聖処女の婚淫
織田ちさき イラスト/キツヲ
名家の生まれだが巫女となり、神に祈りを捧げて生きるキラルリア。ある日、若き皇帝エスティオスから「神託で妃に選ばれた」と告げられ、なかば強引に妻にされてしまう。でも、肌に触れてくる彼は優しくて…? 発売日:2015年1月30日
織田ちさき イラスト/キツヲ
名家の生まれだが巫女となり、神に祈りを捧げて生きるキラルリア。ある日、若き皇帝エスティオスから「神託で妃に選ばれた」と告げられ、なかば強引に妻にされてしまう。でも、肌に触れてくる彼は優しくて…? 発売日:2015年1月30日
「目を閉じていろ」
穏やかな口調で促され、恐怖はまだ残っていたけれどそっと睫を伏せる。
破瓜で流した血のついた絹地を要求するだけでなく、初夜を迎えた二人が契り合っているかどうかを隣室で確かめるのは、まさに大国の皇室ならではのことだろう。
けれど、神から与えられた運命をキラルリアがまっとうするには、どうあってもこの場を切り抜ける必要がある。
気遣いをみせたエスティオスならば、きっと上手くやってくれるはず。目を閉じているあいだにすべてが終わる。キラルリアはそう信じることにしたのだ。
「ひゃっ……」
胸の先端に冷たさを感じ、思わず目を開けてしまう。
なんてこと―――。
いつの間にか衣がはだけ、乳房が露わになっている。それだけではない、エスティオスの手が乳房を包んでいるのだ。
「無理です……」
寝返りを打って彼の手から逃れ、膝を胸に引き寄せて躯を小さく丸める。
「なんと往生際が悪い」
肩ごしに聞こえてきた声に怒りは感じられない。それどころか、どこか楽しげだった。
「きゃっ」
エスティオスに衣の裾を勢いよく捲り上げられ、尻に空気が触れた驚きに息が止まりそうになる。
「そんな声では隣室の奴らは満足しないぞ」
「陛下、お願いです……」
キラルリアは懇願しながら、後ろに回した手で捲り上げられた衣の裾を引っ張った。
どんなに覚悟を決めても、すぐに心が揺らいでしまう。
エスティオスがなにをしようとしているのかがわからないから、じっとしていられない。
どうして神はこんな試練を自分に与えたのだろうか。日々、祈りを捧げ、身も心も神と共にあったというのに。
「そなたの願いはなんでも叶えてやる。ただし、この儀式が終わってからだ」
「いやぁ……」
隣に寝そべった彼が、背中越しに抱き留めてくる。
さらには片腿に脚を絡められ、身動きが取れなくなった。
「そなたは抱き心地がいいな」
熱い吐息が耳をかすめていく。
「あっ……」
顎を捕らえてきた手で、半ば無理やり振り向かされる。
「まず、くちづけから教えてやらなければな」
すぐそこにある端整な顔が綻び、薄く開いた形のいい唇が迫ってきた。
「んっ」
窮屈な体勢で唇を奪われ、キラルリアの顎が自然に上がる。
背後から抱き留められているだけでなく、顎を掴まれているから逃れようがない。
それをいいことに、エスティオスが柔らかな唇を存分に味わっていく。
繰り返し唇を舐め、啄み、たまに歯を立ててくる。
「んふっ」
勝手に甘ったるい吐息が漏れ、剥き出しの肩が震えた。
これがくちづけ―――。
唇を触れ合わせていると、なんだか不思議な気分になっていった。
汚らわしいとも思わない。嫌悪感もない。
すべての意識が唇に向かっているせいか、羞恥や恐怖がどこかに消えてしまっていた。
「ふ……ん」
ことさら強く唇を重ねてきた彼が、歯に沿って舌を動かしてくる。
くすぐったくて腕の中で身を捩ると、今度は口の中にそっと舌を入れてきた。
それはくちづけを知らないキラルリアにとって衝撃的な出来事だった。他人の舌が口の中にあるなんて信じられない。
今にも互いの舌が触れ合いそうになり慌てる。必死に舌を引っ込めて逃げるのだけれど、彼は執拗に追い回してきた。
