噓のむくい、甘やかな罰
あまおう紅 イラスト/四位広猫
冤罪で国を追われ、失意のうちに亡くなった父の名誉を回復すべく、祖国に戻ってきたエフィ。しかし、盗賊の仲間と間違えられ、王太子・イシュトバルに捕われてしまう。尋問で何も話せないエフィに、イシュトバルは甘美な罰を与えてきて――。 発売日:2012年9月4日
あまおう
冤罪で国を追われ、失意のうちに亡くなった父の名誉を回復すべく、祖国に戻ってきたエフィ。しかし、盗賊の仲間と間違えられ、王太子・イシュトバルに捕われてしまう。尋問で何も話せないエフィに、イシュトバルは甘美な罰を与えてきて――。 発売日:2012年9月4日
「君は私をバカだと思っている。濡れ衣を着せられておびえるかよわい少女を装えば、ひどいこともされず、そのうち解放されると思っている。……そうだね?」
「そんなこと……!」
一国の王太子をつかまえて――それも、これほど明晰そうな青年に対して、バカなどと考えるはずがない。
とまどうエフィの頬を、鞭の先端がからかうようにつついた。
「私は君から仲間の情報を得るまで、決して解放するつもりはないよ。女性にひどいことをするのは忍びないけど、必要とあらばためらわない。…身をもって試してみる?」
「…………」
何と返せばよいのかわからず、エフィはだまりこんだ。
もちろんひどいことなんてされたくない。けれど嫌だと言ったら、またあのわけの分からない質問をされるのだろう。
いったいどうすればいいのか――
のしかかるような不安と、頭から嘘つきと決めつけられていることへのくやしさとで、涙がこみ上げてくる。
それを目にしたイシュトバルは、口元にふと甘やかなほほ笑みを浮かべた。そして手にしていた鞭の先で、エフィの顎を持ち上げる。
「何か話す気になったかい?」
「…………」
声もなく首をふる、そのくちびるを彼の指がなでた。
「嘘つきの君から真実の言葉を得るには、多少手荒なこともしなければならないだろうな」
「私、嘘なんか――」
「罪人はみんなそう言う」
イシュトバルは乗馬用の鞭を、放り投げるようにして煉瓦のテーブルの上に置くと、エフィの服のボタンに指をかけ、ひとつひとつ外していった。
両手を使えないエフィが身をよじらせて抵抗するのにもかまわず、肌着に手をかけ、胸元を大きく左右に開いて素肌をさらしてしまう。
あらわになった胸に、ひんやりとした空気がふれた。
娘らしいふくらみのある乳房は、地下室の薄闇の中で、ほんのり光を孕むかのように、白く浮かび上がっている。
男の目が、その胸を無遠慮に眺めた。
エフィは顔を真っ赤に染めて懸命に首をふる。
「私……何も知りません……! ……嘘なんか言ってない。本当に知らないんです! 本当です! ――お願い、もうやめてください……!」
「いつまで強情を張り続けていられるかな?」
愉しげに笑うイシュトバルは、テーブルの上にあった小さな箱に手をのばすと、中の大きなルビーをつまみ上げてあれこれと説明をした。
それによると、うずらの卵ほどのルビーは、魔法をかけられた振動石という宝石らしい。ジジジ……と音を立てて小刻みにふるえている石を、彼は見せつけるようにエフィの目の前へ持ってくる。
「さぁ子猫ちゃん。かわいい声で鳴いてもらおうか」
とたん、むき出しの胸の頂に、ぐいっと石が押しつけられた。
「いや……っ」
振動が片方の胸に強く伝わってくる。それは一度も経験したことのない感覚だった。ビリビリと伝わってくる無機質な感触に、みるみるうちに先端が尖っていく。固く勃ち上がったそれは、普段よりもずっと敏感になってエフィを苛んだ。
じっとしていられなくなり、身体をずらして逃げようとするが、相手はそれを許さずに追いかけてくる。
「ん……ん……」
