大富豪のお仕置き愛
水島 忍 イラスト/カキネ
男爵である父を亡くしたアンジェリカ。遺産は少なく、継母から裕福な花婿を探すよう、プレッシャーをかけられていた。好きでもない男性と結婚する気にはなれないアンジェリカだが、若き大富豪ルイスからプロポーズされる。だが、彼との出会いが最悪だったため、それを断ってしまう。しかし、業を煮やした継母により、父より年上の金貸しに売られそうに。なんとか逃げ出したアンジェリカはルイスに助けを求めるが、淫らな条件を提示され…? 配信日:2016年10月28日
水島 忍 イラスト/カキネ
男爵である父を亡くしたアンジェリカ。遺産は少なく、継母から裕福な花婿を探すよう、プレッシャーをかけられていた。好きでもない男性と結婚する気にはなれないアンジェリカだが、若き大富豪ルイスからプロポーズされる。だが、彼との出会いが最悪だったため、それを断ってしまう。しかし、業を煮やした継母により、父より年上の金貸しに売られそうに。なんとか逃げ出したアンジェリカはルイスに助けを求めるが、淫らな条件を提示され…? 配信日:2016年10月28日
「大した努力もせずに諦めるのか? 君はタウンゼントの愛人になるつもりか?」
アンジェリカの身体は震えた。
「努力って……? 他にどうすればいいの? わたしだって、あんないやらしい人の愛人になんかなりたくないわ! でも……どうすればいいのか判らない……」
「それなら、努力する気はあるんだな?」
恐る恐る振り向いて、彼に目を向けた。優しい顔はしていないが、冷ややかにこちらを見るのはやめたようだった。
彼はわたしを許してくれようとしているの?
判らない。ただ、まだチャンスはあるのかもしれない。
「努力……するわ。どうしたらいいのか……教えてくれたら……」
小さな声で囁くように言ってみると、彼はにやりと笑った。とても優しい笑みとは言えなかったが、それでも無表情に見つめられるよりはいい。
「それなら、一度だけチャンスをやろう」
彼はアンジェリカの腕を取ると、応接間を出ようとする。
「ど、どこへ行くの?」
「黙って、ついてくるんだ」
そう言われたら、口を閉じるしかない。彼はどこへ連れていこうとしているのだろう。これから起こることが怖くてならないが、それでも従うしかない。
チャンスは一度だけ。それしか残されていないのなら、なんとかしてそれを掴まないと。
タウンゼントの愛人になるか、ルイスの妻になるか。その二つしか選択肢がないのなら、どうにかしてルイスの妻になれるよう努力をしなくてはならなかった。
ああ、神様……。
どうかわたしを助けて。
アンジェリカはただルイスと一緒に行くしかなかった。
ルイスは二階に上がり、ある部屋の扉を開けた。
アンジェリカはドキッとする。そこは広い部屋で、豪華な四柱式のベッドがある。どう見ても、そこは主寝室だった。
「や……やめて。ここは……」
「ああ。ここは私の寝室だ。もし君が私の妻になるなら、君の寝室にもなる。君がどれだけ私と結婚したいのか、熱意を見せてもらおうじゃないか」
アンジェリカは胸がドキドキしてきて、脚が竦んだ。だが、彼に腕を引っ張られて、寝室に入ることになってしまう。
彼は扉を閉め、あろうことか鍵をかけた。
寝室に立ち尽くし途方に暮れる。彼は一体、何を望んでいるのだろう。
「わ、わたしは……何をすればいいの? 熱意って……?」
彼は頬を染めたアンジェリカをじろじろと眺めて、ふっと笑った。
「お嬢様は何も知らないと見える」
「夫婦が……同じベッドで眠ることは知っているわ」
彼は嘲るように笑った。
「眠る、だって? なんとも可愛いものじゃないか。じゃあ、赤ん坊がどうしてできるのか知っているか?」
「それは神様が授けてくださるのよ。結婚したお祝いに。……そうでしょう?」
「お祝いにね。なるほど」
彼はアンジェリカを引き寄せ、しっかりと抱き締めてきた。彼の温もりが自分の身体を包み込み、ドキッとする。
「あ、あの……」
「愛人は何をするものだと思っているんだ?」