エスティオスは自由気ままに舌を動かしてくる。まるで、ここは己の陣地だと言わんばかりだった。
「ん―――っ」
巧みに搦め捕られた舌をいきなりきつく吸い上げられ、胸の奥がズクッと疼いた。
続けて音が鳴るくらい強く吸われ、全身を言葉にし難い痺れが駆け抜けていく。
繰り返し舌を吸われると、どこで息継ぎをしていいのかわからない。息が苦しくなり、頭が朦朧としてきた。
「はふっ」
意識が飛ぶ寸前で唇が遠ざかり、キラルリアは慌てて息継ぎをする。
「少しは強ばりが解けたようだな」
満足そうな声を漏らしたエスティオスが、肩口に顔を埋めてきた。
柔らかな髪で肌をなぞられ、こそばゆさに肩を窄める。
逞しい胸に背を預けているのも、衣越しに伝わってくる温もりも心地いい。ずっと浸っていたいと思うくらい、安心感に包まれていた。
「そなたの大事な場所に触れるぞ」
耳に吹き込まれた言葉の意味を考える間もなく、エスティオスの大きな手がまだ薄い縮れ毛を覆ってくる。
「ひっ」
指先が茂みのすぐ下に触れた途端、これまでに感じたことがない強い痺れが走り抜けた。
ただの痺れではなく、甘みを含んでいる。痺れが広がっていくのに伴い、じんわりと躯の熱が高まっていく。
そこは小用を足すための場所であり、自ら触れたこともない。ましてや、絶対に人目に晒すことがない、いわば女性にとっての聖域だ。
それなのに、そこに触れられた衝撃よりも、躯に感じた甘い痺れに意識が囚われてしまう。
「やっ……」
縮れ毛の下にある指先をくるくると回され、先ほど以上の強い痺れが湧き上がってきた。
彼が触れているそこがむず痒くなってくる。熱まで帯びてきているようだ。
「ああぁ……あっ……やぁ……」
何度も同じ場所を刺激され、絶え間なく炸裂する甘酸っぱい痺れに、彼の胸に預けている細い躯が小刻みに震える。
「ここに小さな蕾が隠れていたのを、そなたは知らなかっただろう? こうして擦ってやると、蕾が膨らんでくるのを感じないか」
耳に唇を押しつけて囁いてきた彼が、縮れ毛の下をゆっくりと擦り出す。
そんなところに蕾があるというの―――。
自分が思っていたのとは異なる場所なのだろうか。彼の言葉に、動く指先に、自然と意識が触れられている場所に向かう。
「ふ……んんっ……あっ、あっ……」
穏やかな口調で促され、恐怖はまだ残っていたけれどそっと睫を伏せる。
破瓜で流した血のついた絹地を要求するだけでなく、初夜を迎えた二人が契り合っているかどうかを隣室で確かめるのは、まさに大国の皇室ならではのことだろう。
けれど、神から与えられた運命をキラルリアがまっとうするには、どうあってもこの場を切り抜ける必要がある。
気遣いをみせたエスティオスならば、きっと上手くやってくれるはず。目を閉じているあいだにすべてが終わる。キラルリアはそう信じることにしたのだ。
「ひゃっ……」
胸の先端に冷たさを感じ、思わず目を開けてしまう。
なんてこと―――。
いつの間にか衣がはだけ、乳房が露わになっている。それだけではない、エスティオスの手が乳房を包んでいるのだ。
「無理です……」
寝返りを打って彼の手から逃れ、膝を胸に引き寄せて躯を小さく丸める。
「なんと往生際が悪い」
肩ごしに聞こえてきた声に怒りは感じられない。それどころか、どこか楽しげだった。
「きゃっ」
エスティオスに衣の裾を勢いよく捲り上げられ、尻に空気が触れた驚きに息が止まりそうになる。
「そんな声では隣室の奴らは満足しないぞ」
「陛下、お願いです……」
キラルリアは懇願しながら、後ろに回した手で捲り上げられた衣の裾を引っ張った。
どんなに覚悟を決めても、すぐに心が揺らいでしまう。
エスティオスがなにをしようとしているのかがわからないから、じっとしていられない。
どうして神はこんな試練を自分に与えたのだろうか。日々、祈りを捧げ、身も心も神と共にあったというのに。