むずがゆいような、しびれるような……初めて覚える刺激に、ただただ羞恥にふるえた。眉根に皺を寄せてエフィはそれをこらえる。しかしその直後、短い悲鳴を発した。
「きゃ……!」
反対側の胸にイシュトバルが吸いついたのだ。熱くぬめった舌がくすぐるように動くと、そちら側の頂もたちまち凝っていき、感覚が鋭くなる。
そこをざらついた表面で何度も舐められ――おまけに反対側では相変わらず強い振動を押しつけられたままで――それがしばらく続くと、エフィは身もだえながらも、少しずつ腰から力が抜けていくのを感じた。
「んっ、……ふ……っ」
身体をずらすので精一杯。それでも何とか逃げようとするたび、ジャラッと鎖の音が上がる。イシュトバルのくちびるは、無駄な抵抗をものともせずに、どこまでも追ってきた。
時間をかけて執拗に追い立てられた後、ようやく彼がいったん身を離す。解放された胸はジンジンとしびれるほどだった。イシュトバルが、様子をうかがうように親指と人さし指でちょっと頂をつまんだだけで、大げさなほど身体がふるえてしまう。
「あっ……!」
「いい具合だね。……ところで、何か私に言いたいことはないか?」
「何かって…………」
訊き返したのは、その質問に思いを馳せるような余裕はなかったからだ。しかし彼はそう思わなかったらしい。
気に障ったように片眉を上げると、先ほどよりも力を込めてエフィの胸の頂をつまんだ。
「いっ! い……ぁっ」
つきんと、痛みが走ったはずのに、それはなぜか悩ましく下肢に伝わり、甘い痺れとなってそこに溜まっていく。
「強情を張って何になる? サラ」
「ちが……私、サラじゃ――あ、や……っ」
両の乳房を包み込むように這わされた手が、感触を楽しむように揉みしだいてくる。長い指が、自分の乳房に埋もれている光景すら、羞恥のあまり目眩がしそうになるのに、さらに捏ねるようにいじられて、エフィは息をのんだ。
ぷっくりとふくれた頂が手のひらに擦られるたび、甘やかなうずきが新たに湧きだし、思わずこぼれそうになる声を必死にこらえる。
「この期におよんでまだとぼけるか……」
ややあって、イシュトバルは振動石を箱の中に戻しながら、あきれたように言った。
エフィはその意味を考えることもなく、ただ出口がないまま全身をめぐる熱にあえぎ、ぐったりと脱力する。両腕を吊られたまま、しっとりと汗をにじませた両のふくらみを大きく上下させた。
「さっきまで雪のように真っ白だったのに……すっかり薄紅色に染まったな。どちらもきれいだ……」
ためつすがめつそれに見入っていた彼は、やがてテーブルの上にあった羽根箒を手に取る。細長い柄の先に、ふわふわの鳥の羽根がこんもりと盛られている。見るからにくすぐったそうなそれで、彼はエフィの胸にいたずらをした。
「ひゃっ……いや、なに……やめて……っ」
ただでさえ敏感になっている箇所にけば立った刺激を感じ、エフィは鎖を鳴らして身もだえる。
「や――ぁ……ん!」
「気持ちいい? 先端がさくらんぼみたいに赤く熟れてるよ」
「だ、ダメ! つ、つつかないで……っ」
いじられすぎた乳首は、ほんの少しの刺激にも強い愉悦を発し、ビクビクと身体が跳ねてしまう。一体何がどうなっているのか――わからないまま、エフィの身体はどんどん自分の意志から離れていき、イシュトバルに弄ばれるまま勝手に動いた。
「く……、んっ…………あぁ……!」
くすぐったい羽根責めの後は、ふたたび口づけられ、肉厚の舌でねっとりと舐められる。しまいには、時折クチュクチュと漏れるそのいやらしい音にすら、さらに体温が上がっていくのを感じた。
絶え間なくあえいでいると、イシュトバルが残念そうに吐息をつく。
「いけそうだけど……どうかな。胸だけじゃダメか、やっぱり」
