百花恋情
禁断の後宮で乱されて
ハルノヤヨイ イラスト/田中 琳
父亡き後、継母と異母姉から使用人同然の扱いを受けていた紅花は、ある日、皇太子の花嫁探しで王宮へ連れていかれる。そこで会った皇太子はなんと初恋の人。思いがけぬ幸運に喜ぶ紅花だが、王宮にはもうひとり彼にそっくりな男がいて…? 発売日:2014年6月3日
禁断の後宮で乱されて
ハルノヤヨイ イラスト/田中 琳
父亡き後、継母と異母姉から使用人同然の扱いを受けていた紅花は、ある日、皇太子の花嫁探しで王宮へ連れていかれる。そこで会った皇太子はなんと初恋の人。思いがけぬ幸運に喜ぶ紅花だが、王宮にはもうひとり彼にそっくりな男がいて…? 発売日:2014年6月3日
「今から、お前を奪う――」
青虎の声は、愛する男と同じような艶やかな低音だ。だが、その口調は冷酷で無機質で、ぞくりとするほど残酷さが漂う。
「私は、皇太子白龍様の許婚です!」
紅花は、薄い絹の夜着の合わせ目を両手できつく押さえ、広い寝台をじりじりと尻で後ずさる。青虎が、ふっと鼻で笑う。
「だからだ。白龍の愛するものは、すべて俺が奪ってやる」
凍てつくような蒼い瞳に、妖しく情欲の炎が燃えている。
紅花の背筋が恐怖でぶるっと震えた。
寝台の隅に追いつめられた紅花に、男の長く筋肉質な腕が伸ばされる。薄衣の裾を掴まれ、紅花は小さな悲鳴を上げる。
「だ――め……!」
しかし青虎のしなやかな指先は、紅花の夜着をまるで薄紙のようにやすやすと引き裂いてしまう。ぴりりっと絹の裂ける耳障りな音がし、紅花の肩先から夜着がはらりと垂れ下がり、ふるんとまろやかな乳房が露になる。
「きゃ……っ」
ほとんど消えかけた枕辺の行灯の光の中に、眼にも鮮やかな真っ白く初々しい双乳が浮き上がる。思わず両手で胸もとをおおい隠そうとするより早く、青虎の両手が紅花の細い手首をがっちり握り、左右に大きく開いてしまう。
「いやぁ――だめっ!」
紅花は首をふるふると振って、恥ずかしさに涙声で訴える。首を振るたびに、大振りの乳房が左右に細かく震え、恐怖でつんと尖った小さな乳首が紅く色づく。
「――美しいな。お前はなんと美しい」
青虎がそっと感嘆の溜め息を漏らす。しかし、恐怖と羞恥で頭が混乱しきった紅花には、その声が届かない。
「いや、見ないで……どうか、もう……」
身を捩って男の腕から逃れようとすると、ふいに我に返ったように青虎が、力ずくで紅花を敷布の上に押し倒した。
「ああっ……」
悲鳴を上げて身を起こそうとすれば、それより早く青虎は自分の夜着の腰帯を外し、紅花の両手首を括って、螺鈿を施した寝台の柱にぎりぎりと縛り付けてしまう。
「うぅっ!」
紅花は両腕を高々と括られて、激痛と恐怖に呻いた。青虎はそれにかまうことなく、紅花の身体にまとわりついた夜着をすべて剥ぎ取ってしまう。
「やぁ、あっ」
一糸まとわぬ全裸に剥かれた紅花は、恥辱に涙ぐみながら身悶えた。
「これは――月の女神も、これほど完璧な美を持ってはいないだろう」
青虎の鋭い視線が、紅花の全身に痛いほど突き刺さる。全身が羞恥にかあっと上気し、染み一つない白い肌がほんのり桃色の染め上がる。
剥き卵のようにつるりとした白い肌、黒目がちの大きな瞳、細い鼻梁、形の良い紅唇。初々しい美貌に、腰まである豊かな黒髪。華奢なうなじ、なだらかな肩、そしてほっそりした肢体に不釣り合いなほどにたわわな双乳。きゅっとくびれた細腰、すんなりした下肢。どんな男でも魅了される、極上の肉体。