「そなたの願いはなんでも叶えてやる。ただし、この儀式が終わってからだ」
「いやぁ……」
隣に寝そべった彼が、背中越しに抱き留めてくる。
さらには片腿に脚を絡められ、身動きが取れなくなった。
「そなたは抱き心地がいいな」
熱い吐息が耳をかすめていく。
「あっ……」
顎を捕らえてきた手で、半ば無理やり振り向かされる。
「まず、くちづけから教えてやらなければな」
すぐそこにある端整な顔が綻び、薄く開いた形のいい唇が迫ってきた。
「んっ」
窮屈な体勢で唇を奪われ、キラルリアの顎が自然に上がる。
背後から抱き留められているだけでなく、顎を掴まれているから逃れようがない。
それをいいことに、エスティオスが柔らかな唇を存分に味わっていく。
繰り返し唇を舐め、啄み、たまに歯を立ててくる。
「んふっ」
勝手に甘ったるい吐息が漏れ、剥き出しの肩が震えた。
これがくちづけ―――。
唇を触れ合わせていると、なんだか不思議な気分になっていった。
汚らわしいとも思わない。嫌悪感もない。
すべての意識が唇に向かっているせいか、羞恥や恐怖がどこかに消えてしまっていた。
「ふ……ん」
ことさら強く唇を重ねてきた彼が、歯に沿って舌を動かしてくる。
くすぐったくて腕の中で身を捩ると、今度は口の中にそっと舌を入れてきた。
それはくちづけを知らないキラルリアにとって衝撃的な出来事だった。他人の舌が口の中にあるなんて信じられない。
今にも互いの舌が触れ合いそうになり慌てる。必死に舌を引っ込めて逃げるのだけれど、彼は執拗に追い回してきた。
エスティオスは自由気ままに舌を動かしてくる。まるで、ここは己の陣地だと言わんばかりだった。
「ん―――っ」
巧みに搦め捕られた舌をいきなりきつく吸い上げられ、胸の奥がズクッと疼いた。
続けて音が鳴るくらい強く吸われ、全身を言葉にし難い痺れが駆け抜けていく。
繰り返し舌を吸われると、どこで息継ぎをしていいのかわからない。息が苦しくなり、頭が朦朧としてきた。
「はふっ」
意識が飛ぶ寸前で唇が遠ざかり、キラルリアは慌てて息継ぎをする。
「少しは強ばりが解けたようだな」
満足そうな声を漏らしたエスティオスが、肩口に顔を埋めてきた。
柔らかな髪で肌をなぞられ、こそばゆさに肩を窄める。
逞しい胸に背を預けているのも、衣越しに伝わってくる温もりも心地いい。ずっと浸っていたいと思うくらい、安心感に包まれていた。
「そなたの大事な場所に触れるぞ」
耳に吹き込まれた言葉の意味を考える間もなく、エスティオスの大きな手がまだ薄い縮れ毛を覆ってくる。
「ひっ」
指先が茂みのすぐ下に触れた途端、これまでに感じたことがない強い痺れが走り抜けた。
ただの痺れではなく、甘みを含んでいる。痺れが広がっていくのに伴い、じんわりと躯の熱が高まっていく。
そこは小用を足すための場所であり、自ら触れたこともない。ましてや、絶対に人目に晒すことがない、いわば女性にとっての聖域だ。
それなのに、そこに触れられた衝撃よりも、躯に感じた甘い痺れに意識が囚われてしまう。
「やっ……」
縮れ毛の下にある指先をくるくると回され、先ほど以上の強い痺れが湧き上がってきた。
彼が触れているそこがむず痒くなってくる。熱まで帯びてきているようだ。
「ああぁ……あっ……やぁ……」
何度も同じ場所を刺激され、絶え間なく炸裂する甘酸っぱい痺れに、彼の胸に預けている細い躯が小刻みに震える。
「ここに小さな蕾が隠れていたのを、そなたは知らなかっただろう? こうして擦ってやると、蕾が膨らんでくるのを感じないか」
耳に唇を押しつけて囁いてきた彼が、縮れ毛の下をゆっくりと擦り出す。
そんなところに蕾があるというの―――。
自分が思っていたのとは異なる場所なのだろうか。彼の言葉に、動く指先に、自然と意識が触れられている場所に向かう。
「ふ……んんっ……あっ、あっ……」