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王女と奴隷
虜の姫は傲慢な舌に溺れる
木ノ咲もか イラスト/真敷ひさめ

キーワード: 西洋

エヴェリーナは孤独だった。勝ち気な性格のせいで父王との仲もうまくいかず、この国では醜いとされる自分の容姿も疎ましくてならない。国同士の争いに敗れ、エヴェリーナは捕虜として敵国の城へ連れていかれてしまう。エヴェリーナを強引に花嫁にすると言い出した王太子ラレンツォには、知られざる過去があるようで――。 発売日:2013年8月3日 


「お前がやけに澄ました顔をしていたから、乱してみたくなったんだ」
 反論しようとした口をふさがれる。ワインの味のする濃厚な口づけにクラクラする。舌で口蓋を撫でられ、不慣れな舌を我が物顔で弄られていると顔の火照りがどんどん加速した。
「んぁ……ふ……っ……、ンンン……くぅ……ふぁ……う……ん……」
 肌を焼くような呼吸が互いの唾液で濡れた唇からもれる。それさえも奪い尽くすかのように、ラレンツォは執拗に舌を絡めてきた。ねっとりと舌を蹂躙される音が耳を犯していく。
だんだん酩酊したようになって、口腔の隅々まで探る尊大な熱や乱れた息遣い、自分の身体を当然のように抱きしめている力強い肉体のことしか考えられなくなってしまう。
「……やめっ……ン……あふ……んん、っ……だ、め……んっ……」
 膝が萎えそうになって怖くなった。こんなキスをされたら抗う力がなくなって他のことまで許してしまいそうで。逃げようとするとますます強く抱きしめられ、首筋を押さえつけられた。角度を変えて奥深くまで舌を差し入れられて、思考までも掻き乱される。
「お前を見るたびに口づけせずにはいられなくなる」
 熱情的な真紅の瞳はエヴェリーナしか映していない。愛しげに唇を啄まれてエヴェリーナはぼんやりしてしまった。危うく身を任せそうになり、とっさに我に返って彼を突き放す。
「……き、気が済んだでしょ。そろそろ大広間に戻らなくちゃ……」
 踵を返そうとした瞬間、腕を引っ張られて背中を壁に押しつけられた。唇をふさがれたまま、前身頃のボタンを外される。コルセットが露出されるまでほとんど時間がかからない。
「っ……だめって……いっ……んンン、く……こんなっ、ところで……」
 大広間から優雅な音楽が流れてくるけれど、エヴェリーナの耳には前で胸を締めつけているコルセットの紐がじわじわと解かれる音のほうがより鮮明に響いた。
「んんっ……ふぁ……う……んっ、あぁ……く……で、殿下……あっ……」
「ラレンツォと呼べ」
 傲然と命じて、ラレンツォは無防備な白い膨らみに口づけした。張りつめた先端にも唇を押し当てられる。エヴェリーナは嬌声を押し殺そうとして口元を手で覆った。
ここは饗宴が催されている大広間のバルコニーなのだ。カーテンも窓も開けられていて、歓談の声音が聞こえてくる。やめてと言おうとするとはしたない喘ぎがもれてしまうから口をつぐんでいるしかない。エヴェリーナは空いている手でラレンツォの肩を押し返そうとした。
 意外にもあっさり彼が引いたので、ほっとしたとき、ドレスをたくし上げられた。
「なっ……なに……っ、やっ……」
 ラレンツォはエヴェリーナの前に跪いて、月明かりに浮かび上がる白い太腿を舐め回すように見た。先程、食卓の下で触れられた場所にも視線が這うのを感じ、鼓動が暴れ出す。慌ててドレスの裾を下げようとしたが、下腹の辺りでまとめて掴まれているから下げられない。
「こんなところで感じてるのか、エヴェリーナ?」
 ラレンツォが艶めかしく口を歪める。本来なら月光になどさらされてはいけないところは、彼の指を歓迎するようにぬるりと潤っていた。
「ダメッ……! ダメよ……ンン……っ、い、いや、なの……あっ、ん……」
 窓の前に置いてあるテーブルの上に左足をのせられて、濡れている部分が見てくれと言わんばかりにあらわになる。ラレンツォは秘裂に指を這わせ、淫唇を左右に開いた。
「いや? よくもそんな嘘をつけたものだ。いやらしく蜜を滴らせているくせに」
 恥毛にふっと息を吹きかけられる。足がピクピクと震えて立っているのが辛い。恥ずかしくて堪らないのに、左足の太腿をがっちりと掴まれて脚を閉じられない。
「ひあ……ぅ、ン……ッ……んんん、くっ……ふぁ……め……ッ」
 あられもなく開いた花弁を舐め上げられ、エヴェリーナは口元を覆う手に力をこめた。情欲に滾る舌と息遣いが花肉をくすぐるたびに内腿が甘く痺れる。舐められているところが快感を訴えてとろとろと粘液を滴らせるのを感じ、羞恥がせり上がって全身が燃え上がった。
 ふいに楽団の演奏が止む。エヴェリーナは心臓を握り潰されたようにどきりとした。談笑する声が小さくなる。すでに速くなっていた心音は壊れんばかりに鳴っていたが、淫らな谷間を抉る舌は動きを止めず、下から上に裂け目をなぞり、円を描くように繊細な蜜芯を舐めた。
「んんぅっ……あうぅ……はぁん……もっ、もう……ひっ、や……やめっ、て……」
 音楽が再び流れ始めたことに安堵する余裕もない。舌の窪みで感じやすい肉粒を挟むようにして舐められていると、媚唇が疼いてヒクヒクした。いずれ結婚する相手とはいえ、人が大勢いる大広間のすぐそばで男に秘処を舐められているという状況が、羞恥心を煽った。
「くっ、ンンン……ぁ……ふぁ……めっ……お、ねがい……だから……あ、んンン」
「お願いだから何だ? 舌よりも太いものを挿れて欲しくなったか?」
「そっ、そうじゃ、な……はぁっ、あっ、あうぅ……んく……ぁ……」
 懸命に口を押さえていても、敏感な花芽を舌と唇で擦られると鋭い快感に苛まれてすすり泣くように喘いでしまう。下肢が蕩けていき、腰が溶けそうになった。
「欲しいと言え。素直になれば、このまま部屋に連れていって一晩中よがらせてやる」
「……ん、いやぁっ……だっ、だめよ……っ、ン……ふ、結婚、するまでは……」
エヴェリーナはふるふると首を振った。空いている手で必死にラレンツォの肩を押す。