もうすでに足腰が立たなくなっている。エフィは息を荒げて吊されたまま、イシュトバルが羽根箒を煉瓦のテーブルに置くのをぼんやりと見守った。
……あきらめてくれたのだろうか。意識の端でちらりとそんな期待を抱く。
しかし彼が次に取った行動は、はかないエフィの希望を根こそぎ奪うものだった。
「な――なにを……!?」
あろうことか、イシュトバルはエフィのスカートを無造作にめくると、足の付け根へ触れてきたのである。
「ひ……!」
下着の上をたどる指は、その部位の形をなぞるようにゆっくりと一往復する。
「とろとろだな。もう少しで、染みだしてしたたりそうだ」
含み笑いのささやきに、エフィは初めて、そこが粗相をしたようにぐっしょりと濡れそぼっていることに気づいた。
「え……やだ、なんで……――あぁ!」
自分の身に何が起きているのか、考えようとした矢先に彼の指が、下着をよけて中にすべり込んでくる。それだけではない。さぐるように秘裂をたどると、いきなりもっと奥へ――エフィの中へ、指を押し入れてきた。
「あ――」
ヌプリ、と潜り込んできた指から逃れようと、腰をよじる。しかしそれは何の抵抗にもならなかった。
「これならじっくりならす必要もなさそうだ」
かすれた低い声が耳朶に流れ込んでくる。と同時に、突き立てられた指がぐるりと円を描くように動いた。
「あぁ……! ぁ……っ」
意味のない声を上げ、エフィはただ頭(かぶり)をふる。気ままに動く指が、思考をいっそうかき乱していく。もはや何が起きているかなどということを、考える余裕もなくなった。
「やっ……は……ぁ……ん……っ」
ぐちゅぐちゅと彼の指は秘処をかきまわし続ける。そのうち二本目が挿入され、それぞればらばらに動く気配に、エフィはさらに声を張り上げた。
「あぁ……!」
いやなのに。抜いてほしいと思うのに、なぜかそこはエフィの意に反して、うごめく指にきゅぅっとからみついてしまう。
「さて……」
くちゅ……とわざとらしく音を立てて指を抜いたイシュトバルは、その手でまた何かを台の上からつまみあげた。
「――」
エフィの目の前にかざされたのは、先ほど「舞踏石」と教えられたものだった。携帯用の香水瓶のような、細長い形をしたサファイアである。振動石と同じく魔法がかけられているため、常に前後左右にせわしなく動き続けている。
(まさか……)
もうろうとした意識の中で、エフィはさらに気が遠くなった。いっそ気絶してしまいたい。
「いや……」
涙ぐむこちらに向けて、イシュトバルは幼児に対するように物柔らかな口調で訊ねてくる。
「自分がサラだと認めるか?」
「――……」
サラ――都を騒がす泥棒の一味。「はい」と言えばこの責め苦から解放されるのだろうか。
(でも私はちがう……)
認めれば認めたで、その後にもっとひどい末路が待っているのだろう。泥棒として裁かれるなんて絶対にいやだ。
(でもちがうと言ったら、また……)
淫猥な動きを見せる宝石を呆然と見つめる。その沈黙に焦れたのか、彼は「どうなんだ?」とくり返した。
迷った末に、エフィは声を絞り出す。
「…………ちがいます、私――あぁぁっっ!」
否定の返事を聞いた途端、イシュトバルは手にしていた細長いサファイアを、エフィの秘裂に押し当てた。割れ目をたどるように前後に動かされ、じわじわとした快感がわき上がる。
そこでうごめく感触から逃げようと、エフィは必死に腰を揺らした。音高く鳴る鎖の音に、彼はふんと鼻を鳴らす。
「乱れる様が……いやになるほどそそるな。そら、中で味わうといい」
無情な言葉と共に、舞踏石が蜜壺に押し込まれる。
表面のつるつるとした宝石は、指戯でさんざんぬらされた秘裂の中に、あっけないほど簡単に潜り込んでいった。
「いぁぁ、ダメ……!」
