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旦那さまは年下狼!?
恥じらいノーブル・ウェディング
葉月エリカ イラスト/芦原モカ
継母の策略でメイドにされてしまった伯爵令嬢レシータ。王都から戻った幼なじみの侯爵令息ルーファスは、レシータを攫うようにして結婚を宣言。自分が年上であることを気にするレシータだったが!? 発売日:2015年5月1日 


「――仕方ないな」
 ルーファスが溜め息をついたので、レシータは希望を込めて顔を上げた。
 てっきり許してくれたのかと思ったのだが、長椅子から立ちあがったルーファスは、サイドテーブルの抽斗からガラスの小瓶を取り出して蓋を開けた。
 中に入っているのはとろりとした赤褐色の液体だった。ありとあらゆる果実を煮詰めたような、芳醇で甘い香りが漂う。
「それは……?」
「前に、レシータが俺に飲ませた媚薬だよ」
 さらりと言ってのけられ、レシータは嫌な予感に息を呑んだ。
「あのあとジルに言って、原液を分けてもらった。これの力を借りれば、レシータもきっと大胆な気持ちになれるよ。俺の場合はジュースに混ぜてだったけど、直接飲むとどうなるのかな――」
「や……やめてっ……」
 小瓶を口元に近づけられて、レシータは後ずさった。
 媚薬入りのジュースを飲んだルーファスには、結局、一晩に七回も挑まれてしまったのだ。そんなものの原液を摂取したら、一体どんなことになるのか――。
「口を開けて、レシータ」
「っ……」
 唇を固く引き結び、ひたすら首を横に振ると、ルーファスは思いがけないことをした。
 小瓶の中身を一息に含み、濡れた唇でレシータに深く口づけたのだ。
「んんっ……!」
 必死に唇を食いしばってみても、巧みな舌先でくすぐられると、抗えず力が抜けてしまう。
 わずかな隙間が開いたら、決壊は見えたようなものだった。
すかさずねじ込まれた舌を伝って、媚薬が流れ込んでくる。舌を刺すような甘酸っぱい味が口腔を満たし、喉の奥に落ちていった。
「ふ……ぁあ……」
 どくん――と、心臓が恐ろしいほど大きな音を立てた。
 それを皮切りにして、体の中心に熾火が灯ったような感覚が生じる。それは血液を温め、肌を火照らせ、理性を炙っていく危険な熱で――。
「い、やぁ……何、これ……っ」
 皮膚の下を無数の小さな生き物が這っているように、全身がむずむずする。
「効いてきた? 目がとろんとして潤んでる――」
「ひぅっ……!」
 ルーファスに裸の腰を撫でられただけで、悪寒と紙一重の喜悦が走った。
 レシータが淫熱のただ中にいる分、ルーファスの指は水のように冷ややかで、その落差に肌が戦慄く。もっと触れてほしいと、浅ましいほどに願ってしまう。
「んっ……熱いの……ふあぁ……」
「いやらしい気持ちでいっぱいになって、たまらないだろう? 俺も同じように苦しかったって、少しはわかった?」
「わかった、から……助けて、お願い……っ」
「自分でなんとかできる道具を持ってるんだから、まずはそれを使ってみなよ。こうやって脚を開いて――」
 ルーファスの手で膝を立てられ、男を迎え入れるときのように大きく左右に開かれた。
 けれどルーファスがしてくれたのはそこまでで、あとはすっと身を引いてしまう。
 再び長椅子に腰掛け、真っ赤に染まるレシータの顔と、何もしていないうちから勝手にひくつく蜜口とを、交互に眺めているだけだ。
「うぅっ……」
 楽しそうなルーファスの表情がひどく残酷だと思うのに、高まる欲求は我慢できなかった。
 痛いほどに疼く蜜洞を弄ってほしくて、ルーファスの硬いもので貫かれたくて――それが叶わないのなら、自分でどうにかするしかない。
 握らされたままの張り型を、レシータは思い切って淫らな入り口に押し当てた。溢れた愛液に、男性の亀頭そっくりの先端が滑り、花芽にぐりっと擦れてしまう。
「ぁあああっ――!」
 廊下にまで響くような嬌声が迸った。
 過敏になりすぎた陰核は、外からの刺激を受けただけで軽く達してしまったのだ。
「もう達ったの? 俺より早かったね……」
 ルーファスの声音は、呆れとも感嘆ともつかないものだった。
「だけど、一回くらいじゃ到底治まらないのが、その媚薬の怖いところだよ。もっと強い快感が欲しくなったんじゃないか?」