そして、真っ白い下腹部の深奥は、秘所が透けるほどに薄い若草で覆われている。
紅花は、青虎が秘所を凝視しているのを感じ、太腿をぎゅっと閉じ合わせ、少しでも見られまいとした。
「お願いです……どうか、許して……!」
涙に潤んだ黒い瞳で青虎をひたと見つめるが、その怯える表情がなんとも艶かしく、かえって男の欲情を煽っていることに、初心な紅花は気がつかない。
「あどけない顏に似合わず、ここはたわわだな」
青虎の両手が伸びて、震える双乳をわしづかみにした。
「あ、い、痛い……やぁ」
握りつぶされるかと思うほどの力で乳房を揉みしだかれ、紅花は身を仰け反らせて痛みを訴えた。初雪のように白い乳丘が、みるみる紅く染まっていく。
「この大きさは、白龍にこってり揉まれたためか?」
青虎が乳房を捏ねながら、揶揄するように言う。
「そ、んな……白龍様は、そんなこと……っ」
紅花は首を振りながら、我知らず頬が上気してしまう。
皇太子白龍とは、まだ口づけと触戯のみの関係だ。
『愛しいあなたの純潔は、神の前で婚姻の契りを交わすまで決して汚すまい』
白龍は紅花を抱きしめながら、優しくそう言ってくれたのだ。
皇太子に愛され大事にされている――あの時の紅花は、あまりの幸せに夢見心地だった。
白龍のことを思って恥じらう紅花の態度を察したか、ふいに青虎は乳房をもぎ取らんばかりの力でぎりっとつかみ上げた。
「ひぁっ、痛っ」
痛みで涙がどっと溢れる。
「では、俺がお前になにもかも教えてやる。白龍には出来なかった行為全てを」
青虎が自分の夜着をはだけて、のしかかってきた。細身だが筋肉質の引き締まった男の裸体が露になる。
「ひっ、やぁっ!」
頬に青虎の熱い吐息を吹きかけられ、熱い唇が押し付けられる。紅花は首をひねって、その唇から顏を背けようとする。
「く、口づけは、いや、お願い……!」
初めての口づけは白龍からのものだった。だからは唇だけはせめて守りたかった。
「駒鳥のようにうるさく囀るな、黙れ」
青虎の唇が強引に紅花の唇を塞いだ。
「んっ……んぅっ」
息が止まるかと思うほど強く吸い上げられ、紅花の呻き声も吐息も全て呑み込まれてしまう。
「ふ……んんっ……んぅん」
青虎の濡れた舌が、乱暴に紅花の唇をこじ開ける。
「んぅうっ」
熱い男の舌は、迷うこと無く紅花の震える舌を絡めとり、きつく締めつける。
「ふぁ……んんぁ、んんっ……っ」
魂までも持っていかれそうなほど激しい口づけに、紅花はほとんど呼吸が止まってしまう。
(あ……あ、いやぁ、こんなの――)
白龍の口づけは、しっとりと唇を押し包み丹念に優しく紅花の歯列や口腔をまさぐり、甘く蕩けるような極上の味わいだった。まるで自分の全身が、氷菓子のようにじわじわと溶けて、いつしか濃厚な蜜のようにとろりとなってしまう、天界の愉悦。
しかし、青虎の口づけは正反対だった。
嵐のように唇も舌も貪り尽くし、心をも丸ごと呑み込んでしまうような荒ぶる口づけ。
「や……ふぅ、う、むぅ……」
紅花は身を捩って必死で顏を背けようとしたが、青虎の大きな手が黒髪の中に潜り込み、小さな頭をがっちりと押さえた。くちゅくちゅと音を立てて舌を擦られ、喉の奥まで男の舌が押し入り、溢れる唾液を嚥下させられてしまう。
「んんぅ……んっ、んん……っ」