拒む声とは裏腹に、挿入されたサファイアを捕らえるように、その部位がきゅうっとしまっていくのを感じた。――石をつまむイシュトバルの指までも。
サファイアは、エフィの敏感な秘孔の中で縦横無尽に暴れまわる。暴れまわりすぎて、時折落ちてしまいそうになるが、そのたびイシュトバルの指がそれを中へと押しもどす。
「あ! あぁぁぁん……はぁ……っ」
もだえるエフィを、彼は満足そうに眺めていた。
「そんなこと……!」
一国の王太子をつかまえて――それも、これほど明晰そうな青年に対して、バカなどと考えるはずがない。
とまどうエフィの頬を、鞭の先端がからかうようにつついた。
「私は君から仲間の情報を得るまで、決して解放するつもりはないよ。女性にひどいことをするのは忍びないけど、必要とあらばためらわない。…身をもって試してみる?」
「…………」
何と返せばよいのかわからず、エフィはだまりこんだ。
もちろんひどいことなんてされたくない。けれど嫌だと言ったら、またあのわけの分からない質問をされるのだろう。
いったいどうすればいいのか――
のしかかるような不安と、頭から嘘つきと決めつけられていることへのくやしさとで、涙がこみ上げてくる。
それを目にしたイシュトバルは、口元にふと甘やかなほほ笑みを浮かべた。そして手にしていた鞭の先で、エフィの顎を持ち上げる。
「何か話す気になったかい?」
「…………」
声もなく首をふる、そのくちびるを彼の指がなでた。
「嘘つきの君から真実の言葉を得るには、多少手荒なこともしなければならないだろうな」
「私、嘘なんか――」
「罪人はみんなそう言う」
イシュトバルは乗馬用の鞭を、放り投げるようにして煉瓦のテーブルの上に置くと、エフィの服のボタンに指をかけ、ひとつひとつ外していった。
両手を使えないエフィが身をよじらせて抵抗するのにもかまわず、肌着に手をかけ、胸元を大きく左右に開いて素肌をさらしてしまう。
あらわになった胸に、ひんやりとした空気がふれた。
娘らしいふくらみのある乳房は、地下室の薄闇の中で、ほんのり光を孕むかのように、白く浮かび上がっている。
男の目が、その胸を無遠慮に眺めた。
エフィは顔を真っ赤に染めて懸命に首をふる。
「私……何も知りません……! ……嘘なんか言ってない。本当に知らないんです! 本当です! ――お願い、もうやめてください……!」
「いつまで強情を張り続けていられるかな?」
愉しげに笑うイシュトバルは、テーブルの上にあった小さな箱に手をのばすと、中の大きなルビーをつまみ上げてあれこれと説明をした。
それによると、うずらの卵ほどのルビーは、魔法をかけられた振動石という宝石らしい。ジジジ……と音を立てて小刻みにふるえている石を、彼は見せつけるようにエフィの目の前へ持ってくる。
「さぁ子猫ちゃん。かわいい声で鳴いてもらおうか」
とたん、むき出しの胸の頂に、ぐいっと石が押しつけられた。
「いや……っ」
振動が片方の胸に強く伝わってくる。それは一度も経験したことのない感覚だった。ビリビリと伝わってくる無機質な感触に、みるみるうちに先端が尖っていく。固く勃ち上がったそれは、普段よりもずっと敏感になってエフィを苛んだ。
じっとしていられなくなり、身体をずらして逃げようとするが、相手はそれを許さずに追いかけてくる。
「ん……ん……」
むずがゆいような、しびれるような……初めて覚える刺激に、ただただ羞恥にふるえた。眉根に皺を寄せてエフィはそれをこらえる。しかしその直後、短い悲鳴を発した。
「きゃ……!」
反対側の胸にイシュトバルが吸いついたのだ。熱くぬめった舌がくすぐるように動くと、そちら側の頂もたちまち凝っていき、感覚が鋭くなる。
