐりぐりしてぇ……』
「お前の、すごい濡れて、締めつけてくる」
『あああんっ、いっちゃう、いっちゃうぅ!』
「俺もだ。全部中で受け止めろ」
懊悩が頭を支配する。視界がぼやけてきた瞬間、胸の中央でぷっくりと勃ち上がっていた先端へ鋭利な刺激が走った。
書面が乳首をころりと擦ったらしい。
「あぁ……っ!」
稲妻が身体を貫いたような大きな衝撃があった。
しばし仰向いて、はくはくと唇を震わせる。意識を飛ばしかけた櫻花を、蒼嵐は強く包み込んでくれた。
今の、なに……?
ようやく人心地を取り戻せば、長裙で隠された下肢のあいだに不快感が走る。なんだか、濡れているような……。
眉を八の字に寄せておずおずと振り向けば、蒼嵐は艶やかな目でこちらを見ていた。
「……っ」
まただ。
腹の奥が重く疼く。
その正体がわからず、不安でますます眉間の皺を深くした。
「大丈夫だ。よかったぞ」
そんなの嘘だ。全然駄目だった。途中からわけがわからなくなっていたし、最後は意識が半分飛びかけていた。
ふるふると首を振る。情けなさに泣きたくなってきた。
けれども、蒼嵐は優しく手を伸ばし、頭を撫でてくれた。
「疲れただろう? このまま休んでいい。また明日の朝話そう」
牀から下り、彼はもう一度振り返って櫻花の髪にふれる。
「おやすみ。本当にかわいかった」
「!」
演技の一環のはずなのに、櫻花の心臓は大きく跳ねてしまう。
自分の駄目さ加減に落ち込んでいた心が、じわじわと甘く浸食されていった。
蒼嵐は、なんだかずるい。
どきどきさせて、そわそわさせて、やきもきさせるくせに、あっという間にわたしを喜ばせる。
振り回されてばかりだわ。
櫻花は複雑な気分で彼の背を見送った。
「ここからいこう。お前はとにかく文字をなぞればいい。ほかは全部俺に任せてくれ」
「わかりました。よろしくお願いします」
決意して、書物へ視線を落とす。
山括弧でくくられた女性の台詞と思しき箇所を音読した。
『あっはーん、陛下ぁ』
瞬間、蒼嵐の口もとが奇妙に歪む。
おそらく笑いをこらえたのだろう。
自分だって最高に変だったとわかる。調子はずれの声が出たから。
それでも、彼は櫻花の大根役者ぶりを指摘せずにいてくれた。ありがたい。めげずに続ける。
『はぁはぁ、好きぃ! ちゅ、ちゅうーっ』
と、蒼嵐が肩へ手をのせてきた。秀麗な顔が近づいてきて――頬に小さく口づけが落ちる。
「……っ!?」
驚いて目を剥くと、彼がささやく。
「そのまま」
続けて、繰り返し同じ箇所へ口づけてくる。
小さな水音が立ったのを聞いて、はっと気づいた。
字面だけ追っていたが、櫻花がさっき音声にしたのは口づけの擬音語だ。演技がわざとらしくならないよう協力してくれたのだ。
そうよ、最初に言われたとおり、わたしは頑張って台詞を読み続けなきゃ。
あとは彼に任せるよう言われていた。不慣れな自分があれこれ考えるより、そのほうがいい。
意識して書面をじっと見つめる。次の台詞を読まなければ。
『んっ、はあ、ああんっ、ちゅうっ』
合わせて、彼の唇が櫻花を優しく愛撫する。頬へ、額へ、そして唇すれすれの縁へ柔らかな刺激が降ってきた。
『ああっ、だめ、感じちゃうーっ』
慈雨のごとき口づけが顔中を濡らす。彼の唇がふれるたび、身体の奥底で火花が弾けるのと似た不思議な感覚がした。自然と声が震えてしまう。
『ちゅ、ちゅっ、はあんっ』
現実味のなかった棒読みが、徐々に自然と馴染んでくる気がした。ひっきりなしに甘く降り注ぐ口づけは、はじめは羽で撫でるように軽かったが……、そのうちゆったりと深くなってくる。
皮膚に唇を合わせたと思えば、熱く濡れた舌がその中央でひらめいた。頬についた醤油でも舐めるように動かされて、背筋がびくっと反り返る。
つい咎めるまなざしを向けると、端整な顔が間近にあった。部屋のほのかな灯籠に照らされて、黒絹のまつげに艶やかな光の玉がのっている。幻想的な影の落ちた群青色の瞳は妖しいきらめきを宿し、情熱的にこちらを見つめてくる。
「っ」
吸い込まれてしまいそうだ。
高まる心臓の鼓動と共に、目を閉じたい衝動にかられる。しかし、視界をふさいだら本が読めないのだった。
『うああんっ、そこ、むずむずしちゃうぅ』
か細く甲高い声でなんとか台詞をなぞるが、熱い緊張で喉がうまく動かない。生理的な涙がにじんできて、文字がぐちゃぐちゃと浮いて見えた。
「もっとお前を深くまで味わいたい」
耳の近くの皮膚が吸われた。淫らな水音と一緒に、ちくっとした刺激が走る。
「んっ」
悩ましい呼気が鼻を抜けた。台詞ではない自分の声は、やけに甘い。
いつの間にか、隣に座っていたはずの彼に背後から抱えられていた。髪の毛ごしに、うなじへ顔を沈めてくる。あたたかな呼気が深く開いた襟ぐりをくすぐった。
背筋を陶酔が這いあがる。身じろぎをしても逃れられない。彼の胸板へ背中をこすりつけるだけだった。
『ああんっ! 強く吸わないでぇ、わたくし、おかしくなっちゃう』
それはおかしくもなるだろう。ただ台詞を口にしているだけなのに、櫻花はもう半分くらいおかしくなりかけている。
作中の恋人たちはいつまで口づけを続けるつもりなのだろう。信じられないくらい長い。閨での男女というものは、朝までちゅっちゅと戯れあうのが常識だったらどうしよう。そのうち窒息するのではないか。本気で心配になってきた。
しかし、そんな不安は見当違いだったと思い知らされる。
『そんな先っぽ、いじっちゃだめぇ』
会話文を声に出してから、あれと思う。
先っぽ?
