TOP>文庫一覧>シュガー×シュガー×ハネムーン
シュガー×シュガー×ハネムーン

仁賀奈 イラスト/天野ちぎり
爵位を継いだ叔父に疎まれているミリアムは、処女ではない従妹の身代わりとして、初夜をつとめることに。
従妹に求婚したのは王族のスチュアート。
だが彼は、身代わり花嫁であるミリアムを豪華客船に乗せて
「孕むまで船から降りるつもりはない」と言い出し…!?
発売日:2013年2月5日 


「あなたの処女を奪うのは、口づけだけで達することができるぐらいに、俺の愛撫を教え込んでからだ」
「……っ!?」
 恐ろしい宣言に、ミリアムは驚愕のあまり目を丸くする。
 スチュアートは、そんな彼女を愉しげに見下ろしながら続けた。
「そのあとは、……二人の愛の営みを誰にも邪魔されないように、あなたが俺の子を孕むまでこの船で生活するか?」
 ミリアムは初夜を代行するだけの、身代わりの花嫁だ。孕むまでスチュアートに抱かれ続けるなんて、できるわけがない。
「だ、だめです……っ。それはだめです……」
「なぜだ?」
 タキシードのトラウザーズ越しにグリッと固い感触を押しつけられ、息を飲んだ。それはスチュアートが屹立させた彼の欲望なのだと、遅れて気づく。
「……お、……お願いですから……っ」
 口づけだけで乱れるような卑猥な身体にされてしまったら、ミリアムは元の生活に戻れなくなってしまう。
「わ、私は……、本当のことを……」
 震える声で訴えると、スチュアートは訝しげに片眉をあげた。
「本当のこと? 王族の人間を謀った者は死罪だ。あなたが私に嘘を吐いたというのなら、正直に話せ」
 確かにこの国の法律では、そんな事項があった気がする。ミリアムは思わず息を飲む。
 ミリアムがここで真実を話せば、叔父たち家族もただでは済まなくなってしまう。
「あ、あの……、私……」
「……どうした。話はないのか。それなら、大人しくいい子にしていればいい。あなたが乱れるほどに、たっぷり愛してやる」
 生まれてこの方、見たこともないほど美しい顔をした暴君は、尊大な口調で宣言すると、まだ陽も高い時間だというのに、純白のウェディング・ドレスを乱しながら、ミリアムの身体を貪っていく。
「ここに自分で触れたことはあるのか」
 ミリアムの金色に染められた茂みごと媚肉を撫でながら、スチュアートが尋ねてくる。
「……触れる……?」
 スチュアートに告げられた言葉の意味が解らずに、ミリアムが困惑していると、金色の茂みに覆われた秘裂へと、いきなり指を這わされ始めた。
「そ、そこは……」
 栗色だった下肢の茂みを、金色に染めたのは、叔母と従妹のシルヴィアだ。男性にこんなはしたない場所を触れられたのは、初めてだ。
 もちろん身体を洗うとき以外に、自分で触れることもない。
「身体が疼く夜もあっただろう。自分で慰めたのかと聞いたんだ」
 やっと彼の問いの意味を理解したミリアムは、カアッと頬を赤く染めた。
 自分の指で身体を慰めたことなどない。身体を疼かせるなんて、スチュアートに口づけられるまでは、考えたこともなかったのに。
「……し、知りませんっ」
 虚勢を張ると、いきなりスチュアートの濡れそぼった指が、グッと粘膜を開いて深く押し込まれ、ミリアムは身体を引き攣らせる。
「痛っ……」
 固く蕾んだ膣孔の処女肉が、異物の侵入を拒んだせいだ。悲痛な声を上げると、スチュアートはすぐに指を抜いてくれた。
「ひく……っ」
 怯えた瞳でスチュアートを見つめると、耳朶にチュッと口づけられる。
「怯えるな。無理強いはしない。……やはり男はまだ知らないようだな。自分の指も挿れたことがないのか?」
 スチュアートは長い指先で、ミリアムの秘裂の奥にある後孔を擽ってくる。
「そ、そんなこと……、自分でするわけが……、あ、……や……っ」
 思いもよらない場所に触れられて、ミリアムは腰を引かせる。だが、スチュアートの手からは離れられない。そのまま、彼の指は卑猥な蜜に濡れた秘裂を辿り、膣孔の入り口、肉びら、花芯へと順に辿っていく。
「……ん、んぅ……っ」
 ミリアムは身をすくませながら、触れられる感覚を懸命に堪えた。スチュアートの手が軽く離れて、ほっと息を吐くのもつかの間、媚肉がやわやわといやらしく揉まれ、ふたたび後孔へと指が忍ばされた。
「あ……はぁ……、あふ……」
 そうしてなんども、擽るように秘裂を辿られては、熱を持ち始めた媚肉を揉まれる行為が繰り返されていく。
「……はぁ……、あ……」
 はじめは堪えられたはずの行為が、執拗に繰り返されるたびに、快感が深くなってしまう。
 次第にヒクついた膣孔から、いっそうジワリと蜜が溢れ出してくる。そのうえ、もっと強く触れられたいのだとばかりに、ミリアムは誘うように腰をくねらせ始めていた。
「こうして触れられるのが好きだろう?」
 熱く火照った頬の片方を冷たいリネンに押しつけ、ミリアムはふるふると顔を横に振った。
「俺に嘘を吐くのなら、罰を与えねばならないな」
 王族に嘘を吐けば、死罪だという法を思い出したばかりのミリアムは、震えながら正直に答える。
「……そ、そこに、触れられるのは……、恥ずかしくて、なりません……。もう、どうか……、お許しください……」
 羞恥と熱に瞳が潤む。今すぐ逃げ出したい。でも、できない。
 お願いだから、焦らす手つきで、追い詰めるように嬲らないで、いっそ今すぐ強引にでも抱いて欲しかった。
 そうすれば、すべて終わる。
 出航前の客船を降りて、本当の花嫁と入れ替われば、ミリアムの役目はなくなるのに。