恐怖と嫌悪とそして、なぜか背筋からじんと切ない痺れが駆け上り、紅花の頭は真っ白になっていく。身体中の力が青虎に吸い上げられたように、ぐったりと身動きができなくなる。
「は……はぁっ、はぁ……っ」
青虎が紅花の口腔を堪能し、ようよう唾液の銀の糸を引きながら唇を離した頃には、紅花は荒い息を継ぎながら、虚ろな眼で男を見上げることしかできなかった。
青虎の声は、愛する男と同じような艶やかな低音だ。だが、その口調は冷酷で無機質で、ぞくりとするほど残酷さが漂う。
「私は、皇太子白龍様の許婚です!」
紅花は、薄い絹の夜着の合わせ目を両手できつく押さえ、広い寝台をじりじりと尻で後ずさる。青虎が、ふっと鼻で笑う。
「だからだ。白龍の愛するものは、すべて俺が奪ってやる」
凍てつくような蒼い瞳に、妖しく情欲の炎が燃えている。
紅花の背筋が恐怖でぶるっと震えた。
寝台の隅に追いつめられた紅花に、男の長く筋肉質な腕が伸ばされる。薄衣の裾を掴まれ、紅花は小さな悲鳴を上げる。
「だ――め……!」
しかし青虎のしなやかな指先は、紅花の夜着をまるで薄紙のようにやすやすと引き裂いてしまう。ぴりりっと絹の裂ける耳障りな音がし、紅花の肩先から夜着がはらりと垂れ下がり、ふるんとまろやかな乳房が露になる。
「きゃ……っ」
ほとんど消えかけた枕辺の行灯の光の中に、眼にも鮮やかな真っ白く初々しい双乳が浮き上がる。思わず両手で胸もとをおおい隠そうとするより早く、青虎の両手が紅花の細い手首をがっちり握り、左右に大きく開いてしまう。
「いやぁ――だめっ!」
紅花は首をふるふると振って、恥ずかしさに涙声で訴える。首を振るたびに、大振りの乳房が左右に細かく震え、恐怖でつんと尖った小さな乳首が紅く色づく。
「――美しいな。お前はなんと美しい」
青虎がそっと感嘆の溜め息を漏らす。しかし、恐怖と羞恥で頭が混乱しきった紅花には、その声が届かない。
「いや、見ないで……どうか、もう……」
身を捩って男の腕から逃れようとすると、ふいに我に返ったように青虎が、力ずくで紅花を敷布の上に押し倒した。
「ああっ……」
悲鳴を上げて身を起こそうとすれば、それより早く青虎は自分の夜着の腰帯を外し、紅花の両手首を括って、螺鈿を施した寝台の柱にぎりぎりと縛り付けてしまう。
「うぅっ!」
紅花は両腕を高々と括られて、激痛と恐怖に呻いた。青虎はそれにかまうことなく、紅花の身体にまとわりついた夜着をすべて剥ぎ取ってしまう。
「やぁ、あっ」
一糸まとわぬ全裸に剥かれた紅花は、恥辱に涙ぐみながら身悶えた。
「これは――月の女神も、これほど完璧な美を持ってはいないだろう」
青虎の鋭い視線が、紅花の全身に痛いほど突き刺さる。全身が羞恥にかあっと上気し、染み一つない白い肌がほんのり桃色の染め上がる。
剥き卵のようにつるりとした白い肌、黒目がちの大きな瞳、細い鼻梁、形の良い紅唇。初々しい美貌に、腰まである豊かな黒髪。華奢なうなじ、なだらかな肩、そしてほっそりした肢体に不釣り合いなほどにたわわな双乳。きゅっとくびれた細腰、すんなりした下肢。どんな男でも魅了される、極上の肉体。
そして、真っ白い下腹部の深奥は、秘所が透けるほどに薄い若草で覆われている。
紅花は、青虎が秘所を凝視しているのを感じ、太腿をぎゅっと閉じ合わせ、少しでも見られまいとした。
「お願いです……どうか、許して……!」
