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双子皇子の愛玩
乙女は後宮の調教にあえぐ
あまおうべに イラスト/アオイ冬子
宰相の娘・ソハイラは、父が重罪を犯したために捕らえられ、宮殿へ連れて行かれる。幼い頃に仲良く過ごした双子の皇子・カティルとマスードの奴隷とされ、二人がかりで快楽を教え込まれるが…? 発売日:2015年5月1日 


「陛下。お願いがございます」
「なんだ」
「罪人の家族は奴隷として異国に売り飛ばすのが倣い。であればハフェズの娘達の立場は現在、陛下所有の奴隷のはず」
「そうだな」
 うなずく皇帝に向け、彼は艶やかな微笑を浮かべた。
「それを我々に下賜してはいただけませんか」
「何だと?」
 低く這うような皇帝の問いに、マスードが力を込めて返す。
「負けたとはいえ、先の戦での我々の功をお認めくださるなら、報償としてこの女を賜りたい」
「娘達はハフェズに対する人質にも囮にもなります。こちらの手の内に留めておくべきでしょう。ですが裏切り者の身内には相応の報いがあるということも、世間に示さねばなりません」
 すらすらと軽やかに並べられたカティルの言葉を、皇帝は手を振って一蹴する。
「おまえの言う通りだ。だが……おまえ達がその娘と人質の時分からの馴染みであったことを、余が忘れていると思うか?」
「それがどうかなさいましたか」
「どうせ余の目の届かぬところで情けをかけるつもりだろう」
 父親の言に、カティルは朗らかな笑い声を立てた。
「情け? 閨の奴隷として扱うことを情けとおっしゃるのなら、そうかもしれません」
 言いながら、彼は床に伏せるソハイラの顎をつかんで持ち上げ、顔を近づけてくる。喉に彼の息を感じ、ソハイラはのけぞるような不自由な体勢のまま身を固くした。
「昔のことをご承知とおっしゃるなら、我々がこの四年間、絶えずハフェズにソハイラへの求婚を申し入れていたこともご存知のはず。ですがハフェズは一度もはっきりとした答えをよこしませんでした。娘と同じく――」
 ささやいた彼は、ソハイラの首筋に吸いついてくる。
「ひっ……!」
 他人のくちびるを肌に感じる初めての感触に、ソハイラは息を詰める。その反応を嘲笑するかのように、彼はさらに舌でねろりと舐め上げてきた。首筋のやわらかい肌を、ぬるぬるとした舌の感触が移動していく。
「あ……っ、ぁっ、……」
 えもいわれぬくすぐったさに肌が粟立った。突き出した頤をふるわせながら、人前での淫靡な行為に恥ずかしさをこらえきれず、涙をにじませる。
 と、反対側にいたマスードが負けじとソハイラの手首をつかんできた。
「そうです。昔から、この女は我々を焦らして楽しんでいました」
 彼はひと息に、幅広の薄絹の袖をまくりあげ、ソハイラの左腕を肩まであらわにする。
「いや……!」
 居並ぶ見知らぬ男達の目に肌をさらされ、力いっぱい抵抗する。しかしマスードはかまう様子なく、手首から肩まで手を這わせてきた。
 剣を使う者らしい、ザラザラとした硬い手のひらの感触が、ソハイラのなめらかな肌をなぞる。よく日に焼けた彼の手が、女部屋に籠もってろくに日に当たらずに暮らす身の白い肌と重なる光景は、ソハイラの目にもなまめかしく映った。
「……、っ……」
 じっくりとしたその動きは、まるで柔肌の感触を味わっているかのようで――そう気づくと、ふれられている部分がカァ……ッと熱を持った。痺れるようなかすかな刺激を肌の内側に感じ、喉を這うぬめついた感触と相まって、少しずつソハイラの息を乱していく。
 さらにある瞬間、上腕の内側のやわらかな部分を、揉むような手つきでざらりとなでられるや、そのくすぐったさに思わず声をこぼして身をよじった。
「――ぁ……っ……」
 するとマスードは、本能的な欲求とばかり、ごく自然にその部分を口に含んでくる。
「……いやっ、放して……っ」
 見られるばかりでなく、そんなところに口をつけられてしまうだなんて!
(もうお嫁に行けない……っ)
 多くの人が集まる場で、このような辱めを受けたのだ。もう二度と清い娘とは見てもらえないだろう。仮にこの先父が罪を晴らして名誉を回復したとしても、傷物として扱われるにちがいない。そう思うと涙がこみあげてきた。
 そんなソハイラの首筋に顔をうずめていたカティルが、今度は胸のふくらみにふれてくる。大きな手で、服の上から捏ねるように包み込んでくる。
「やっ、やめてっ、……!」
 片方の手首はマスードに捕らわれたままである。ソハイラは、空いている反対側の手でカティルの手をはがそうと試みたが、それはびくともせず、傍若無人にうごめき続けた。
「みんなの前で胸を揉まれるのは気持ちいい……?」
 首筋をしゃぶっていたカティルが、ぬれた吐息を耳朶に吹きかけてくる。くつくつと笑うかすれた声に、ぞくりと背筋が痺れた。
 いやだいやだいやだ!
 心の中ではそう叫んでいるというのに、巧みな指がからかうように柔肉を捏ねるたび、じわじわと不可思議な愉悦が湧き上がってくる。
「……んっ……、ふ……」
 こらえきれず肩を揺らしたソハイラは、思わず我を見失いそうになるその感覚から逃れるように、必死に抵抗した。
「カティル! ……やめてっ、……お、お願い……!」
 そのいやがる反応をすら楽しむ声音で、カティルが皇帝に向けてうそぶく。
「長いことずっと、この娘をねらっておりました。私かマスードか、どちらかを娘の婿に選ぶよう何度もハフェズに迫りました。ですがあいつは思わせぶりな言葉で期待を持たせ、我々を自分の都合良いように利用し続けるばかりでした」
「またこの女自身も昔から、俺とカティルとどちらも好きだと言い続けました」
「いっそ夜中にこの娘の部屋に忍び込み、ひと思いに犯してしまおうかと幾度も考えました。しかし宰相の娘ではそれもかなわぬと歯がみし続けてきたのです」
「俺も同じです。常々この女を自分のもので貫きたいと考え、欲望を持て余してきました。ようやく手にしたのです。飽きるまで犯しまくりたい」
「……や、……ン……っ」
 カティルの手に捏ねられた胸のふくらみは、次第に奇妙なうずきを孕んでいく。どうしたことか、先端の部分がちりちりと痛いほどに固くなり、それが薄絹の衣服にこすれると、羽扇で刷くような妖しい愉悦が背筋を走った。
「……あっ……!」
「その復讐もせず異国に売り払うなど、到底気が収まりません」
「募りに募った我々の気持ちを、いまこそ思い知らせてやりたいのです」
「……や、ぁぁ……っ」
 くすくすと楽しげに笑うカティルの手淫に、ソハイラは自分でも信じられないほど、色めいた仕草で身をくねらせる。
「そして国中にこの話を広めればいい。ハフェズの愛娘は夜の奴隷として奉仕するために皇子宮につながれていると。そうすれば、ヤツはいずれ自ら戻ってくるでしょう。娘を取り戻すか、あるいは殺して己の恥をそそぐために」
「ひっ……ぅ、……んっ……」
 公共の場で二人から胸をつかまれ、捏ねまわされる羞恥のあまり、ついに涙をこぼしたソハイラを、皇帝は不機嫌そうな面持ちで眺めていた。
「お願い、こんな――やめて……っ」