そこをざらついた表面で何度も舐められ――おまけに反対側では相変わらず強い振動を押しつけられたままで――それがしばらく続くと、エフィは身もだえながらも、少しずつ腰から力が抜けていくのを感じた。
「んっ、……ふ……っ」
身体をずらすので精一杯。それでも何とか逃げようとするたび、ジャラッと鎖の音が上がる。イシュトバルのくちびるは、無駄な抵抗をものともせずに、どこまでも追ってきた。
時間をかけて執拗に追い立てられた後、ようやく彼がいったん身を離す。解放された胸はジンジンとしびれるほどだった。イシュトバルが、様子をうかがうように親指と人さし指でちょっと頂をつまんだだけで、大げさなほど身体がふるえてしまう。
「あっ……!」
「いい具合だね。……ところで、何か私に言いたいことはないか?」
「何かって…………」
訊き返したのは、その質問に思いを馳せるような余裕はなかったからだ。しかし彼はそう思わなかったらしい。
気に障ったように片眉を上げると、先ほどよりも力を込めてエフィの胸の頂をつまんだ。
「いっ! い……ぁっ」
つきんと、痛みが走ったはずのに、それはなぜか悩ましく下肢に伝わり、甘い痺れとなってそこに溜まっていく。
「強情を張って何になる? サラ」
「ちが……私、サラじゃ――あ、や……っ」
両の乳房を包み込むように這わされた手が、感触を楽しむように揉みしだいてくる。長い指が、自分の乳房に埋もれている光景すら、羞恥のあまり目眩がしそうになるのに、さらに捏ねるようにいじられて、エフィは息をのんだ。
ぷっくりとふくれた頂が手のひらに擦られるたび、甘やかなうずきが新たに湧きだし、思わずこぼれそうになる声を必死にこらえる。
「この期におよんでまだとぼけるか……」
ややあって、イシュトバルは振動石を箱の中に戻しながら、あきれたように言った。
エフィはその意味を考えることもなく、ただ出口がないまま全身をめぐる熱にあえぎ、ぐったりと脱力する。両腕を吊られたまま、しっとりと汗をにじませた両のふくらみを大きく上下させた。
「さっきまで雪のように真っ白だったのに……すっかり薄紅色に染まったな。どちらもきれいだ……」
ためつすがめつそれに見入っていた彼は、やがてテーブルの上にあった羽根箒を手に取る。細長い柄の先に、ふわふわの鳥の羽根がこんもりと盛られている。見るからにくすぐったそうなそれで、彼はエフィの胸にいたずらをした。
「ひゃっ……いや、なに……やめて……っ」
ただでさえ敏感になっている箇所にけば立った刺激を感じ、エフィは鎖を鳴らして身もだえる。
「や――ぁ……ん!」
「気持ちいい? 先端がさくらんぼみたいに赤く熟れてるよ」
「だ、ダメ! つ、つつかないで……っ」
いじられすぎた乳首は、ほんの少しの刺激にも強い愉悦を発し、ビクビクと身体が跳ねてしまう。一体何がどうなっているのか――わからないまま、エフィの身体はどんどん自分の意志から離れていき、イシュトバルに弄ばれるまま勝手に動いた。
「く……、んっ…………あぁ……!」
くすぐったい羽根責めの後は、ふたたび口づけられ、肉厚の舌でねっとりと舐められる。しまいには、時折クチュクチュと漏れるそのいやらしい音にすら、さらに体温が上がっていくのを感じた。
絶え間なくあえいでいると、イシュトバルが残念そうに吐息をつく。
「いけそうだけど……どうかな。胸だけじゃダメか、やっぱり」
もうすでに足腰が立たなくなっている。エフィは息を荒げて吊されたまま、イシュトバルが羽根箒を煉瓦のテーブルに置くのをぼんやりと見守った。
……あきらめてくれたのだろうか。意識の端でちらりとそんな期待を抱く。
しかし彼が次に取った行動は、はかないエフィの希望を根こそぎ奪うものだった。
「な――なにを……!?」
あろうことか、イシュトバルはエフィのスカートを無造作にめくると、足の付け根へ触れてきたのである。