涙に潤んだ黒い瞳で青虎をひたと見つめるが、その怯える表情がなんとも艶かしく、かえって男の欲情を煽っていることに、初心な紅花は気がつかない。
「あどけない顏に似合わず、ここはたわわだな」
青虎の両手が伸びて、震える双乳をわしづかみにした。
「あ、い、痛い……やぁ」
握りつぶされるかと思うほどの力で乳房を揉みしだかれ、紅花は身を仰け反らせて痛みを訴えた。初雪のように白い乳丘が、みるみる紅く染まっていく。
「この大きさは、白龍にこってり揉まれたためか?」
青虎が乳房を捏ねながら、揶揄するように言う。
「そ、んな……白龍様は、そんなこと……っ」
紅花は首を振りながら、我知らず頬が上気してしまう。
皇太子白龍とは、まだ口づけと触戯のみの関係だ。
『愛しいあなたの純潔は、神の前で婚姻の契りを交わすまで決して汚すまい』
白龍は紅花を抱きしめながら、優しくそう言ってくれたのだ。
皇太子に愛され大事にされている――あの時の紅花は、あまりの幸せに夢見心地だった。
白龍のことを思って恥じらう紅花の態度を察したか、ふいに青虎は乳房をもぎ取らんばかりの力でぎりっとつかみ上げた。
「ひぁっ、痛っ」
痛みで涙がどっと溢れる。
「では、俺がお前になにもかも教えてやる。白龍には出来なかった行為全てを」
青虎が自分の夜着をはだけて、のしかかってきた。細身だが筋肉質の引き締まった男の裸体が露になる。
「ひっ、やぁっ!」
頬に青虎の熱い吐息を吹きかけられ、熱い唇が押し付けられる。紅花は首をひねって、その唇から顏を背けようとする。
「く、口づけは、いや、お願い……!」
初めての口づけは白龍からのものだった。だからは唇だけはせめて守りたかった。
「駒鳥のようにうるさく囀るな、黙れ」
青虎の唇が強引に紅花の唇を塞いだ。
「んっ……んぅっ」
息が止まるかと思うほど強く吸い上げられ、紅花の呻き声も吐息も全て呑み込まれてしまう。
「ふ……んんっ……んぅん」
青虎の濡れた舌が、乱暴に紅花の唇をこじ開ける。
「んぅうっ」
熱い男の舌は、迷うこと無く紅花の震える舌を絡めとり、きつく締めつける。
「ふぁ……んんぁ、んんっ……っ」
魂までも持っていかれそうなほど激しい口づけに、紅花はほとんど呼吸が止まってしまう。
(あ……あ、いやぁ、こんなの――)
白龍の口づけは、しっとりと唇を押し包み丹念に優しく紅花の歯列や口腔をまさぐり、甘く蕩けるような極上の味わいだった。まるで自分の全身が、氷菓子のようにじわじわと溶けて、いつしか濃厚な蜜のようにとろりとなってしまう、天界の愉悦。
しかし、青虎の口づけは正反対だった。
嵐のように唇も舌も貪り尽くし、心をも丸ごと呑み込んでしまうような荒ぶる口づけ。
「や……ふぅ、う、むぅ……」
紅花は身を捩って必死で顏を背けようとしたが、青虎の大きな手が黒髪の中に潜り込み、小さな頭をがっちりと押さえた。くちゅくちゅと音を立てて舌を擦られ、喉の奥まで男の舌が押し入り、溢れる唾液を嚥下させられてしまう。
「んんぅ……んっ、んん……っ」
恐怖と嫌悪とそして、なぜか背筋からじんと切ない痺れが駆け上り、紅花の頭は真っ白になっていく。身体中の力が青虎に吸い上げられたように、ぐったりと身動きができなくなる。
「は……はぁっ、はぁ……っ」
青虎が紅花の口腔を堪能し、ようよう唾液の銀の糸を引きながら唇を離した頃には、紅花は荒い息を継ぎながら、虚ろな眼で男を見上げることしかできなかった。