ずっと口づけをしているのだと想像していたが、唇に先端などない。
どこをさわられている設定なのか。
自分の身体で尖っているところといえば……指?
しかし、あとに続く台詞がそれだと意味をなさない。
『中まで舌を入れちゃだめぇ』
指の中はありえない。
やはり口なのか。
でも、口の中へ舌を入れる……!?
「っ!!」
どうしようもないほど頭に血が上った。これ以上想像したら心臓がもたない。心を無にして朗読に徹せねば。
目頭へさらに力を込めれば、白目が血走る。
『わたくし、もう、我慢ができませんっ、お願い、早く入れてぇ』
今しがた舌を入れたらしき場面だったはずなのに、次はなにを入れるというのか。今度こそ指か。いや、尖っているのが指で入れるのが指?
なにも考えないようにしようと思っても、邪念が振り払えない。混乱に混乱を重ねて、眩暈がしてきた。
「お前はどこもかしこも綺麗だ。ここも、真っ赤に熟れて、食べ頃になった」
『はあ、はあ、あなたのせいです』
「中、とろとろだ。感じているのだな」
『ああんっ、身体中気持ちいいの、止まらない』
淫猥な空気に中てられて、手が汗ばんできた。書が滑って膝へ落ちる。
とっさに蒼嵐が手を伸ばし、拾ってくれた。背後からの抱擁が強まり、彼の逞しい腕がちょうど櫻花の胸のふくらみを左右から押し挟む体勢となる。
上半身への刺激は、なぜか下腹部にずうんと響いた。
「ひゃぁ……んっ」
甲高い嬌声が漏れてしまう。あまりにも破廉恥に耳へ響いた。とっさに口を押さえると、蒼嵐はそのままの密着した姿勢でささやいてくる。
「かわいい声を我慢するな。もっと気持ちよくさせてやるから」
「ぁ……っ」
胸のふくらみをこねられた感覚がした。遅れて、彼が書物を持ち直して櫻花の目線へ合わせてくれただけとわかる。続きを読みやすくしてくれたのに、乳房を淫らに弄られたと思うだなんて。はしたない。
自らの破廉恥さを意識すればするほど、身体の芯が疼く。
「ぴくぴくしている」
本の中の描写なのか、自分のことなのか境が曖昧になっていく。
『あっ、あっ、当たってる、気持ちいいところぉっ』
「ここが好きなのか?」
多分櫻花の勘違いだが、彼の腕が動いている気がしてならない。
『もっとぐりぐりしてぇ……』
「お前の、すごい濡れて、締めつけてくる」
『あああんっ、いっちゃう、いっちゃうぅ!』
「俺もだ。全部中で受け止めろ」
懊悩が頭を支配する。視界がぼやけてきた瞬間、胸の中央でぷっくりと勃ち上がっていた先端へ鋭利な刺激が走った。
書面が乳首をころりと擦ったらしい。
「あぁ……っ!」
稲妻が身体を貫いたような大きな衝撃があった。
しばし仰向いて、はくはくと唇を震わせる。意識を飛ばしかけた櫻花を、蒼嵐は強く包み込んでくれた。
今の、なに……?
ようやく人心地を取り戻せば、長裙で隠された下肢のあいだに不快感が走る。なんだか、濡れているような……。
眉を八の字に寄せておずおずと振り向けば、蒼嵐は艶やかな目でこちらを見ていた。
「……っ」
まただ。
腹の奥が重く疼く。
その正体がわからず、不安でますます眉間の皺を深くした。
「大丈夫だ。よかったぞ」
そんなの嘘だ。全然駄目だった。途中からわけがわからなくなっていたし、最後は意識が半分飛びかけていた。
ふるふると首を振る。情けなさに泣きたくなってきた。
けれども、蒼嵐は優しく手を伸ばし、頭を撫でてくれた。
「疲れただろう? このまま休んでいい。また明日の朝話そう」
牀から下り、彼はもう一度振り返って櫻花の髪にふれる。
「おやすみ。本当にかわいかった」
「!」
演技の一環のはずなのに、櫻花の心臓は大きく跳ねてしまう。
自分の駄目さ加減に落ち込んでいた心が、じわじわと甘く浸食されていった。
蒼嵐は、なんだかずるい。
どきどきさせて、そわそわさせて、やきもきさせるくせに、あっという間にわたしを喜ばせる。
振り回されてばかりだわ。
櫻花は複雑な気分で彼の背を見送った。