「ひ……!」
下着の上をたどる指は、その部位の形をなぞるようにゆっくりと一往復する。
「とろとろだな。もう少しで、染みだしてしたたりそうだ」
含み笑いのささやきに、エフィは初めて、そこが粗相をしたようにぐっしょりと濡れそぼっていることに気づいた。
「え……やだ、なんで……――あぁ!」
自分の身に何が起きているのか、考えようとした矢先に彼の指が、下着をよけて中にすべり込んでくる。それだけではない。さぐるように秘裂をたどると、いきなりもっと奥へ――エフィの中へ、指を押し入れてきた。
「あ――」
ヌプリ、と潜り込んできた指から逃れようと、腰をよじる。しかしそれは何の抵抗にもならなかった。
「これならじっくりならす必要もなさそうだ」
かすれた低い声が耳朶に流れ込んでくる。と同時に、突き立てられた指がぐるりと円を描くように動いた。
「あぁ……! ぁ……っ」
意味のない声を上げ、エフィはただ頭(かぶり)をふる。気ままに動く指が、思考をいっそうかき乱していく。もはや何が起きているかなどということを、考える余裕もなくなった。
「やっ……は……ぁ……ん……っ」
ぐちゅぐちゅと彼の指は秘処をかきまわし続ける。そのうち二本目が挿入され、それぞればらばらに動く気配に、エフィはさらに声を張り上げた。
「あぁ……!」
いやなのに。抜いてほしいと思うのに、なぜかそこはエフィの意に反して、うごめく指にきゅぅっとからみついてしまう。
「さて……」
くちゅ……とわざとらしく音を立てて指を抜いたイシュトバルは、その手でまた何かを台の上からつまみあげた。
「――」
エフィの目の前にかざされたのは、先ほど「舞踏石」と教えられたものだった。携帯用の香水瓶のような、細長い形をしたサファイアである。振動石と同じく魔法がかけられているため、常に前後左右にせわしなく動き続けている。
(まさか……)
もうろうとした意識の中で、エフィはさらに気が遠くなった。いっそ気絶してしまいたい。
「いや……」
涙ぐむこちらに向けて、イシュトバルは幼児に対するように物柔らかな口調で訊ねてくる。
「自分がサラだと認めるか?」
「――……」
サラ――都を騒がす泥棒の一味。「はい」と言えばこの責め苦から解放されるのだろうか。
(でも私はちがう……)
認めれば認めたで、その後にもっとひどい末路が待っているのだろう。泥棒として裁かれるなんて絶対にいやだ。
(でもちがうと言ったら、また……)
淫猥な動きを見せる宝石を呆然と見つめる。その沈黙に焦れたのか、彼は「どうなんだ?」とくり返した。
迷った末に、エフィは声を絞り出す。
「…………ちがいます、私――あぁぁっっ!」
否定の返事を聞いた途端、イシュトバルは手にしていた細長いサファイアを、エフィの秘裂に押し当てた。割れ目をたどるように前後に動かされ、じわじわとした快感がわき上がる。
そこでうごめく感触から逃げようと、エフィは必死に腰を揺らした。音高く鳴る鎖の音に、彼はふんと鼻を鳴らす。
「乱れる様が……いやになるほどそそるな。そら、中で味わうといい」
無情な言葉と共に、舞踏石が蜜壺に押し込まれる。
表面のつるつるとした宝石は、指戯でさんざんぬらされた秘裂の中に、あっけないほど簡単に潜り込んでいった。
「いぁぁ、ダメ……!」
拒む声とは裏腹に、挿入されたサファイアを捕らえるように、その部位がきゅうっとしまっていくのを感じた。――石をつまむイシュトバルの指までも。
サファイアは、エフィの敏感な秘孔の中で縦横無尽に暴れまわる。暴れまわりすぎて、時折落ちてしまいそうになるが、そのたびイシュトバルの指がそれを中へと押しもどす。
「あ! あぁぁぁん……はぁ……っ」
もだえるエフィを、彼は満足そうに眺めていた。