「判らないわ……。具体的には。ただ、何かいやらしいことをするんでしょう? キスしたり、身体に触れたり……。そして、純潔を奪われるんだわ!」
アンジェリカはタウンゼントのことを思い出して、ぞっとした。だが、純潔を奪うという意味は、本当のところ知らなかった。ただ、それは夫婦の間で初夜に行われるべきことで、結婚していない男女の間では、本当はしてはならないことなのだ。
だから、愛人となった女性は後ろ指を指される。それを判っていて、お金のためにその道を選ぶ女性はいいが、アンジェリカのように強制されてなる女性は気の毒だった。
「愛人でなくても、妻になれば同じことをする……。それは知っているんだろう?」
「ええ。初夜に……」
彼はふっと笑って、アンジェリカの背中を撫でた。
「初夜だけじゃない。ずっと……毎日だ」
「え……?」
「そして、君は何も知らない。普通は花嫁になるまで知らないものだが、特別に君に教えてやろうじゃないか」
彼はドレスのホックを外し始めている。アンジェリカは驚いて、身を固くした。
「……何をするの?」
「君がどれだけ私の花嫁になりたいのか、試しているんだよ」
そう言われれば、抵抗もできない。確かに、初夜では裸になるらしいと聞いたことがある。いや、彼に言わせれば『ずっと毎日』なのだろうか。
ドレスを脱がされているというのに、アンジェリカは嫌悪感を覚えなかった。ただ、自分がドキドキしているのが判る。
タウンゼントには絶対、触れられたくないと思ったのに……。
肌にルイスの手が触れても、ドキッとするだけだった。身震いするような嫌な感じは何もない。そのことだけでも、アンジェリカはやはりタウンゼントの愛人ではなく、ルイスの妻になるのは正しいことだと思う。
もっとも、今はまだ彼は試しているだけだ。アンジェリカが本気なのかどうかを。
こんな試し方をされるのは屈辱的ではあるが、仕方のないことだと言える。何しろ自分は彼のプロポーズを断ったのだから。そして、タウンゼントの愛人になるよりはましだという理由で、彼に結婚してほしいと頼んだのだ。
優しくしてほしいなんて甘いと思われても当然だ。
でも……できれば少しでもいいから情けをかけてほしいの。
アンジェリカはドレスを脱がされるのに抵抗しなかった。シュミーズやらコルセットやらペチコートやらを身につけているが、それでも下着姿は恥ずかしい。
「さあ、これも外すんだ」
彼はコルセットの紐を解いて、外していく。ひとつひとつ、彼はアンジェリカからプライドを奪っていくようだった。
身体が震える。立っていられない。だが、彼はアンジェリカから容赦なく下着も奪い取っていく。
最後の一枚を取り去られたとき、頭の中がカッと熱くなってきた。
これが現実だとはとても思えない。
もちろん、今まで男性に裸を見られたことなんてない。自分の裸を見たことがあるのは、母と乳母、それから子守りに小間使いだけだ。まだよく知らない男性にこんな熱い眼差しで見つめられながら、裸を見られることはなかった。
「とても……綺麗だ。いや、綺麗だという言葉じゃ語り尽くせない」
彼はアンジェリカの肩に触れてきた。そして、すっと掌を剥き出しの腕へと滑らせる。
「この肌……色も質感も素晴らしいものだ。もちろん……この胸の形も」
乳房を掌で包まれ、身体を震わせる。
「なんて柔らかいんだろう。それなのに、ツンと立っていて……」
胸の先端を指で撫でられ、アンジェリカは全身が熱くなってくるような気がした。彼はまるで彫像を評価するみたいに、アンジェリカの身体に触れて、感想を口にしている。
もう……やめて!
アンジェリカの身体は震えた。
「努力って……? 他にどうすればいいの? わたしだって、あんないやらしい人の愛人になんかなりたくないわ! でも……どうすればいいのか判らない……」
「それなら、努力する気はあるんだな?」
恐る恐る振り向いて、彼に目を向けた。優しい顔はしていないが、冷ややかにこちらを見るのはやめたようだった。
彼はわたしを許してくれようとしているの?