 その言葉の通りだった。
 いつもは絶頂を迎えるたびにぐったりして何もしたくなくなるのに、少しも欲求が薄れない。じんじんと痺れる秘玉も、はしたない愛液を噴き零す蜜道も、こんなものでは足りないと貪欲に訴えている。
「ほら。見ててあげるから、中に挿れてみて」
 ――頭がぼうっとして、何も考えられなくて。
 ルーファスの操り人形にでもなったように、レシータは両手で握った張り型を、ゆっくりと秘裂に沈めた。
 ぬめった粘膜を押し広げ、淫猥な玩具がぬぷぬぷと音を立てて呑み込まれていく。
「っ……ぁあ……大き……きつい……」
「俺のよりも?」
 からかうような声に、レシータはふるふると首を振る。
「んっ……ルーファスのが、大きい……でも、冷たくて……お腹の奥、変で……ぁぁあ……」
 血の通っていない水牛の角は、ルーファスの肉棒を挿入されるときよりも、激しい異物感を伝えてくる。
 本来、体に入れるようなものではないことを意識させられて、いっそういかがわしいことをしている気分になる。
「動かしたら、ちゃんと気持ちよくなれるかも。やってみて?」
「ん、や……やぁ……はぁ……」
 嫌なのに。
 ルーファスが何もかも見ているのに。
 葛藤しながらもレシータはぬちゅぬちゅと張り型を出し入れさせ、身の裡を貫く目も眩むほどの愉悦に溺れた。
「あっ……あ、あ……ぁあふ、ぅんん……っ」
 びくんびくんと隘路が痙攣し、張り型にねっとりと吸いつく。ぱちゅぱちゅという音が鼓膜を嬲り、淫蕩な一人遊びに耽ってしまう。
「レシータのそこ、内側まで充血して真っ赤になってる……どうしようもない発情の色だね」
「ぁあ……そんなこと、言っちゃ……」
「中からも白っぽい液がいっぱい垂れてる。蜜蝋を溶かしたみたいに……すごいな……」
 嘆息したルーファスは、何をしようというのか、トラウザーズの前を緩めた。
 レシータの痴態に煽られて隆起した肉竿は、腹につくほどの角度でたくましくそそり勃っている。
 それをルーファスは右手に握り、おもむろに上下に扱き出したのだった。
「っ……何して……?」
「レシータを見てたら、俺も我慢できなくなった。気にしないで続けていいよ」
 そんなことを言われても、男性の自慰を初めて目にするレシータは、怖いもの見たさで目を離せなくなってしまう。
 無粋な張り型などよりも、生命力に溢れた雄の象徴はひどく魅惑的に思えて、知らず知らずのうちに喉が鳴った。
(あんなに大きくなってるのに、どうして私にくれないの……?)
 一緒に快感を分かち合えないことが寂しくて、恨めしくて。
 その思いを振り切るように、レシータはなおもぐちゅぐちゅと張り型を抜き差しした。
「ん、あぁ……やぁ、ん……はぁっ、く……」
 いつしかレシータは片手で張り型を握り、もう片方の手で自ら乳房を揉みしだき始めていた。
 疼いてたまらない体が自然とそうさせたということもあるし、淫らな姿を見せつければルーファスが抱いてくれるかもしれないという、精一杯の誘惑だった。
「どうしたの? 急に大胆になった、ね……っ」
 案の定、ルーファスも息を荒げ、自らを刺激する手の動きを速めた。
 彼の眉間に寄った皺が、ぞくぞくするほど艶めかしい。
 つんと尖った胸の蕾を、レシータは指で挟んで捏ねた。
 ルーファスの愛撫を思い出しながら、これは彼の指だと錯覚させる。
 蜜壺を撹拌する張り型も、ルーファスの雄々しい剛直だと思えば、突かれたい場所が自ずとわかった。
「ぁああ、やっ……ふぁ、あぁ、は――っ」
「もうすっかり張り型を使いこなしてるね――俺のなんて、もういらないんじゃないの?」
 皮肉に唇を歪められて、レシータは必死に首を横に振った。
「い、やぁ……そんなこと、ない……っ」
「どうだか。手だけじゃなく、腰も動いてるのに」
「っ……あぁ……」
 指摘されても、ぐいぐいと腰を突き上げてしまうことが止められなくて、レシータの瞳から涙が零れた。
 指先で転がす乳首はころりと取れてしまいそうに硬く実り、蜜まみれの秘口は涎を垂らして、作り物の男根をくちゃくちゃと美味しそうに食んでいる。
 どれだけ慰めても、媚薬のせいで込み上がる愉悦が止まらない。小刻みな絶頂を迎え続けて、レシータはしなやかな背中を仰け反らせ、何度も身を引き絞った。