判らない。ただ、まだチャンスはあるのかもしれない。
「努力……するわ。どうしたらいいのか……教えてくれたら……」
小さな声で囁くように言ってみると、彼はにやりと笑った。とても優しい笑みとは言えなかったが、それでも無表情に見つめられるよりはいい。
「それなら、一度だけチャンスをやろう」
彼はアンジェリカの腕を取ると、応接間を出ようとする。
「ど、どこへ行くの?」
「黙って、ついてくるんだ」
そう言われたら、口を閉じるしかない。彼はどこへ連れていこうとしているのだろう。これから起こることが怖くてならないが、それでも従うしかない。
チャンスは一度だけ。それしか残されていないのなら、なんとかしてそれを掴まないと。
タウンゼントの愛人になるか、ルイスの妻になるか。その二つしか選択肢がないのなら、どうにかしてルイスの妻になれるよう努力をしなくてはならなかった。
ああ、神様……。
どうかわたしを助けて。
アンジェリカはただルイスと一緒に行くしかなかった。
ルイスは二階に上がり、ある部屋の扉を開けた。
アンジェリカはドキッとする。そこは広い部屋で、豪華な四柱式のベッドがある。どう見ても、そこは主寝室だった。
「や……やめて。ここは……」
「ああ。ここは私の寝室だ。もし君が私の妻になるなら、君の寝室にもなる。君がどれだけ私と結婚したいのか、熱意を見せてもらおうじゃないか」
アンジェリカは胸がドキドキしてきて、脚が竦んだ。だが、彼に腕を引っ張られて、寝室に入ることになってしまう。
彼は扉を閉め、あろうことか鍵をかけた。
寝室に立ち尽くし途方に暮れる。彼は一体、何を望んでいるのだろう。
「わ、わたしは……何をすればいいの? 熱意って……?」
彼は頬を染めたアンジェリカをじろじろと眺めて、ふっと笑った。
「お嬢様は何も知らないと見える」
「夫婦が……同じベッドで眠ることは知っているわ」
彼は嘲るように笑った。
「眠る、だって? なんとも可愛いものじゃないか。じゃあ、赤ん坊がどうしてできるのか知っているか?」
「それは神様が授けてくださるのよ。結婚したお祝いに。……そうでしょう?」
「お祝いにね。なるほど」
彼はアンジェリカを引き寄せ、しっかりと抱き締めてきた。彼の温もりが自分の身体を包み込み、ドキッとする。
「あ、あの……」
「愛人は何をするものだと思っているんだ?」
「判らないわ……。具体的には。ただ、何かいやらしいことをするんでしょう? キスしたり、身体に触れたり……。そして、純潔を奪われるんだわ!」
アンジェリカはタウンゼントのことを思い出して、ぞっとした。だが、純潔を奪うという意味は、本当のところ知らなかった。ただ、それは夫婦の間で初夜に行われるべきことで、結婚していない男女の間では、本当はしてはならないことなのだ。
だから、愛人となった女性は後ろ指を指される。それを判っていて、お金のためにその道を選ぶ女性はいいが、アンジェリカのように強制されてなる女性は気の毒だった。
「愛人でなくても、妻になれば同じことをする……。それは知っているんだろう?」
「ええ。初夜に……」
彼はふっと笑って、アンジェリカの背中を撫でた。
「初夜だけじゃない。ずっと……毎日だ」
「え……?」
「そして、君は何も知らない。普通は花嫁になるまで知らないものだが、特別に君に教えてやろうじゃないか」
彼はドレスのホックを外し始めている。アンジェリカは驚いて、身を固くした。
「……何をするの?」
「君がどれだけ私の花嫁になりたいのか、試しているんだよ」
そう言われれば、抵抗もできない。確かに、初夜では裸になるらしいと聞いたことがある。いや、彼に言わせれば『ずっと毎日』なのだろうか。
ドレスを脱がされているというのに、アンジェリカは嫌悪感を覚えなかった。ただ、自分がドキドキしているのが判る。
タウンゼントには絶対、触れられたくないと思ったのに……。
肌にルイスの手が触れても、ドキッとするだけだった。身震いするような嫌な感じは何もない。そのことだけでも、アンジェリカはやはりタウンゼントの愛人ではなく、ルイスの妻になるのは正しいことだと思う。
もっとも、今はまだ彼は試しているだけだ。アンジェリカが本気なのかどうかを。
こんな試し方をされるのは屈辱的ではあるが、仕方のないことだと言える。何しろ自分は彼のプロポーズを断ったのだから。そして、タウンゼントの愛人になるよりはましだという理由で、彼に結婚してほしいと頼んだのだ。
優しくしてほしいなんて甘いと思われても当然だ。
でも……できれば少しでもいいから情けをかけてほしいの。
アンジェリカはドレスを脱がされるのに抵抗しなかった。シュミーズやらコルセットやらペチコートやらを身につけているが、それでも下着姿は恥ずかしい。
「さあ、これも外すんだ」
彼はコルセットの紐を解いて、外していく。ひとつひとつ、彼はアンジェリカからプライドを奪っていくようだった。
身体が震える。立っていられない。だが、彼はアンジェリカから容赦なく下着も奪い取っていく。
最後の一枚を取り去られたとき、頭の中がカッと熱くなってきた。
これが現実だとはとても思えない。
もちろん、今まで男性に裸を見られたことなんてない。自分の裸を見たことがあるのは、母と乳母、それから子守りに小間使いだけだ。まだよく知らない男性にこんな熱い眼差しで見つめられながら、裸を見られることはなかった。
「とても……綺麗だ。いや、綺麗だという言葉じゃ語り尽くせない」
彼はアンジェリカの肩に触れてきた。そして、すっと掌を剥き出しの腕へと滑らせる。
「この肌……色も質感も素晴らしいものだ。もちろん……この胸の形も」
乳房を掌で包まれ、身体を震わせる。
「なんて柔らかいんだろう。それなのに、ツンと立っていて……」
胸の先端を指で撫でられ、アンジェリカは全身が熱くなってくるような気がした。彼はまるで彫像を評価するみたいに、アンジェリカの身体に触れて、感想を口にしている。
もう……やめて!